難語句で作文を

国語の教科書に次の課題があります。

「議会」、「情報」などのように、国語以外の教科で学習したり、新聞やニュースなどで見聞きしたりする機会の多い言葉を覚えておきましょう。

議会 政党 平和 人権 経済 賃金 労働 輸入 産業 石油 臨海工業 耕地 穀物 畑作 干害 歴史 時代 天皇 皇后 情報 広告 宣伝 通信

これらの言葉の多くに共通しているのは『抽象的な言葉である』ということです。「犬」「猫」「学校」「教室」等の言葉は具体的なものを指す言葉で実体を伴っていますが、上のような言葉は実体を伴っていないわけです。
しかし、社会科をはじめとする高学年の学習の中にはこれらの言葉が頻発してきます。中学校へ行けばなおさらです。是非理解しておかねばならない種の言葉です。

さて、教科書では続いて『短文作り』をすすめています。それぞれの言葉について一つずつ短文を作ってみましょうというわけです。しかし、私は次のように指示を出しました。

これらの言葉をすべて使って一つの文章を作りなさい。

短文作りとは違います。かなりの抵抗感があるはずです。それぞれの言葉を文脈の中で正しく使わなければなりません。しかし、それが知的好奇心をくすぐります。子供たちは辞書を片手に1時間かかって文章を書いていました。
できあがった文章を紹介しましょう。

かすみ
今日、ひまだったので、町に行って買い物をしていたら、天皇・皇后に会った。そして
「議会に出てほしい。」
と言われた。私はしかたなく出た。その内容は日本人の賃金は安すぎて、日本人の労働者がかわいそうだという話だった。ある人が、
「家の経済は父がやっている。」
と意味のわからんことを言っている人がいた。天皇が私に、
「臨海工業地帯で働いて、耕地を耕し、畑作をしてくれたらすごいほうびをあげよう。」
と言ったので、それを全部やることにした。その畑作で作った野菜を輸出したり、向こうの国の野菜を輸入したりした。ほうびに石油三年分をもらった。この前、テレビの宣伝の通信販売で石油を買おうとしていたから、ちょうどよかった。今の時代の日本は、まだ平和ではないとわかった。天皇・皇后が今度、歴史の本に私の名前をのせてくれると言っていた。

正人
経済的にお金を使おうということで議会を開いた。その結果、十年後、お金が大量にあまったので、全国の賃金が増えた。平和な世の中になったものだ。
しかし、お金はすぐになくなった。
今度はすごい労働だ。外国から輸入されたものも、もはや底をつきそうだ。もはや、天皇も皇后も人権はなし。庶民と同じ立場になった。このダメな日本に追い打ちをかけるように、魚もとれず、臨海工業もできず、さらに石油も底をついた。
自民党や社会党の政党も全くお手上げ。さらにバブル崩壊で広告に宣伝、通信販売、そして穀物もすべて全滅。日本もほとんど何もなく、耕地みたいになっている。干害のせいで水もかわき畑作もできない。
そして時代は二十一世紀。日本の歴史は終わった。

実にユニークな文章に仕上がっています。所々、おかしな所も目に付きますが、目をつぶることにしましょう。

今、社会の歴史学習では「欽定憲法」「三国干渉」「領土返還」等々、難しい言葉がたくさん出てきています。さらに、三学期には政治・経済分野の学習も始まります。新聞やニュースにももうちょっと目を向けてほしいなぁと思っています。

back