『ていねいさ』ということ

ちょっと辛口の文章になります。
金曜日、国語『子ねこをだいて』のテストをしました。テスト前、子供たちに注意を与えました。

問題に正対して答えなさい。「正対」という言葉は難しいかもしれませんが、言い換えれば「聞かれていることに正しく答えなさい」ということです。
例えば、「あなたの名前は?」と聞かれて「10歳です。」と答えたら、それはとんちんかんな答えですね。聞かれていることに正対していません。ところが、テストになると、こんなとんちんかんな答えに近い答え方をしている人が多いのです。問題を正しく読み、正対して答えましょう。」

昨年度、テストを採点していて「理解はしているのに、問題に正対していないばっかりに減点されている」という例をかなり見てきました。そこで、今回はあえてテスト前に上のような注意を与えたわけです。

さて、テストに次の文章が示されています。

ぼくの家では、四年前から動物が飼えなくなってしまった。リエがぜんそくになったからだ。この病気の人は、動物の毛をすいこまない方がよいのだそうだ。

問題です。

1.リエがぜんそくになって、「ぼく」の家でできなくなったことは、どんなことですか。
2.どんなことが、ぜんそくによくないのですか。

正答は明らかです。次のようになります。

1.動物を飼うこと。
2.動物の毛をすいこむこと。


どのくらいの子供たちが正答したと思いますか。
1の問いに正答した子供はわずかに3名です。2の問いについては14名、半数以下です。
誤答の子供は一人残らず次のように答えていました。

1.動物が飼えなくなったこと。
2.動物の毛をすいこまないこと。


次の文章が示されています。

公園のうらは、せまい空き地になっていた。空き地と生けがきの間のみぞにそっと下ろすと、子ねこがぼくを見上げて、ミャーミャー鳴き始めた。

問題です。

7.子ねこの不安そうな様子は、どの文から分かりますか。書きぬきましょう。

正答は次の通りです。

空き地と生けがきの間のみぞにそっと下ろすと、子ねこがぼくを見上げて、ミャーミャー鳴き始めた。

2つポイントがあります。

1「どの文から分かりますか。」と聞かれているのですから、文を書かねばなりません。文の一部分を書いただけでは間違いになります。
2「書きぬきましょう。」と指示されているのですから、文をそのまま書き写さねばなりません。句読点が一つ抜けても間違いです。

この問題に正答した子供は1名でした。
みんな理解はしているのです。分かってはいるのです。しかし問題に対する答えとしては誤答です。おそらく私が誤答の理由を説明しなければ、なぜ間違いなのかも分からない子供も多いでしょう。

つまらないこととお思いになる方もいらっしゃるかもしれませんが、実は重要なことなのです。テストだけのことではないからです。
テスト前日の木曜日、グラウンドで学年の合同体育がありました。授業をしていた稲垣先生が指示を出しました。

網にさわった人から整列します。網にさわって、元の場所に戻ってきなさい。並んだ列から腰を下ろします。

10秒にも満たない指示です。この指示の後、子供たちは網に向かって走り始めました。さわった子から一目散に戻ってきます。ところが、腰を下ろさない列がいくつもありました。指示を正確に聞いていないのです。極端な例ですが、緊急時には命に危険が及ぶ場合もあります。

『正確に聞く』『正確に読む』という能力は、これから子供たちが成長していく上で欠かすことのできない大切な能力です。小学校のうちに身につけておかなければならない力です。一言で言えば「ていねいさ」ということになります。
向山洋一という先生はこんなことを書いています。

いかなる学習にとっても、大切なことは二点である。
第一は『ていねいさ』である。第二は『持続性』である。
これ以外の条件は、「例えば知能が少々良いというようなこと」は、どうでもいいことである。
強いて言えば、他人の忠告を受け入れる『素直さ』があった方がいいが、上記の二条件を満たす子は、ほとんど『素直』であるからそれを入れることもない。
これらを育てるためには、腰を据えてかかって数年は必要である。そして小学校高学年はほとんど最後のチャンスである。

今月の漢字テスト、学級の平均点は91点でした。力もやる気も持っている子供たちです。「ていねいさ」も是非身につけてほしいですね。私も腰を据えてかかりたいと思います。

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