くっつきの「を」(その2)

 さて、次に出した問題とは、こんなものです。
私は、バケツに入れてあった雑巾を取り出し、しぼりました。そして、子供達に聞きました。

何をしたのですか。

 子供達は、一斉に、
「しぼった!」
と答えます。
 そこで、私は黒板に書きます。

ぞうきん しぼった。

 子供達は、ブーイングの嵐です。
「先生、何書いてるの?違うでしょ。をがいるの!」
 一生懸命私に教えようとしています。全く、わかりの悪い先生だなという感じです。

 正しく、書き直し、やっと子供達が納得したところで、今度はこんなことをしてみました。
 しぼった雑巾を子供達に開いて見せながら、床に落したのです。
子供達に聞きました。

何をしたのですか。

 全員が「おとした」と言います。
 そこで、こう指示を出しました。

今、先生がしたことをノートに書いて持ってらっしゃい。

 これは難しいはずです。
 もちろん、正しく書けば、

ぞうきんを おとした。

となるのですが・・・。
 何人の子供が正しく書いてきたとお思いですか?
16人です。それでも、予想よりはかなり多くの子供が正しく書いてきました。私はもっと、間違うと思っていました。
 さて、黒板に次の4つの文を書きました。

1 ぞうきんお おとした。
2 ぞうきんお をとした。
3 ぞうきんを おとした。
4 ぞうきんを をとした。

 そして尋ねました。

一体、何番の文が正しいのですか。一つだけ手をあげてください。

 これは、全員の子供が3番に手をあげました。間違えていた子供も自分の間違いに気づいたようです。
 1、2、4の間違いをみんなで直しながら、全ての文が正しくなったことを確認しました。

 更にしつこく、問題を出しました。

これから、先生が言うとおりにノートに書きなさい。いいですか。
「かおを あらう。」

 これは、さっきの問題より難しくなります。子供達は、下にくっつくときは「を」と書くと思っていますから、「かお」と書けずに「かを」と書いてしまうのです。
 これもノートを持ってこさせたのですが、正しく書けていた子は、何とたったの8名でした。

 「くっつきの助詞」というのは、子供達にとって、本当に難しいのです。言葉で説明しただけではなかなか書き分けられるようにはなりません。やはり、自分でいろいろと書いていく過程で、定着してくるものなのでしょう。

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