キャノン 7
Canon 7 with Canon 50mm/f1.8
Canon 7 + Canon 50mm/f1.8
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1959年にキャノンが発売したキャノンPは、それまでキャノンの伝統であった変倍ファインダーを改めたモデルで、かなり廉価で発売されたため膨大な数が売れたと言われています。すでに時代はニコンFが登場するなどレンジファインダーカメラから一眼レフへ移行していたのですが、このキャノンPが好評だったためキャノンは一眼レフの製造においてニコンに遅れをとることとなったのです。
キャノン7は61年にPモデルに露出計を組み込み、また35mmから135mmまでのブライトフレームを切り替え可能にしたモデルで、キャノンレンジファインダーカメラの到達点ともいえるモデルです。しかもこれらの改良を施したにもかかわらず、価格的にはキャノンPを下回る廉価で発売され、なかなかの人気になったと思われますが、時代はすでに距離計連動カメラから一眼レフに移行しており、結局65年にキャノンは7の露出計をCDSに変更したキャノン7Sを最後にレンジファインダーから撤退することになりした。
機能的にみればキャノン7は、おそらくライカLマウントレンジファインダーカメラとしては最高に完成されたモデルだと思います。露出計の内蔵、不回転式一軸シャッター、パララックス補正されるブライトフレームファインダー、35mm〜135mmまでのフレームの内蔵、ステンレススチールのシャッター幕、どれをとってもライカLマウントカメラの中でも出色の出来です。この機能にかろうじて対抗できるのはベッサRでしょうか。しかしベッサRがキャノン7にくらべて明らかに優れている点はファインダーの見易さとシャッター速度(1/2000)位で、発売時期が40年近く経だったっていることを考えればその完成度はきわめて高いといえると思います。
特にファインダーは一体形成されたガラスブロックを切断したなかに距離計窓を設けるためのハーフミラーを蒸着するなど大変凝った作りとなっています。また、ブライトフレームは35mm、50mm、85/100mm、135mmの4つを軍艦部のダイアルで切り替えます。35mmの外側にも若干の余裕があり、視野全体で28mmの視野をほぼカバーすると考えられます。フレーム下部には焦点距離が表示されるのは親切ですが、いつも35とかいった数字がファインダーに浮かんでいるのはちょっとうっとうしい面もあります。90mmのフレームがないのですが、85mmと100mmが同時に表示されますのでその中間の画角をイメージすれば結構正確につかえます。パララックスも補正されるファインダーは距離計像も明るく、なかなか見やすいのですが、実際に使ってみると距離計の周りが少々光ってしまい、光線の具合によってはピント合わせが難しくなります。このファインダーがひかる原因はおそらく複雑なファインダーブロックの遮光が完全でないのとその構成に原因があるらしく、カメラ屋で何台も比べてみましたがいずれも同じ様な具合でした。せっかくのすばらしいファインダーなのにちょっと残念です。まあ、それほど気にはならないと言えばならないのですが。
シャッター幕にはニコンのチタンに対抗してか、ステンレススチールの薄膜が使われています。ただ、ニコンの様にエンボス加工がされていないので時々ひどく皺が寄っているものがあります。やはり薄い膜にシャッターのテンションがかかるわけですから皺が寄るわけですが、実用上全く問題ないとはいえあまり気持ちのいいものではありません。私のキャノン7もご多分に漏れず皺がよっていますが、それほどひどい状態ではありません。あと、ステンレスのシャッター膜のためかシャッターレリーズ音が少々重い感じがします。
高照度と低照度の2段切り替えになっている露出計はセレンですが、結構感度も高く、シャッター速度と露出計の指標が連動しているので、シャッター速度優先で使えばかなり便利です。が、この露出計機能的には申し分ないのですが、かなりカメラ前面から飛び出しており、また、右の角がちょうどグリップする右手にあたって痛いのです。このあたり角張ったキャノン伝統のデザインとはいえ人間工学的にもう少し何とかならなかったのかなあと惜しまれるところです。
Canon 7 Top View
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キャノン7と7sには当時最高速を誇った50mm/f0.95レンズを取り付けるためにスクリューマウントの外側にバヨネットが設けられています。もちろんこの高速レンズは結構するので私の7には一番やすい50/1.8をつけていますが、このレンズ評判が悪い割にはまあまあの描写です。どういうわけかこの頃のキャノンレンズは曇りやすいので注意が必要です。ご多分に漏れず私のレンズもうっすら曇っています。
ところでキャノン7で困っているのはアクセサリーシューがないこと。軍艦部には露出計のダイアルがついているのでここにシューはありません。アクセサリーをつける場合にはカメラ右側面にあるシンクロ接点の周りのバヨネットに特殊なアダプターを装着する必要がありますが、このアダプターなかなか手に入りません。そもそもこのキャノンを購入した理由の一つにはLマウントのいろんなレンズを装着して楽しむつもりがあったのですが、ファインダーがつけられないのですよね、このままだと。もちろんストロボも使えないし...ということで期待に反して初めて買ったキャノンのカメラ、少々出番が少なくなっています。
キャノンP
Canon P + Jupiter 12 35mm/f2.8
