Nikon SLRs

...やっぱりニコン・・・

 就職してはじめてのボーナスでカメラを買うことにしました。どのカメラを買うのか、いろいろな雑誌などを読みあさり、カメラに詳しい友人にアドバイスを求め、カメラ店に何度も通い、ようやくニコンに決めました。

 ライカだのコンタックスだのにはまる前、私にとってカメラといえば中古で買ったこのニコンしかありませんでした。以来10ン年。やっぱり一眼レフはニコンです。

 もう少し目が悪くなってAFに行く場合、・・・やっぱりニコンかなぁ


Nikon FE2

 はじめて自分でお金を出して買った本格的カメラがこのニコンFE2です。この機種に決めた理由は、露出計がアナログメーターによる追針式であること、シャッター速度が当時最高速度である1/4000まであること、シンクロ速度がこれまた1/250と高速だったこと、AEを基準に使うが、マニュアルでも操作が容易なこと等々、カタログデータを見比べいろいろ知人のアドバイスを総合して決めました。そしてやっぱりニコンだったこと。(笑)今から考えてもこの選択は正しく、それまでコンパクトカメラしか使ったことがなかった素人が写真の基礎を習うためにはなかなかいい選択だったと思います。

 ある土曜日、生まれてはじめてもらったボーナスのほぼ全額を握りしめて中野の某カメラ店を友人とともに訪れました。すでにFE2は製造中止になってからしばらくたっており、中古で入手するしかなく、何台かあったFE2のなかから比較的程度のいいものを友人に選んでもらいました。最初はクロームのボディが欲しいと思っていたのですが、友人に「使い込んでブラックペイントがはがれた下から真鍮が出てくるのがしぶいんや」と言われ、そんなものかなぁと思い、勧められるままにブラックボディと標準レンズを購入しました。(この点でも友人には感謝しています、が、思えばこのブラックニコンがカメラにはまるきっかけになってしまったわけです(笑))

 FE2はスペック的には同時代のニコンのフラッグシップF3をしのいでおり、それでいて手にしっくりくる大きさで大変バランスのよいカメラだと思います。1/4000までのシャッター速度と1/250で同調するX接点は今からみても立派なスペックです。後から当時の雑誌の記事などを読み直してみると、アマチュアはこの1/4000のシャッター速度を歓迎したが、プロはむしろシンクロ速度が1/250となったことを好感していたようで、これは横走布幕シャッターのF3が逆立ちしてもかなわないスペックだったわけです。

 シャッターは縦走りの金属羽根。私のモデルは当初発売されたチタン幕をハニカム状にエッチングしたかなりコストのかかったと思われるシャッターです。後にこのチタン羽根はアルミ羽根に変更されますが、これはシャッター羽根をハニカム状にエッチング加工するために必要なエッチング溶液の廃液がおこす環境問題が理由だったと言われています。

 FE2はファインダー内の表示もすっきりしており、特にアナログ式のシャッター速度表示の露出計は露出の差が一目で読みとれる点秀逸です。しかしながらファインダー内に照明がないので、この露出計、暗くなると見えなくなるのが欠点ですが、そのときにはもうストロボを使うしかない、と割り切らせてくれます(?)。いずれにしてもこのアナログメーターの追針式のシャッター速度計は、ライカM5の露出計と同様、露出のずれが直感的に把握できる点で、カメラ入門者には最適だったように思います。ただフィルム巻き戻しクランクと同軸に設置されたASA感度設定ダイアルとそれを活用した露出補正は、ロックボタンがついているのはいいのですが、この小さなボタンを押しつつ、ダイアルを回す必要があるので少々やりづらいのが欠点といえば欠点でしょうか。たいていはAEロックでカバーしていたと記憶しています。が、このAEロックもセルフタイマーレバーをタイマーをセットするのと逆方向に押すというものでちょっと操作性が悪いように思います。(とは言ってもFE2しか使っていない頃の私はこんなものだとなれてしまいました)それと巻き上げの感触がちょっと頼りなく、F2、F3などと比べると「やっぱり中級機」の感じをうけます。ついでにいえば、当時は全然なにも感じなかったのですが、分割巻き上げが出来ないのはちょっとさびしいといえばさびしい感じがします。

 ボディーと一緒に買ったレンズは標準50mm/f1.4の1本だけでしたが、ポツポツとレンズも買い足して増えていきました。今では28,35,50,55,85,135と6本のレンズを所有していますがいずれもまじめなしっかりした写りなので信頼しきっています。(もっともあまり「まじめ」すぎておもしろくない、という話もあり、ライカとかに行ってしまったわけですが)また、別のページでご覧のように、一時オリンパスに心惹かれたものの、結局最初にニコンにしていたおかげで、一眼レフはマニュアルニコンを中心とした構成になっており、もう他のシステムへの全面移行はかなり厳しい状況(?)となっています。

帰ってきたニコン

 カメラを一台、二台と買っていくとある日突然気がつくことがあります。そうです、「こんなにカメラばかり集めて一体どうするんだ」(笑)

