出会いの序章(第1日目)

入学式前夜、私は緊張していました。不安でした。
「1年生にどんな話をすればよいのだろう」
迷ってしまったのです。1年生担任は二度目ですが、6年生担任からいきなりの1年生ですので、やはり戸惑いがあったのです。隣のクラスの高橋先生は眠れなかったそうです。あれほどのベテラン教師でさえそうなのですから、私など言わずもがなです。
さて、保護者のみなさんが役員さんを選出している間に、次のような出会いがありました。

実録!出会いは緊張の中で・・・

まず、トイレです。寒い体育館での入学式後ですので心配です。

おトイレに行きたい人は手を挙げてください。

シーン。いないのです。誰も手を挙げないのです。
「なんなんだ、これは。きっとはずかしくて手を挙げられないのだろう」
そう考えた私は、更に続けました。

そうか、でも1回みんなでトイレに行ってみようよ。

「大丈夫だよ」
「行かなくていいよ」
しっかりしているなぁ。私の感想です。そこで、こう言って、この件は終わりにしました。

じゃあ、今は行かなくていいんだね。でも、行きたくなったら先生に言ってね。

さて、私の自己紹介です。

先生の名前を知っている人?

ザワザワ・・・。
あれっ、覚えていないの?無理もないか。入学式で1回聞いただけだもんなぁ。そんなことを考えているとき、一本の手がピンと上に挙がりました。あやこさんです。恥ずかしそうに、でもしっかりと答えてくれました。
「渋谷先生」

よく覚えていてくれたねぇ。ありがとう。そう、先生の名前は渋谷先生と言います。

準備してあった摸造紙をおもむろに取り出し、巻物のように見せていきました。

んぱい しなくていいよ
いさいんが とくいな
さしい せんせいです
しは 26さいです
こるときも あるけれど
ーるを まもって がんばろうね!

巻物を広げながら文字を出すたびに、スラスラと読める子がいるのにはびっくりしました。そこで、こう言いました。

すごいねぇ。もうひらがなが読めるの。おりこうだね。でも、まだ読めない人も心配しなくていいよ。これからお勉強して読めるようになるからね。

みんな楽しそうに、ニコニコ笑顔で私の自己紹介を聞いてくれました。

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