きつねのおきゃくさま(その5)

【4時間目の学習の続き】

ここまでわかったところでもう一度尋ねました。

1場面できつねの心は変わっていますか。それとも同じですか。

今度は28名が「変わった」と言います。和美さんだけが「変わっていない」という意見でした。(この和美さんの意見が後で生きてきます。)

じゃあ、ほとんどの人たちは変わったというんだね。では聞きますが、1場面できつねの心が変わったのはどこですか。

このように尋ねてみました。
子どもたちからは2通りの意見が出ました。

「きつねおにいちゃんってやさしいねえ。」
「やさしい?やめてくれったら、そんなせりふ。」
でも、きつねは、生まれてはじめて「やさしい」なんて言われたので、少しぼうっとなった。

きつねは、ひよこに、それはやさしくたべさせた。そして、ひよこが「やさしいおにいちゃん」と言うと、ぼうっとなった。

この後、それぞれ理由を発表させたのですが、なかなか言えません。自分がなぜそう考えたのかを自問することは大切なことですので、しばらく待つことにしました。(子どもたちには、日頃から「なぜ?」に強くなれと言っています。)
あやこさんと泰士くんが口火を切りました。二人ともほぼ同じような理由です。

「『それはやさしくたべさせた。』のところだと思います。なぜなら、最初はがぶりとやろうと思っていたのに、最後はやさしく食べさせているからです。」

この意見に対し、ひろみさんは次のように発表しました。

「でも、『生まれてはじめて「やさしい」と言われてぼうっとなったのだから、ここだと思います。』

ここで、あやこさんがまた意見を出しました。

「どちらもまちがっていないと思います。なぜなら、どちらも『やさしい』と言われてぼうっとなったからです。どっちもいいと思います。」

これは、全員の賛成を得ました。ただ、一つ確認しておきたいと思い、わたしは尋ねました。

どちらがいっぱいぼうっとしていますか。

ここで、「あっ」いう声が聞こえました。アは「少しぼうっとなった。」と書いてあるのに対し、イは、「ぼうっとなった。」と書いてあるからです。
これで、子どもたちはきつねの心はだんだんと変わってきたのだということに気づいてきました。
私はさらに揺さぶりました。

みんなは、ひよこをがぶりとやろうと思っていたきつねの心が変わってきたと言いましたが、1場面の最後では食べようとは思わなくなったのですね。

子どもたちは、「ちがう。まだ食べようと思っている。」と答えます。つまり、「1場面できつねの心は変わっていない。」と言った和美さんの意見もまちがっていないことがわかったわけです。

まだ、食べようという心はあるけれど、ひよこが言った「やさしい」という言葉できつねの心はだんだん変わってきた。

この時間に学習した1場面のきつねの心をまとめると上のようになります。
最後に子どもたちに尋ねました。

昨日より、きつねの心がわかってきた人?

29名全員が手をあげました。
次の時間は、2場面のきつねの心の中を読んでいくことを確認し、学習を終えました。

〜以下次号〜

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