かさこじぞう(その3)

前号より

3の文章です。

3の文章の中で大切な言葉はどれですか。

「売りもののかさ」「風でとばぬよう」があげられました。
「そんな言葉は1年生でも見つけられます。みんなが見逃している大切な言葉があるのですよ。」と私。
何人目かで「しっかり」という言葉を見つけてきました。ただ、なぜこの言葉が大切なのかが言えません。ヒントを出しました。

じいさまは今、どこにいるのですか。

「ふきっさらしの野っ原」

そうです。寒くて凍えそうな野っ原にいるのですよ。手はどんなですか。

ここでやっと気づいてくれたようです。
「あっわかった!寒くて、手がよく動かない。そんな手でしっかり結ぶのは大変だと思う。」

そうだね。みんなも寒くて手がよく動かないことあるでしょう。よく動かないような手だけれど、じぞうさまのためにしっかりむすんであげたんだね。

2の文章です。
これは全員が見つけました。
「ぬれてつめたい」です。自分も寒いのに、ぬれてつめたいじぞうさまのかたやらせなやらをなでたのです。当然、じいさまの手は冷たくなります。これでまた3の「しっかり」という言葉の持つ意味が生きていきます。

最後に1の文章です。
「かきおとしました。」これです。しかし、この言葉の意味をどれだけの子どもが理解しているのでしょうか。この学習はなかなかおもしろいものになりました。
いつも大仏のまねをして人気を得ている敢くんに前に出てきてもらい、

さて、敢くんがじぞうさまです。じぞうさまのおつむの雪をかきおとしてください。

このように子どもたちに要求したのです。
やりたがる子どもたちでいっぱいです。一人一人前に出させ、「おお、お気のどくにな。さぞつめたかろうのう。」という台詞つきで動作をさせてみました。
やはり私の思った通りです。
「0点」「0点」「0点」・・・
無情に告げる私。子どもたちは「なんで?どこが悪いの?」といったような顔で私の方を見ています。一体子どもたちはどんな動作をしていたのでしょうか?
手のひらで雪を払い落とすような動作をしていたのです。
何人目かで、やっとややかきおとすような動作が入りました。
「80点」
私は告げます。
「あっ、わかった!」
と子どもたち。その後は続々と100点の子どもたちが出てきました。

0点の人と100点の人はどこが違ったのですか。

じぞうさまの役をやってくれていた敢くんが答えます。
「0点の人はただ、雪を払っていただけだけれど、100点の人は指を立てて雪をかきおとしていました。」

そうなのです。じいさまは雪を払い落としたのではなく、かきおとしたのです。なぜですか。

「寒くて、雪が固くなっていたから。」

そう、じぞうさまのおつむの雪は払っただけでは落とせないほど冷たく固くなっていたんだね。そんな雪をじいさまはかきおとしたのです。
固くなった雪をかきおとし、その手でぬれて冷たくなったじぞうさまの肩や背中をなで、凍りつくような手で、かさのひもをしっかりと結んであげたのです。さらに、かさが足りなくなると、つぎはぎをして長い間使っていた手ぬぐいまでもかぶせてあげたのです。
この時間の最初より、じいさまのやさしさがよくわかったと思う人?

全員が手を挙げました。
「あれども見えず」の状態の子どもを「見えるように」変容させてやるのが教師の仕事だと思っています。

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