 考えてみれば、プロのカメラマンでもない限り、撮影に出かけるのはほとんどが週末。休暇をいれても年に100日もあるわけがありません。実際、有給休暇は売るほどあまっているし、仕事で疲れて帰ってきては週休2日の内、大抵一日はごろごろしているだけで過ぎてしまいます。それに雨の日だってあることだし・・・

 つらつら考えると、仮に20台のカメラを持っているとすれば満遍なく使ったとしても一台あたり年に2,3回持ち出せばいい方。はては1年間とうとう一度も外に持ち出されないかわいそうなカメラも出てきます。それでも空シャッターを切って遊んでもらえるライカなどと違い、空シャッターさえも切ってもらえず、じっと出動態勢のまま、待ちつづけるカメラばかり増えていくわけです。これはカメラにとっても、持ち主にとってもあまり精神衛生上よくないことは言うまでもありません。

 そんなわけで、「カメラを売ろう」と思うのは、大抵雨の日の午後。なんとなく買い集めたカメラの数に罪悪感を覚える時です。(そういえば、中古カメラ屋から袋をぶら下げてとぼとぼ帰ってくるのもシトシト降る雨の日のことが多いです。)最近までは「カメラを売ろう」と決心してもそれを実行するためには、中古カメラ屋に持ち込んで下取りしてもらうか、あるいは友人などに買ってもらうしか方法はありませんでした。そして、この下取り査定、大抵の場合に自分が思ったほど高値がつかないことも、また、カメラのみならず中古品すべてに当てはまる下取りの「おきて」なのです。

 ところがインターネットオークションの到来によりその「おきて」が変わる時が来ました。見知らぬ人と比較的たやすく直接売買できるようになったのです。だれでも参加できるオークションの登場によってカメラなどの収集には革命的な変化が起こりました。「家のパソコンに向かったまま中古カメラが買える・・・」本当はこんな危険な装置を家庭内に持ち込むべきものではありません。現に次から次へとカメラが増えている・・・

 しかし当たり前のことですが、オークションで欲しいものを買うばかりではなく、出品側に回ることだってできます。自分の思う価格で自分の出品物が落札されれば、中古カメラ屋での下取りでくやしい思いをしたり、最近はやりの委託で手数料をとられることもありません。(実際、委託に出したことがある方はおわかりの通り、この手数料がバカにならず、「売れた!」と思ってよろこび勇んで店に代金の受け取りに行くと、実際に手許に残る現金の少なさにちょっとがっかりすることが多いのです)

 そうして、決断は突然やってきます。ある雨の夜、「そうだ、カメラを売ろう」と思い立った私は、あまり出番のないカメラを何台か選び、デジカメで撮影し、早速オークションサイトにアップしました・・・その中にはライカを使い始めてから、さらにF3まで買ってしまってからはほとんど使っていなかったこのニコンFE2も入っていました。やはりこういうものはばっさり処分しないと・・・という至極もっともではあるけれど、めったにたどり着かない合理的な理由からです。

 さて、順調にオークションは進み、出品した何台かのカメラはすべて無事落札されました。しかもニコンFE2にはかなりの高額がつきました。これは下取りはおろか、委託販売で手元に残る金額を上回っています。その時、ホッとする反面ちょっぴりさびしい感じもしました。

 しばらくすると落札されたTさんからメールを頂きました。どうやらTさんはこのページもご覧になっていたらしく、「HPにはいろいろ思い出の多いカメラだと書いてありましたが、本当に売ってしまっていいのですか」という趣旨のことが書いてありました。こちらからは確かに思い出のいっぱい詰まったカメラであること、ただその思い出がすべて楽しいものではなく、カメラを見ていると楽しかったことの他につらかったことを思い出すことも多いこと、オーバーホールをしてからは最近あまり持ち出す機会もないので売りに出すことにしたこと、等事情を説明して代金の振込先等をご連絡しました。

 カメラを送り出すまでの間はせめて最後にと、ボディをきれいに磨き、ファインダースクリーンなどの部品も探し出して梱包し、ある晴れた日の朝、近くの郵便局から発送しました。しばらくして自動車の生産で有名な町のTさんから大変丁寧なメールをいただき、ニコンFE2は無事新しい持ち主の元に落ち着いたのでした。


そ・れ・か・ら....

 さて、無事取引も成立し、FE2がもたらしてくれた何がしかのお金は、あたりまえのように、知らないうちにどこかに消えていきました。そうです、カメラなどを売って得た現金が身についたためしはありません。「悪銭身につかず」を地で行っているわけですが、きっと呑んでしまったのに違いありません。

 FE2を手放してから、しばらくはなんでもなかったのですが、普段持ち歩いているライカに変えてニコンの一眼レフを持ち出す時にはなんとなくFE2を懐かしく感じることも一度ならずありました。やはり長年使い慣れたカメラの感触は手に残っています。特にFE2であれほど面倒だった、AEロック、今でも自然に右手の指がそこにはないセルフタイマーレバーを逆方向に押し込もうとしてしまいます。空振りするAEロックとともに、FE2との思い出がよみがえってきます。

