言葉は心をつなぐ

TVゲームで遊び声に驚く

小四の息子の友達が我が家に遊びにきます。私の顔を見ると「失礼します」と一言断って入ってきますし、帰るときもきちんとあいさつするので、近頃の子供はたいしたものだなと内心驚いていました。ところが、その驚きを通り越すビックリがありました。
テレビゲームで遊ぶ彼らの叫び声が台所の私の耳に届きました。その言葉たるや!相手がうまく一面をクリアしたら「ムカつく」。だれかが口をはさむと「るっせんーんだよ」。ゲームオーバーが出たからか、「だっせえー」。あげくの果てに、もめ出したのか「ぶっ殺すぞテメエー」。
さすがの私も「仲よう遊ばんのやったらもう帰りな」と割って入ったほどです。ところが、格別けんかの最中というわけでもなく、平然とゲームは続き、帰り際「ありがとうございました」とあいさつをして帰っていきました。今の子供たちの言葉ってどうなっているの?

(三重県芸濃町 柴田豊子 主婦・ 歳)
朝日新聞 1994.11.16

知り合いの息子に高校生がいます。一人っ子です。優しいし、人の好いところもあるのですが、彼と話をしていると、ときどきどこかのご隠居様と話しているような気分になります。
「家での勉強の時間がずいぶん長いようだけど、疲れるでしょう。」
「まあね」
「時間を決めて運動するとか、思いっきり友達と遊ぶということはないの?」
「けっこう遊んでる」
「春休みになったら、どうしてもこれをしようと計画しているようなこと、ある?」
「べつに」
「同じことなら好きな物をお土産に持って来たいから、好きな食べ物をおばさんに教えて」
「いいよ。適当に食べてるから」
高校生なんですよ。彼の両親の大切な息子であり、まず裕福な生活を恵まれているらしいのは充分想像できるのですが、こういうやりとりになってきますと、もう見るべきものは見たというような相手の物言いに、会話を続ける気力を失ってしまいます。

竹西寛子 『国語の時間』読売新聞社

先週の金曜日の学習です。上のようなプリントを子供たちに配って自分の意見を書いてもらいました。プリント上の文章は、つい先日、朝日新聞に投書されていた主婦の文章です。プリント下の文章は、私の本棚にあった本から引用した文章です。読んでもらうとわかる通り、どちらも現代の子供たちの「言葉」について考えさせる文章です。(小学生、高校生という違いはありますが・・・)
さて、みなさんはこの2つの文章についてどんなお考えをおもちですか。また、子供たちはどのような考えをもったと思いますか。この後をお読みになる前に予想してみて下さい。(子供たちが出した結論は私の予想とはだいぶ違っていました。)

子供たちが出した結論は次の通りです。

・小学生(上の文章)の方は別に構わない。
・高校生(下の文章)の言葉遣いはよくない。

もちろん全員が上のように考えていたわけではありませんが、およそこのような考えになったのです。私は両方よくないと言ってくると思っていたのですが・・・。子供たちの発言を抜粋します。

1つめの文章についてです。
「その家のお母さんに対してはきちんと挨拶をしているじゃないか。」
「友達同士でふざけて話しているのだから、そんなに悪いことではない。」
「このお母さんはけんかをしていると思ったみたいだけれど、本当にけんかをしているわけではない。」

要するに、話す相手によって言葉を使い分けているだから構わないというわけです。う〜ん、唸ってしまいました。本当にこれでいいのでしょうか。

2つ目の文章についてです。
「高校生としては普通の言葉だと思う。家のお姉ちゃんも高校生だけれど同じような言葉を使っている。」
「でも、この答え方はよくないと思う。質問に対してきちんと答えていない。」
「それに、目上の人に対する言葉遣いではない。」

こちらの方は「よくない」という結論です。相手は自分のお母さんの友達でずっと目上の人だからきちんとした言葉遣いできちんと答えるべきだと言うのです。

この後、教科書に出ている『言葉は心をつなぐ』という文章を全員で読みました。
教科書を読ませながら「友達同士での言葉遣い」に対する子供の意識をこれからどうやって変えていこうか考え込んでしまいました。みなさんからもご意見をうかがえれば幸いです。

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