『はくさいぎしぎし』(その2)

昨日、詩「はくさいぎしぎし」で子供たちが作った問題を紹介しました。
さて、一昨日、私の留守中の自習時間に子供たちがノートに書いた解答を確かめている時です。紗由可さんの作った次の問題が話題になりました。

話者の名前は何という名前でしょう。

子供たちの答えが2つに分かれたのです。「武鹿悦子だ」(教科書には作者名としてこの名前が書かれています。)という子供と、「わからない」という子供がいたわけです。子供たちの頭の中で、「話者」と「作者」が混乱しているのです。
そこで昨日、次のような学習をしてみました。黒板に下の詩を書き、子供たちにもノートに写させます。

から

ざりがにが、
すぽっと、からをぬいだんだ。
赤いじょうぶなから。
着なれたやつ。
田んぼのどろのしみたやつ。

今、
やわらかい白いからなんだ。
からをぬぐって、
どんな気持ちだろう。

ぬぎすてるたび。
大きくなるざりがに。
ぼくにもからがあったら。
ばりばりぬぐ。
おとなになって、どこへでも行く。

何度か音読練習をさせた後、次のように問いました。

作者は、男だと思いますか、女だと思いますか。

29名中、28名が「男だ。」と言います。子供たちから出された根拠は次の通りです。
○「ぼくにも」と書いてあるから。 ○「ぬいだんだ。」という言い方は男みたいだから。
○「やつ」という言い方は男みたいだから。
「女だ。」と言った子は理由が言えませんでした。
この問題の答えは言わず、次の問いに移りました。

作者は、大人だと思いますか、子供だと思いますか。

3人ほどの子供が「大人だ。」と言いましたが、ほとんどの子供は「子供だ。」という答えです。
○「おとなになって、」と書いてある。もう大人なら、こんなことは言わない。
○大人は、「からをぬぐって、どんな気持ちだろう。」なんて思わない。
○「ぼくにもからがあったら、」というのは子供の言い方だ。
こんな根拠が出されました。この根拠を聞いて「大人だ。」という子も考えを変えたようです。
ここで私が次のように話します。

みんなの考えでは、「作者は男の子だ」ということですね。
では、答えを言います。作者は・・・、大人です。しかも女の人です。

もちろん子供たちは、「エーッ!」と一様に驚きます。「じゃあ、先生、理由を言ってよ。」と私に挑戦してくる子もいます。しかし、理由は子供たちに考えてほしいのです。
そこへ勇起くんが手を挙げて、こんなことを言ってくれました。
「作者は大人で女の人だけれども、その人がこの詩の中では男の子になって書いたんだと思います。」
他の子供も納得したようです。最後に私がもう一度説明しました。

そうなのです。物語の中でお話をしている人のことを何と言うのでしたか。そうです。話者ですね。この詩の作者は「大人の女の人」です。でも、話者は「男の子」なのです。「男の子」を話者にして、作者が書いた詩なのです。

説明だけ聞いていると頭が混乱しそうになりますが、1年生のときから「話者」という概念については親しんできた子供たちです。スムースに理解してくれました。「作者」と「話者」は違うのです。

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