短歌『石走る』

石走る垂水の上のさわらびのもえ出づる春になりにけるかも
志貴皇子

『短歌と俳句』の学習をしています。最初に学習したのが右の歌です。子供たちは4年生のころから何回か百人一首をして遊んでいますので、短歌を見るのが初めてというわけではありません。しかし、古語で埋まった文語詩は6年生の子供たちにとって抵抗感があるに違いありません。一読で内容がわかる子供など一人もいないでしょう。しかし、だからこそ学習する価値があります。
教科書にはそれぞれの歌の横に通釈が載せられており、それを読めば歌の意味が理解できるようになっています。それではおもしろくありません。子供たちから教科書を取り上げました。自分たちの力だけでどれだけ読めるのかに挑戦させるためです。
黒板に右の短歌を板書し、ノートに視写させます。そして一列を起立させ、次のように言いました。

自分の思ったとおりに読んでごらんなさい。

短歌が五・七・五・七・七の調子になっていることは説明済みでしたので、そのへんはうまくクリアして読んでいました。ただ、やはり漢字の読み方は無理です。いろいろと予想して挑戦してくれましたが、正解者はいません。まあ当然でしょう。
ふりがなを振り、私が範読します。もう二列の子供たちにも読ませました。順番が進むにつれて音読もスムーズになっていきます。
そして四列目を起立させて言います。

回れ右。ではどうぞ。

回れ右をしていますから黒板は見えません。これまでの子供たちの音読を聞いて暗唱できているかどうかを試したのです。ほとんどの子供が8割がた暗唱していました。
更にもう二列を回れ右で読ませます。これで全員が読んだことになります。ほとんどの子供が暗唱できました。

さて、いよいよ歌の内容です。子供たちはどんな読み方をしているのでしょうか。次のように言います。

この歌の様子を絵に描きなさい。

「え〜、わかんないよ〜」と子供たちの声。
「わかっていれば勉強しません。わからないから勉強するのです。間違っていてもいいのですから、かいてごらんなさい。」と私。
子供たちは悩みながらもかき始めます。
かいている途中で残念ながらチャイム。明日までにかいてくるように告げて授業を終えました。

その日、妙子さんはこんな自学をしています。

意味不明のものが多いので、わかるものからやろう。
◎『さわらび』
多分植物だと思う。植物図鑑へゴー!
『さわらび』はなかったけど、『さわら』と『わらび』はあった。どちらか考えよう。
答えは簡単。『わらび』だね。『わらび』は春の植物で、『さわら』は冬の植物なのだ。でも『さ』は何だろう?まあ、予想だからいっか。
◎『なりにけるかも』
多分、「なったんだな・・・」ってこと。
◎『垂水の上の』
「上の」はぬいて考えよう。じゃ『垂水』とは?そう言えば、先生、漢字を見て考えろって言ってたっけ。
水は水だから、垂は?垂直の垂だから・・・。垂直な水・・・?じゃ、滝かな?それじゃ、『滝の上の』ってことだ。
◎『もえ出づる春に』
「春に」はぬいて考えよう。ここの漢字は「出」。出るって何が?『わらび』かな?
でも『もえ』って何?燃えるの?まさか、ちがう。これはぬいて考えるとしよう。
◎『石走る』
?さっぱりわからん。これもほうっておこう。
どんな絵ができるかな?

back