『赤い実はじけた』(その3)

6年生の国語最初の物語文『赤い実はじけた』の学習を終えました。学習の流れは粗く言って次のようでした。

  1. 題について検討し、この物語の題は「クライマックスにかかわるもの」であると同時に「何かを象徴するもの」であることを学習。
  2. クライマックスについて検討し、主人公である綾子の心の変化を学習。
  3. 『赤い実』の象徴するものについて検討し、綾子の心の変化を再学習。
  4. 綾子の立場で「千代への手紙」を書く。

1,2についてはその詳細をお伝えしてきました。今号ではBの学習についてお伝えします。かなり難しい学習だったとは思いますが、6年生にふさわしい学習でもありました。
問います。

題にある『赤い実』とは何を象徴しているのでしょう。自分の考えをノートに書きなさい。


子供のノートにはほぼ同じようなことが書かれていました。
「綾子の気持ち」「鉄夫に対する綾子の心」

確かにその通りですが、どんな心なのですか。まさか憎しみの心ではないでしょう。もっと具体的に書いてごらんなさい。

中には「恐れ」などと書いていた子供もいましたが、大方の子供は「好きという気持ち」とか「恋」という答えを書いていました。

そうだね。そういった気持ち・心のことを『恋心』と言います。『赤い実』は『綾子の鉄夫に対する恋心』を象徴しているのですね。ではお尋ねしますが、なぜ『赤い』のですか。なぜ『実』なのですか。他の色や他のものではダメなのですか。

まず「色」の方から考えさせました。色の持つ象徴性については前にも学習したことがあります。例えば「白」といえば「清潔」とか「きれい」とか「純真」などといった象徴性が考えられます。
子供たちはかなり悩んでいました。続々と意見が出るというわけにはいきませんでした。難産でした。その中で生まれてきたのは次のような考えです。
「『恋』というと『赤』というイメージだからです。他の色だと変だと思います。」
「『恋』ってマークにすると・でしょう。・はマークはたいてい赤でかかれているから。」
「最初の場面で『綾子は自分の顔が真っ赤に染まったような気がした』と書いてあります。だから、『赤』というのはそういう意味も入っていると思います。」
いずれも妥当な分析だと思います。聞いていた子供たちもこれからの意見に納得していました。
さて、次に『実』についてです。なぜ『実』なのでしょうか。この問いに対して子供たちから出された考えは次の通りです。
「『実』っていうのは『実る』ものですよね。『恋』も実るものだと思うからです。」
「『実』って聞くと丸くて小さいものを思い浮かべます。千代や綾子は子供で、これが初めての恋心だと思うから、『実』は『小さな初恋』を象徴しているのだと思います。」
「『実』は急にできるものじゃなくて、だんだん大きくなるでしょう。綾子の恋心もだんだん大きくてなってきて「パチン」とはじけたところで心が満杯になったのだと思います。」

どれも見事な考えです。『赤い実』の象徴するものについてうまく答えています。今回の学習はかなり難しいものでしたので、自分の考えがなかなかもてない子供もいました。しかたないことだと思います。しかし、友達の考えを聞きながら以前の自分とは違った高度な読み取りができるようになったはずです。それでいいのです。そんなことを繰り返しながらだんだん自分でも考えがもてるようになっていくのです。

次号では子供たちの書いた『千代への手紙』を紹介する予定です。

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