みんなの物と自分の物

 社会科で「教室にある物」という学習をしました。みんなの物と自分の物を区別し、正しい使い方を覚える学習です。
 私がテレビを指さし、

 テレビはみんなの物ですか、自分の物ですか。

と聞くと、当然のように全員が「みんなの物!」と答えます。同様に、黒板、ロッカー、鉛筆削り、教科書、ノートなどを指さしながら、みんなの物か自分のものかを確認していきました。
 子供たちは「そんなの簡単だよ」というような顔をしています。そこで、

 じゃあ、今座っている椅子や机はみんなの物ですか、自分の物ですか。

と聞いてみました。
 これは迷います。それぞれ自分の考えに手を挙げさせてみると、「みんなの物である」と考えている子が22名、「自分の物である」と考えている子が8名でした。
 「自分の物である」と考えている子供に理由を聞くと、次のような答えが返ってきました。
「だって、今ぼくたちが使っているんだよ。だから自分の物だよ」
「みんなの物だったら、私の机をみんなで使わなくちゃいけないでしょ。そしたら、ぎゅうぎゅう詰めになっちゃうよ。」
 確かにその通りです。反対に「みんなの物である」と考えている子からは次のような反論が出されました。
「もし、自分の物だったら、来年2年生になったらこの机や椅子を2年生の教室間でもって行かなくちゃいけないでしょ。そしたら、来年の1年生の机や椅子がなくなっちゃうよ。だから、みんなの物だよ。」
「そうだよ。保育所の子は保育所から机や椅子を持ってこなくちゃいけなくなっちゃう。」
「6年生は中学校まで持っていくの?そんなの大変だよ。だからみんなの物だよ。」
 10分ほど討論した頃でしょうか。「自分の物である」と考えていた子が次々と考えを変えていきました。「やっぱり、ぼくもみんなの物だと思う」と。
 ところが、敢くんがここで、こんなことを言ってくれました。
「ぼくはどっちでもないと思う。今はぼくたちが使っているからぼくたちの物だし、来年は来年の1年生の物になると思う。」
 全員を敵に回しての孤軍奮闘です。
「すごいね。敢くんは誰も考えつかないことを一人で言ってくれたね。」
こう言ってほめました。
 最後に、

 みんなの物と自分の物はどっちが大切なの?

と尋ねてみました。これもそれぞれ手を挙げさせたのですが、「自分の物の方が大切」という子が8名。「みんなの物が大切」という子が24名でした。たし算をすると32名になります。我がクラスは30名しかいないのです。
「あれ、誰か2回手を挙げている子がいるみたいだよ。」
というと、和美さんと吉博くんが、
「みんなの物も自分のものもどっちも大事だと思う。」
という意見を出してくれました。
 この意見を聞いて、全員が「あっ、ぼくもそう思う。私もそう思う」と考えを変えてきました。
 結局、「自分のものもみんなの物もどっちも大切だ」ということでまとまりました。
 友達の意見を聞いて、自分の意見を考え直す。集団で学習することの大きな利点です。なかなか盛り上がった1時間でした。

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