小さなドラマ マラソン大会

「あと少しだ。がんばれ!」
大勢の声援に励まされながら、懸命にゴールを目指す子供たち。
雲がうっすらと空を覆い、秋風が頬をなでる。そんな、絶好のコンディションの中で、マラソン大会が行われました。

勝負は、何週間も前から始まっていました。マラソン大会当日、全力で走りきるのは当たり前のことです。手を抜く子供など一人もいません。当日を迎えるまでに、どれだけがんばってきたか。そこが勝負だったのです。
子供たちは、燃えていました。
「先生、今日は○○さんと同じペースで走ったよ。」
「先生、○○さんより2周も多く走ったよ。」
朝マラソンが終わり、教室へと戻る廊下で、その日のがんばりを伝えてくれていました。「優勝」の2文字を口にする子供も1人や2人ではありませんでした。冗談ではなく、本気でねらっているのです。ライバルを意識しながら、お互いに切磋琢磨していました。
走ることが苦手な子供たちも、一人一人が自分のめあてに向かって、練習に取り組んでいました。
「今日は、歩かないで連続5周走ったよ。」
「今日は、8時前から走っていたんだよ。」
自分のがんばりを誇らしそうに語ってくれていました。
中には、休日にマラソンコースで練習をしていた子供たちもいます。
こんな子供たちですから、私ははじめから大会の成功を確信していました。すごい走りを見せてくれるに違いない。相当なデッドヒートが演じられるだろう。レース開始が楽しみだったのです。スタート前には、子供たち同様、胸がドキドキしていました。

私の期待が裏切られることはありませんでした。子供たちは、本当にすばらしいレースを見せてくれました。最後までがんばり抜く姿を示してくれました。ライバルに負けたことが悔しくて涙する子、順位を聞いた瞬間に崩れ落ちる子。小さくガッツポーズをする子。悲喜交々ではありますが、これまでにがんばってきたからこそ見られた姿だと思います。そうでなければ、こんなに喜んだり悔しがったりするはずがないからです。小さなドラマでした。こちらの胸も熱くなりました。
最後まで走り抜いた全員に大きな拍手を送ります。がんばったね!