『石うすの歌』(その4)対比を検討する

この物語の中で一番重要な対比はどれですか。1つだけ選びなさい。

A『ひきうすの歌が大嫌い』→『ひきうすの歌が大好き』
B『仕方なく回している』→『進んで回している』
C『千枝子は田舎』→『瑞枝は都会』
D『おばあさんが千枝子を励ましている』→『千枝子がおばあさんを励ましている』
E『団子がほしけりゃ、うす回せ』→『勉強せえ、勉強せえ。つらいことでもがまんして』

子供たちの意見は上の5つになりました。

では、違うと思うものに反対しなさい。

「『大嫌い』→『大好き』というのはちがうと思います。千枝子は1場面で、もう大好きになっているんだから、もし、これが一番重要な対比だったら、2場面と3場面はあまり大切ではないということになります。」
この意見でAの考えはつぶれました。
「『千枝子は田舎』→『瑞枝は都会』という対比がなぜ重要なのか分かりません。」
「この設定がなかったらこの物語が成り立たないと思うからです。」
「それはそうかもしれないけれど、だったら他の対比についても同じことが言えるんじゃないですか。今は、一番重要な対比を考えているんだからちがうと思います。」
およそこんなやりとりの後、Cの考えも消えました。
残りはB、D、Eの3つになりました。Dだと考える子供が圧倒的です。
「2場面のP62を読むと、もう千枝子は進んで回しています。だからBは違うんじゃないですか。」
「P62のところは『お手伝いしてひきます』と言っているから、中心になってひくのはおばあさんで、千枝子は手伝おうとしているだけです。『自分から進んで』やっているわけではありません。」
「私はEだと思います。題は『石うすの歌』です。Eは石うすの対比だから、これだと思います。」
ここで話し合いが滞りましたが、実はB,D,Eはほぼ同じ内容の対比です。子供たちにもそう話しました。

B,D,Eの対比をそれぞれ比べてみると、すべて1場面と3場面の対比ですね。そしてほぼ同じ場面です。内容もよく考えると似ています。この3つはすべて正解です。ではこの3つは何を表している対比でしょう。

「千枝子の心の変化です。」

そう、千枝子の心の変化ですね。もっと言えば、千枝子の成長です。では、何が千枝子をこのように変えたのですか。

子供たちの考えは4つに分かれました。
「戦争の悲しみ」(2名)
「おばあさん」(13名)
「石うす」(2名)
「石うすの歌」(15名)

「おばあさんが千枝子に『石うすの歌』を教えたことで変わっていったのだから、『おばあさん』だと思います。」
「題の『石うすの歌』には裏の意味があって、それは『千枝子の成長』だと思うから、『石うすの歌』だと思います。」

様々な意見が出されましたが、次の意見によって大方の子供は「戦争の悲しみ」だと考えを変えてきました。
「1場面の石うすの歌は『団子がほしけりゃ、うす回せ。』と自分の欲のことを考えています。2場面で瑞枝が来たことで『砂糖の木を半分あげる』とお姉さんの意識が出てきました。3場面では『勉強せえ、勉強せえ。つらいことでもがまんして・・・。』とおばあさんや瑞枝のことを考えられるようになっています。一番大きな千枝子の変化は3場面の変化で、それは瑞枝やおばあさんの悲しみことが理由になっています。それは戦争が原因だから、『戦争の悲しみ』が千枝子を大きく変えたのだと思います。」
何名かの意見を聞いて、それらを総合した結果、上のような意見を言う子供が出てきたわけですが、実に見事な読み取りだと思います。

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