国語辞典を使おう

 人は「言葉」を使って話し、「言葉」を使って思考します。脳内の「言葉」が多ければ多いほど、より精緻な思考をすることができるようになります。
 ところで、子供たちはいったい、どのくらいの語彙を持ち合わせているのでしょうか。子供向けのある国語辞典の「はじめに」の中に、次の文章があります。

 みなさんは、今、どのくらいの数のことばを使って、毎日をすごしていると思いますか。子どもはふつう、小学校に入学するまでに五千語のことばを身につけているといわれています。そして、小学校・中学校の九年間で、なんと、三万語ものことばがわかるようになるようです。ふつうの大人の人は、およそ四万語のことばがわかり、一万語ほどのことばを使ってせいかつしているといわれますから、三万語のことばというのは、ほんとうにおどろくほどの量です。
 小学校に入学するまでの五千語は、知らず知らず身についたものですが、これを、九年間で六倍の三万語にするには、毎日のことばの生活をたいせつにしなければなりません。

 さて、国語辞典の学習を始めました。国語辞典は、子供たちの学習を支える大きな武器です。この武器を使いこなせるか否かで、今後の学習は大きく異なってきます。ですから、是非とも、すべての子供たちが自分の体の一部のように国語辞典を使いこなせるようになってほしいと思っています。
 学習の1時間目。子供たちに問いました。

 「右」(黒板に書いて)どういう意味ですか。みなさんが国語辞典を書く人だったら、どのように説明しますか。国語辞典を調べてはいけません。自分ならこう説明するという考えをノートに書いてごらんなさい。

 子供たちからは悲鳴が上がりました。「えー、わかんないよ。」というわけです。「右手を挙げてごらん。」と言えば、全員が正しく右手を挙げることができます。それを「言葉」で説明することができないのです。
 子供たちのえんぴつが動き始めるまでじっと待ちます。しばらくすると、数名のえんぴつがノートの上を動き始めました。それが伝染するように多くの子供たちのノートに様々な「説明」が書かれていきました。みなさんなら、どう説明しますか。子供たちから出てきたのは、次のような「説明」です。

A 多くの人が利き手の方。
B 多くの人が箸を持つ方
C →が指している方。
D 縦書きを始める方。
E 北を前にして東の方。
F 体の中で心臓がない方。

 この子供たちはすごい!実際に国語辞典を引いてみると、A〜Fと同様の説明がされているのです。私は、過去に何度もこれと同じ課題を子供たちに課してきました。しかし、これほどまでの考えを示してきた子供たちは初めてです。本当に驚きました。

 続いて、「上」「赤」についても同じようにノートに書かせました。これもなかなかに見事でした。

「上」
・空や天井のある方。
・神様がいる場所。
・頭の方。

「赤」
・夕日の色
・血の色。
・トマトの色。
・信号で止まる色。

この後、実際に国語辞典を調べながら、それぞれの言葉がどのように説明されているのかを確認していきました。
 次の時間は、国語辞典のルールを学んでいくことになります。