さけが大きくなるまで(その4)
こんな問題文では答えられない!

前号では子どもたちのすばらしい学習ぶりについてお伝えしました。その時の学習で子どもたちはもう「さけがどのようにして大きくなるのか」を学習してしまいました。
そこで読み取り学習の最後のまとめとして黒板に下のような図をかき、さけの動きについてまとめてみました。

教科書に載せられている文章の読み取りが終わったところで、子どもたちにも説明文を書いてもらうことにしました。「さけが大きくなるまで」を読んで疑問に感じたことを「問題の文」として設定し、それに答える形で説明文を書くのです。
ただ、自分の持った疑問に答えるためには情報源が必要です。前にこの通信に書いた「図書館活用」の必要性が生まれてくるわけです。
うまい具合に、学級文庫に「サケのたんじょう」(桜井淳史 あかね書房)という本をがありましたので子どもたちに紹介しました。もちろんこの本が子どもたちの人数分あるわけではありません。そこで必要な部分を印刷し、全員に配りました。
1回子どもたちに黙読させた後、尋ねました。

1段落目を読んで気づいたことはありませんか。

何人かの子どもの手があがりましたが、今一つ反応がよくありません。わたしの聞き方がよくなかったのです。問い直しました。

1段落目には何が書かれているのですか。

今度はかなりの子どもの手があがりました。「問題の文」です。

問題はいくつありますか。

これは簡単に答えが出されました。次の2つです。
1.なんのために、遠い海へ行くのでしょう。
2.なぜ、生まれた川にもどってくるのでしょう。

ズバリと聞きました。

1つめの問題の答えを短く一言で答えなさい。

しかし、子どもたちは言えませんでした。1回黙読しただけではちょっと無理かもしれません。かなり長い文なのです。後でもう一度読みながら考えることにしました。

2つめの問題の答えは何ですか。短く一言で答えなさい。

これは答えが出されました。ほとんど全員が「卵を産むため」という答えでした。しかし、わたしはゆさぶります。

ほんとうにそれでいいですか?

子どもたちは「いい」と言います。子どもたちには見つけられませんでしたが、実はここには大きな問題があるのです。みなさんは2つめの問題文がどのような問題か理解できますか。わたしにはできません。子どもたちに話しました。

先生には2つめの問題の意味がよくわかりません。実は、この2つめの問題文は2通りの読み方ができるのです。
問題文は「なぜ、生まれた川にもどってくるのでしょう。」と書いてありますね。この文は、次のうちどちらの意味なのでしょう。
A.なんのために、生まれた川にもどってくるのでしょう。
B.なぜ、生まれた川にもどってくることができるのでしょう。
どちらですか。

子どもたちにはわかりませんでした。

あなた方は「卵を産むため」と答えましたが、この答えはA,Bのうちどちらの問題に対する答えですか。

子どもたちは「Aだ。」と答えます。しかし、この問題文がBの意図で書かれた文であったなら、子どもたちは読み間違いをしていることになります。
この文は、意味が1つに限定できない悪文なのです。物語文では別ですが、説明文ではいく通りにも読めるような文があってはならないのです。(薬の説明書がいく通りにも読めたら大変なことです。)
ただ、先の文の場合、筆者はおそらくBの意味で書いたのだろうと思います。なぜなら、1つめの問題文には「なんのために」という表現をしているのに、2つめの問題文ではあえて「なぜ」と言い換えているからです。
ということは、子どもたちは筆者の意図した問いを読み取れなかったということになります。これは子どもたちが悪いのではありません。書いた筆者が悪いのです。
子どもたちには次のように話をしました。

この問題の文を読んだだけでは2つめの問題がA,Bどちらの意味なのかがわかりませんね。ですから、問題は3つあると考えましょう。
1.なんのために、遠い海へ行くのでしょう。
2.なんのために、生まれた川にもどってくるのでしょう。
3.なぜ、生まれた川にもどってくることができるのでしょう。

上の3つの問題の答えを探しながら、「サケのたんじょう」の内容を読むことにしました。

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