きつねのおきゃくさま(その3)

【3時間目の続き】

主人公は誰ですか。

これが問題でした。
最初は全員が「きつねである」と言ったのです。ところが、理由を言ってもらっているうちに子どもたちが迷ってきたのです。
敦くんがこんな理由を発表してくれました。
「題が『きつねのおきゃくさま』だから、きつねが主人公だと思います。」
これには、敢くんから次のような反論が出ました。
「『うしろのまきちゃん』を勉強したとき、題は『うしろのまきちゃん』だったけれど、主人公はたけしくんでした。だから、題は関係ないと思います。」
実はここから子供たちの悩みが始まったのです。なぜなら、題は『きつね』ではなく『きつねのおきゃくさま』だからです。
「もしかしたら、きつねが主人公なのではないのかもしれない。」
と言い始める子どもが出てきたのです。
「でもやっぱり、きつねが主人公である」と主張する子はわずかに2名になりました。残りの27名は迷っているわけです。
これはなかなかおもしろくなってきました。
ここで、淳君が、
「前に、一番活躍している人が主人公だと勉強したことがあります。このお話はきつねが一番活躍しているから、きつねが主人公だと思います。」
と発表しました。この淳君の意見でまた「きつね派」に戻った子どももいましたが、まだ迷っている子どもが多くいます。
このまま話し合いを続けていても、平行線をだどりそうです。そこで、私が助言をしました。

淳君の考えはすばらしいですね。でもまだ迷っている人もいるようです。主人公を考えには、淳君が言ってくれた他にもう一つ方法があります。それは、話者について考えてみるのです。
このお話で話者はどこから見て話をしていますか。教科書の絵に話者の目を書き込みなさい。

このように尋ねたのです。話者の目を書き込むという学習は1年生の時に「花いっぱいになあれ」でやっていますから、子どもたちはできます。
3分ほど待ち、子どもたちの考える話者の位置を発表してもらいました。下の絵をごらんください。

ほとんどの子がアの位置から見ていると考えているようです。あやこさんはこんな理由を言ってくれました。

「『はらぺこきつねが歩いていると、やせたひよこがやってきた。』と書いてあるから、話者はきつねの方から見ていると思います。」

ところが、反対意見が出ました。イの場所に書き込んでいる子が11名いたのです。大くんから、代表して黒板に目を書き込んでもらいました。
そして、孝征くんが理由を発表してくれました。

「『きつねは、心の中でにやりとわらった。』と書いてある。話者がアの場所から見ていたのなら、心の中で笑ったことがわかるわけがないから、話者はきつねの心の中から見ていると思います。」

これは説得力があります。アだと言っていたこも全員イに意見を変えました。話者は登場人物の心の中にまで入ることができるわけです。昨年の学習が生きていたのか、ウだと言う子が一人もいなかったのはすばらしいことだと思います。
さて、話者はきつねの心の中から見てこのお話を話していることがわかりました。ここで、もう一度尋ねました。

主人公は誰ですか。

今度は全員が自信たっぷりの表情で「きつね」だと答えます。
この後、場面は全部で7つあることを確認し(場面間は行があいているのですぐわかるのです)、これからの学習では1場面から順番にきつねの心の中を詳しく読んでいこうということで、学習を終えました。

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