『覚えることとわすれること』

国語の時間です。何の勉強をするのかは全く告げず、黒板に『覚える』と書きます。そして一つだけ指示を出します。

『覚える』、この言葉を使ってノートに短文を作りなさい。

簡単な問題ですので、あっという間に書き上げる子供もいます。その子供たちには更にいくつか作るように指示します。ほとんどの子供が主語を書いていませんでしたので、主語を書くように注意します。3分ほど待ち、一つの列を指名し発表させます。次のような短文が発表されました。

A 私は漢字を覚えた。
B みんなで辞書を引くことを覚えた。
C ぼくは道を覚えた。
D 私は踊りを覚えた。
E 私は詩を覚えた。

子供たちのノートを見ると、なんと23名が「漢字を覚える」という短文を書いています。『覚える』→『漢字』という強烈な経験があるからでしょう。興味深いことです。
問います。

5つの『覚える』が黒板に書かれています。これらの『覚える』はすべて同じ意味でしょうか。

全員が「違う」と言います。辞書を引いて調べている子供もいます。辞書を引いた子供にどんな意味が書かれているか発表させました。子供たちの辞書には下の3つの意味が記されています。

1 習ったり見たりしたことを忘れないでいること。(例えば「人の名前を覚える」)
2 一人で感じたり気づいたりすること。(例えば「胸騒ぎを覚える」)
3 身につけること。(例えば「運転を覚える」)

A〜Eの『覚える』は1,2,3のどの意味でしょう。

Aは1、Bは2、Cは1、Dは1,3、Eは1であることを確認しました。Cが1でもあり3でもあるのは、「私は3歳で踊りを覚えた」という場合と「私は昨日新しい踊りを覚えた。」という場合とで意味が変わってくるからです。

『覚える』の反対語は何ですか。

すぐに答えが出ます。『わすれる』です。

では、教科書の90ページを開きなさい。

そこには『覚えることとわすれること』という説明文があります。久保田競という人が書いた文章です。この人、みなさんは覚えていらっしゃるでしょうか。PTA行事で見た映画の中で脳の仕組みについて解説していたあの人です。(これは偶然ですが・・・)
最初の形式段落を全員で一緒に読みました。

わたしたちは、生まれてから今まで、経験を通して、たくさんのことを学び、覚えてきました。手足を動かしたり、ものの形や色を見分けたり、物音を聞き分けたりすることも覚えてきました。言葉も覚えてきました。覚える働きは脳がしているのです。

すぐに教科書を閉じさせます。そして問います。

わたしたちは生まれてからたくさんのことを覚えてきたと書いてありましたね。いくつの例が書かれていましたか。

子供たちはたった今読んだ文章を必死で思い出していますが、曖昧なようです。3つと答える子供が多数でした。
教科書を開かせ、確認させます。今度はきちんと数えられました。正解は4つです。

覚える働きは脳がしているんだね。どんな働きをしているのかが続きに書いてあります。一人一人黙読しなさい。

全員が黙読を終えたところで2つ質問をしました。

『覚えることとわすれること』というこの文章、分かりやすかったと思う人はA、大体は分かったという人はB、難しくて分かりにくかったという人はCとノートに書きなさい。

「分かりやすい」と答えた子供はわずかに3名、「大体分かった」という子供が19名、「難しくて分かりにくかった」という子供が10名でした。
続いて2つ目の質問です。

この文章、「興味深くおもしろかった」か「まあまあ」だったか「全然おもしろくなかった」か。手を挙げてもらいます。

「おもしろかった」という子供が7名、「まあまあ」という子供が18名、「おもしろくなかった」という子供が7名でした。
これから本格的な学習に入っていくわけですが、「難しくて分かりにくかった」と言う子供が「よく分かった」と言ってくれるような学習をしていきたいと思っています。そして「おもしろかった」とも言ってくれれば言うことなしです。
今後の学習についても順次お伝えしていく予定です。お家のみなさんも是非本文をご一読下さい。(お忙しいのはよく分かりますが、5分もあれば読めます。)

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