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キャノンPは高級RF路線を進めてきたキャノンが1959年に発売したLマウントレンジファインダーの廉価モデルです。それまでのキャノンRFの特徴であった変倍ファンダーを取り外し、等倍のファインダーを搭載することにより一気に価格を引き下げたのでした。そのためか、キャノンPは10万台近くも売れたと言われ、まさしくキャノンの思い通りのP、つまりPopulaireな機種となりしまた。
スペック的には、一軸不回転式シャッター(B、X、1−1/1000)、ファインダー倍率等倍、レバー巻き上げといった基本のところはすべて押さえてあり、スペックだけを並べるとライカM3とそっくりです。もっともMライカのような切れ味のいいファインデーではなく、虚像式距離計なため輪郭はぼやけてしまうのは仕方ありません。また、フレームもライカに見られる採光式ではなく、アルバダ式なので光線具合によっては少々見づらくなってしまいます。廉価モデルだけあってファインダーフレームは35,50,100ミリの枠が出っぱなしで、レンズの焦点距離にあわせフレームを切り替えることはできないので、少々にぎやかなファインダーとなっています。その一方でパララックスは自動補正式になっており、レンズの繰り出しと同時にフレームが移動します。
キャノン7のところでも書きましたが、このファインダー、プリズムを半分に切ってハーフミラーを蒸着して距離計部分を投影しているのですがこの部分が光ってしまい、光線具合によっては少々ファインダー内のコントラストが下がり、にぎやかなフレームとあい余って少々みにくくなってしまうのは仕方のないところです。
シャッターは一軸不回転式、横走りフォーカルプレーン・シャッターで巻き上げもレバー式になり、それまでのモデルからぐっと使いやすくなっています。シャッター幕はキャノンお得意のステンレスの薄膜です。このためかシャッター音はライカに比べると少々にぎやかでパタン、パタンと切れます。もっともベッサRの縦走りシャッターと比べるとショックも少なくそれほど気にはなりません。
巻き戻しはクランク式。秀逸な設計でクランクがきれいに折り畳めます。これはベッサRが模倣した方式ですが、ベッサRがクランクの取り付け角度の関係からか、フィルムの最後の方ではクランクが重くなる一方、キャノンPの場合にはクランクが軍艦部に対して水平に回転することもあり、このような問題はなく巻き戻しもきわめてスムーズです。ただ、発売当初から指摘されていることですが、巻き戻しの際の切り替えはシャッターダイアル周りのリングを回すことによって行われています。巻き戻した後、リングをきちんと切り替えないとシャッター幕が開かないままシャッターが落ちるといったニコンFの様な問題はないとはいえ、もうちょっと工夫がほしいところです。もっともキャノンは最後のRFである7Sまで結局この方式を貫いています。
Canon P Top View
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軍艦部はそれまでのRFボディから比べるとずいぶんすっきりしたスタイルになっています。また8角形のボディはほぼライカMと同じ大きさということもあり、ホールディングに十分なスペースがあることからかなり持ちやすいボディだと思います。特に7との比較では、露出計用のセレン電池パネルがボディ前面にないためずいぶんすっきりしており、握りしめてもセレン電池の角で指を痛めることもなく、ホールディングは良好です。
キャノンPは先にも書きましたが大ヒットとなり10万台ちかくが生産されたと言われています。しかしキャノンPが発売された1959年にはニコンはあのFを発売し、それ以降一眼レフの生産に力を入れていくのに対し、キャノンはこのPの成功を受け、引き続き7、7sとRFを投入します。そのためかキャノンは一眼レフの開発でニコンに対し出遅れたといわれています。ニコンFと同じ年に生まれたキャノンPはライカM3とほとんど同じスペックを有しながら、価格では1/10以下だったために大ヒットとなりました。期しくもライカはM3の廉価版であるM2を1957年に投入、その後もRFをメインに作り続けますが、キャノンもしばらくの間ライカと同じ道をたどり、一眼レフへの流れに乗り損なっってしまったのは運命のいたずらかもしれません。
さて、このキャノンP、ぶらぶら散歩の途中で購入しました。お値段はベッサRの1/3ほどとかなり安かったのですが、それなりの理由があります。
ボディには大きな傷もなくきわめて奇麗です。またキャノンのRFによく見られるステンレスの薄膜製のシャッター幕のしわや、オイル漏れも見らられません。非常に程度のいいボディです。
ただ、ボディのグッタペルカが本革に張り替えられているのと、ファインダーパララックスの自動補正が効かなくなっていました。また、シャッター幕もきれいなことはきれいなのですが、どうやらオリジナルの幕ではなくつやけしの、ちょうどニコンのチタン幕のような幕に取り替えられているようです。いずれも実用上全く問題ないどころか、なかなかありがたい改造なのですがこれにより値段がおやすくなっていたのだと思われます。
ファインダーのパララックス補正については、軍艦部をあけてみるとこの部分に水でも入ったのか、少々緑青が出ていてフレームを動かすレバーが固まっていたので緑青をとってオイルを少し刺して無事復活しました。動作もきわめてスムーズです。
しかし、キャノン7にしろこのキャノンPにしろ、巻き上げの感触は必ずしもスムーズでないのが残念です。別に特にレバーが引っかかったりするわけではありませんが、どうもシャッター幕がこすれているような感じがレバーに伝わってくるのが気になるといえば気になります。ちょっとしゃかしゃかした感じでしょうか。これさえなければ機能、値段を考えるとなかなか楽しめるクラカメなのですが...