広がる白銀の世界

「先生、後何分?」
「えーっ、もう終わりなの?」
「もう1回だけリフト乗ろうよ。」
こんな子供たちの声を最後にして、2日間の『スキー体験学習』が終わりました。風邪が長引いている子供もいて、全員参加ができなかったのが残念でしたが、けが人もなく、参加した子供たちはどの子も満足そうな表情でスキー場を後にすることができました。

【1日目】

朝の交通渋滞に路面の凍結が重なり、バスがなかなか学校に来ません。予定よりかなり遅れて学校を出発しました。そのため午前中のスキー実習はできずじまい。用具を借りてすぐ昼食ということになってしまいました。
昼食後、いよいよ実習です。雪はやむことなく降り続いています。
スキー靴で歩く練習、転んで起きる練習、片足スキーで滑る練習、緩斜面を上る練習。ほとんどの班はそんな基本的な練習で1日目を終わりました。1日目からリフトに乗って奇声をあげながら滑っている数少ない班を横目で眺めながら、多くの子供たちはため息をついていました。
「明日こそは、絶対にリフトに乗って華麗に滑ってやるぞ。」
そんな思いが子供たちの中に残ったはずです。

【2日目】

「今日こそは・・・」
募る思いを胸に秘め、この日は予定通りの時刻に出発です。(渋滞をさけるため、バスをつくし野の方へ回してもらったのです。)これで午前中も思う存分実習ができます。
指導員の先生方にあいさつをし、早速班ごとの実習が始まります。子供たちの意欲が通じたかのように、空を覆っていた雲は消え、青空が広がり始めました。かなりの班が午前中からリフトに乗っています。
私が担当していた班は初めての子供たちが多かったため、午前中はまだリフトに乗れません。そんな中、指導員の先生と子供たちの間にこんな会話が聞かれました。
登ったり降りたりとずいぶん体力を使い、子供たちの顔にも疲れの表情が浮かび始めたときです。
「そろそろ、休憩にしようか。」と指導員の先生。
「いいよ。休憩なんていらない!もっと練習して早くリフトに乗ろうよ。」
「そうだよ。休憩なんて時間がもったいないよ。」
「午後は2時間しかないんだよ。」
指導員の先生もお疲れの表情だったのですが、こんな子供たちの熱意に押され、休憩なしで練習が再開されました。
そして午後、この班もいよいよリフトに乗ります。リフトは乗るときよりも降りるときの方が大変です。リフトから立ち上がった途端転んでしまうからです。当然そこには次々に降りてくる子供たちが折り重なってきます。放っておけばベルトコンベアーに載せられた工業製品のようにそこには子供たちの山ができあがってしまいます。したがって、私の仕事はリフトを降りるが早いかすぐにスキーを脱いで、身動き不能の子供たちを動かしてやることです。
こんな子供たちもこの日が終わるころには自分の力でリフトに乗り、自分の力で斜面を降りてくることができるようになるのですから、子供たちの吸収力というのはすごいものです。
子供たちは1回リフトに乗る度に、
「あと何回乗れるの?」
「あと何分できる?」
と尋ねてきます。斜面を滑り降りる快感を知ってしまった子供たちは、もう楽しくて楽しくてしかたないのです。ずっと滑っていたいのです。しかし、こんな楽しい時間ほど流れていくのは早いもの。その証拠が冒頭に書いた子供たちの声です。

今日、子供たちに作文を書かせました。朝、原稿用紙を出した途端、
「やっぱりなあ・・・」
「先生のやりそうなことなんて分かってるんだよ。」
「私なんか滑りながら、何を書こうか考えてたもん。」
と複雑な表情を見せる子供たち。
子供たちの作文は次号で紹介します。

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