さけが大きくなるまで

さけは、北の海にすむ大きな魚です。あの七十センチメートルほどもある魚は、どこで生まれ、どのようにして大きくなったのでしょう。

秋になるころから、おとなのさけは、たくさんあつまって、たまごをむみに、海から川へやってきます。そして、いきおいよく川を上ります。三メートルぐらいのたきでものりこえて、川上へ川上へとすすんでいきます。
やがて、水のきれいな川上にたどりつくと、さけは、おびれをふるわせて、すなや小石の川ぞこをほります。ふかさが五十センチメートルぐらいになると、そのあなのそこにたまごをたくさんうんで、うめてしまいます。

冬の間に、たまごからさけの赤ちゃんが生まれます。大きさは二センチメートルぐらいです。はじめは、ちょうど赤いぐみのみのようなものをおなかにつけていますが、やがて、それがなくなって、三センチメートルぐらいの小魚になります。

春になるころ、五センチメートルぐらいになったさけの子どもたちは、海にむかって川を下りはじめます。水にながされながら、いく日もいく日もかかって、川を下っていきます。

川を下ってきたさけの子どもたちは、一か月ぐらいの間、川の水と海の水がまじった川口のところでくらしています。その間に、十センチメートルぐらいの大きさになります。

海の水になれて、体がしっかりしてくると、いよいよ、広い海でのくらしがはじまります。
海には、たくさんの食べものがあります。それを食べて、ぐんぐん大きくなります。けれども、さめやあざらしなどに、たくさんのなかまが食べられてしまいます。

ぶじに生きのこって大きくなったさけは、三年も四年も海をおよぎ回ります。
そして、たまごをうむ時には、北の海から自分が生まれたもとの川へ帰ってくるのです。

3時間、音読の練習をしました。このくらい読むと大抵の子どもは話の内容がほとんど理解できるようになります。あとは、子どもたちが読んだだけでは気づくことができないことについて学習すればよいわけです。
初めに「段落」について学習しました。これまで子どもたちは文章が始まってから改行されるまでを1段落ととらえていました。形式段落といわれる概念です。
今回はそれに加え、「意味段落」という言葉を教えました。といってもその概念を理解するのは2年生には無理です。ちょうどいいことに「さけが大きくなるまで」は意味段落ごとに1行の空間があります。子どもたちはその空間を目印に意味段落をとらえることができます。
上で紹介した本文を読んでもらえば分かる通り、この文章は7つの意味段落から構成されています。
1段落目を読ませた後、子どもたちに問いました。

1段落目に書かれているようなことを何と言うのでしたか。

多分答えられないだろうなと思って聞いたのですが、かなりの子どもが「誘いかけの文」と答えました。前に「きつつき」という説明文で学習したことを覚えていたのです。ほめました。

すごい。よく覚えていたね。「きつつき」では最初に誘いかけの文があったもんね。ただもう一度1段落目を読んでごらん。誘いかけているかい?ちょっと違うでしょう。こういうのを「問題の文」と言います。

高学年の子どもたちであれば「問題提起の文」と教えるところですが、2年生ですので「問題の文」としました。
続いて問います。

問題はいくつ書かれていますか。

2つの問題文が一文で書かれているので、2年生の子どもたちには難しいと思ったのですが、ほとんどの子どもが読み取っていました。
次の2つです。

1.さけはどこで生まれたのでしょう。
2.さけはどのようにして大きくなったのでしょう。

その通りだね。問題は2つだね。ということは、答えが書かれているはずです。1つめの問題「さけはどこで生まれたのでしょう。」の答えは何段落目に書かれていますか。数字をノートに書きなさい。

これはさすがに抵抗のある問題だったようです。だいぶ考えていました。子どもたちの答えは2つに分かれました。2段落目と言う子と、3段落目だと言う子に分かれたのです。半々くらいです。
2段落目、3段落目をお読みください。大人が読めば答えははっきりしています。しかし、子どもにはなかなか読めないのです。
3段落目という子どもに3段落目を音読させました。そして問いました。

どこで生まれたのですか。3段落目に書いてある言葉で答えなさい。

答えられません。3段落目は「どこで生まれたか」についての答えは書かれていないからです。
続いて2段落目だという子どもに2段落目を音読させました。そして問いました。

どこで生まれたのですか。2段落目に書いてある言葉で答えなさい。

「川です。」子どもが答えます。他の子どもの手が10本ほど上がりました。「川だけでは不十分だ。」というのです。「川上です。」という答えが出ました。まだ5本ほど手があがっています。その子どもたちは「川上の川底です。」という答えでした。
私は尋ねました。

「川」「川上」「川上の川底」3つ答えが出ました。3つともまちがいではありませんが、どれが一番いい答えですか。

全員が「川上の川底」という答えを選びました。

一つ目の問題の答えが分かったね。明日は二つ目の問題の答えがどこに書かれているかについて考えましょう。

こう言ってこの時間の学習を終えました。

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