一年生の文章作法(その4)

〜前号より〜

この文章の1番の欠点は「たくさんのことを書きすぎている」ということです。
たったこれだけの文章の中に、朝起きてから寝るまでのことが書かれています。これは書きすぎです。
よい文章というのは、一つのことについて詳しく書いてある文章です。例えば、「かまくらを作って遊んだこと」が楽しかったのなら、そのことを詳しく書けばよいのです。そうするといい文章になります。
では、詳しく書くためにはどうしたらよいのでしょうか。

このように話して、教科書を開かせました。
教科書には、「よく思い出して書こう」と題で、次の観点が書いてあります。

○どんなことをしたか。 (手、足)
○どんなものを見たか。 (目)
○どんなことを聞いたか。 (耳)
○どんな話をしたか。 (口)
○どんなにおいがしたか。 (鼻)
○どんなことを思ったか。 (心)

そして、上の観点についてよく思い出して書いた文章として「豆まきの日」という作文が載せられています。
私が読んで聞かせ、「手、足」「目」「耳」「口」「鼻」「心」全てを総動員して書かれた作文であることを確認しました。
さて、今度は子供たち自信が実際に書いてみる番です。1つのことについてどれだけ詳しく書けるでしょうか。

全員に原稿用紙を配り、こんなことをしてみました。

これから先生のすることをよく見ていなさい。これから先生がしたことを見て作文を書いてもらいます。よく見ていないと書けませんよ。

こう言って、私は行動を始めました。私の行動だけを順番に箇条書きにしてみます。

1.廊下に出た。
2.戸を開けて教室に入った。
3.せき払いをした。
4.子供たちの顔を見渡した。
5.椅子に座った。

たったこれだけです。時間にすれば1分にも満たない時間です。これだけのことを原稿用紙に1枚書かなければならないのです。観察力、文章表現力が試されます。
私はニヤッと笑い、子供たちに告げました。

さあ、終わりです。書いてください。

「ええっ!もう終わり?書けないよ。」
子供たちはすでに悲鳴をあげているようですが、それでも鉛筆を動かし始めました。
約5分後、一人そして二人と作文を見せに来ました。原稿用紙の半分以下しか埋められていません。無言で点数を書きます。
「0点」「10点」・・・
容赦のない点数をつけられた子供はすごすごと自分の席に戻り、より高い評価を得ようと必死になって改良を加えてきます。
一人の子が80点の評価を得ました。すると、それを境にかなりの子供の作文がレベルアップしてきました。こういうことは波及的に影響していくようです。
90点、95点。かなり高い評価が出始めました。しかし、子供は妥協しようとしません。
「絶対100点をとってやる!」
挑戦的に私に言い放ち、また自分の席で鉛筆を走らせます。たくましさを感じました。成長を感じました。こういう子供の姿を見るとうれしくなります。
書き続けること30分。100点の評価をもらった子供が一人二人と出てきました。
さて、どんな文章を書いてきたと思いますか。

〜次号へ〜

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