詩の音読(その2)

場面を思い浮かべながら音読する事が大切だということを前の時間に学習しました。子供たちは一人一人自分の思い浮かべた詩の情景を絵に描いています。自分のイメージを作っているわけです。この時間は、そのイメージを検討することになります。
国語の学習ですから、きちんと言葉に対応した情景を思い描かなくてはなりません。自分勝手なイメージではまずいのです。
まず、子供たちに問います。

自分の描いた絵と、詩を比べながら考えます。季節はいつですか。

圧倒的に多かったのが、「春」という答えです。「夏」と答えた子供が6名ほど、「秋」と答えた子供が1名、さすがに「冬」と答えた子供はいませんでした。
理由を尋ねます。
「私は春だと思います。『草原の海』と書いてあるから、草が生えている季節だと思います。だから春です。」
「春」だと答えた子供からはこれ以上の根拠は出されませんでした。
「夏」派から反対意見が出されます。
「『ひろびろとうねる』と書いてあります。『うねる』の意味を辞書で調べると、『上下左右に曲がりくねること』と書いてあります。草は結構長いと思います。春の草はそれほど長くは伸びていないから、夏だと思います。」
「私もそう思います。『草原の海』に見えるには生え始めたばかりの草ではダメだと思います。だから夏です。」
この2つの意見によって、子供たちの考えはほとんどが「夏」に動きました。
続いて尋ねます。

『波をけって』と書いてありますが、波をけっているのは何ですか。ノートに書きなさい。

3通りの答えが出されました。「馬」「風」「草」です。
「草」が草の波をけるというのは変だという理由で、「草」という考えは消えました。圧倒的に多かったのが「馬」でした。しかし、「草」という子供から反論が出されます。
「『風がはしる 波をけって』と続くのだから、波をけっているのは「風」だと思います。」
これはどちらにも解釈ができそうですが、子供たちの考えは「風」になびいていったようでした。

更に問います。

話者は近くで見ているのですか、遠くで見ているのですか。話者の視点はこの3枚のどれに一番近いだろうね。

子供たちの描いた絵の中から、典型的な物を選び、黒板に貼りました。「馬と少年を遠くから見たように小さく描かれているもの」「馬と少年がアップで描かれているもの」「その中間のもの」の3枚です。

「私はあまり近くではないと思います。そんなに近くで見ていたなら、馬と少年だけが目に入っているはずです。でも詩の出だしは『ひろびろとうねる 草原の海』と書いてあります。だからそんなに近くではないと思います。」
「でも、あまり遠かったら、白いたてがみが流れる様子なんて分からないと思います。」
「題は『馬でかければ』なんだから、一番の中心はやっぱり馬だと思います。」
「『少年の短い呼吸は 馬にかさなって』というのは離れてみていたのでは分からないことだと思います。」

いろいろな意見が出されましたが、
○草原の海が認識できるような視点
○少年の呼吸が確認できるような視点
この2つの条件を合わせ持っている、「それほど近くもないし、そんなに離れてもいない」という中間視点の絵が選ばれました。

「季節」や「話者の位置」など、子供たちはほとんど意識せずに絵を描いていたようです。しかし、言葉と対応した情景を思い浮かべるためには、こういったことを考えてみることも大切なことなのです。この詩に限らず、ほかの詩を読むときの武器にもなります。

こんな学習の後、もう一度全員に一人一人音読をさせました。最初の音読とは比べものにならないくらい見事な音読が聞かれました。

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