 買ったばかりの頃は毎週末のように持ち出して、スナップしたこと。そういえば最初にテストしたのは、カメラ屋に付き合ってもらった友人ともう真っ暗になった公園で街頭の明かりを頼りにテスト撮影したこと。このカメラで撮ったあの人、この人のこと・・・ある女性を撮るためになけなしの給料から85mmを買いに行ったこと。そして、仕事で使うためにもこのカメラを何度となく持ち出したこと。海外に出るときに慎重に梱包してスーツケースの中にカメラを入れたこと。ヨーロッパであちこち旅行した時にはたいていFE2を持っていったこと。その後のアフリカでもFE2一台で写真を撮ったこと・・・などなどこのカメラとの思い出がよみがえって来ました。そしてそのことは当時このHPの日記でもちらっと書いてしまったように覚えています。

 そしてその年も押し詰まった頃、あるうわさが海外から聞こえてきました・・・F3につづいてnFM2の製造中止を近々ニコンが発表するらしい・・・そしてニコンはnFM2に替わるMF機を用意している・・・どうやら追針式の露出計を搭載しているらしい・・・うわさが具体化するまでそう長い間はかかりませんでした。

 2001年2月、とうとうアメリカのカメラ屋のHPにFM3Aが掲載されました。メカニカルと電子制御のハイブリッドシャッターを搭載した事以外はまさにFE2の再来です・・・うーん、ニコンもやるではないか、やっぱりMFを切り捨てることは無かった、と。早速そのページをプリントアウトしてちょうどその日行われたカメラ仲間のオフ会に持っていったのは言うまでもありません。

 しかし、考えてみれば、新しく出たFM3A、電池がなくてもマニュアルシャッターが使えることを除けばほとんどFE2と同じです。ボディサイズしかり、操作系しかり・・・そうとわかれば、カメラ屋めぐりをするうちに、やはり気になるのは新しく出るFM3AよりもむしろちょっとくたびれたFE2の方。とくにかつて自分のものだったFE2と同じように角が擦れて真鍮が出たボディを見るにつけ、だんだんもう一度FE2を使ってみたくなりました。もちろんFE2が「あのFE2」になるにはそう時間はかかりませんでした。

 そしてある日のこと、別に雨が降っていたわけではないのですが、一年近く前にオークションでFE2を落札して頂いたTさんのメールアドレスをHDDの隅っこから探し出してとうとうメールを差し上げることにしました。

 FE2を手放してみて、やはり思い出を刻んだカメラを手許に戻したくなったこと、もし、お譲りしたFE2がまだお手許にあれば、同等のFE2を探してくるので交換かあるいは買い戻させて欲しいこと、などなどFE2を手放してからのことを書いたちょっと長いメールです。しばらくしてからTさんからまたしてもとても丁寧なメールを頂きました。まだ、おゆずりしたFE2は手許にあること、最近私の日記をご覧になっていて実は少し心配されていたこと、こちらのお願いをこころよく聞いていただけること等が書かれていました。

 早速、お礼とお詫びの意味をこめて落札価格に心ばかりの金額を乗せて送金しました。折り返しニコンFE2が帰ってきました。メールで頂いたとおりの、一年近く前手放した時と全く同じ様子で、ほとんどフィルムも通されていない状態でした。

 もっとも、その間に私の方は引越しをしたり職場もかわったりと、FE2を送り出した時からはかなりの変化があったのですが、新しい環境に戻ったFE2はそんなことを知ってか知らずか、使い込まれてツヤが出ているブラックペイントに光を受けて輝いています。また、角のペイントから顔を出した真鍮もその金色の輝きを保ったままでした。折に触れて散歩に連れ出し、そっとシャッターを切ってやろうと思い、35mmのレンズをつけていつでも出かける用意をしたまま、他のカメラ達の間でのんびり過ごしています。

 それからまた少したって、Tさんからメールとともに小包を頂きました。私が心ばかりのお礼の気持ちをこめて多少多く送金した分、かえってお気を使わせる結果になってしまったようでした。お仕事でお扱いになっているおいしいハムやソーセージがはいっており、カメラを横においてビールを飲みながら楽しませていただいたことは言うまでもありません。

 それ以降、今に至るまでTさんとは直接お目にかかる機会もなく、またいつ知らずメールのやり取りも途絶えて、また1年近く経ってしまいました。しかし、FE2の剥げたボディを見るたびに、私の心の迷いからご迷惑をかけてしまったにもかかわらず、こころよくFE2を返していただいたTさんのことを思い出しています。

    

Nikon FM3A

 別のページでも書いたとおり、ニコンF3の製造中止が発表されたのは2000年10月のことでした。最後の受注が殺到したと言われていますが、まだ店頭在庫はかなりの数量があるようで、今でも新品で手に入るのはご同慶の至りです。しかし、この頃、F3につづいてニコンが長年作りつづけていたnFM2もひそかにその姿を消すことになります。「ニコンの良心」とまで言われた最後のMF機の製造中止のニュースに「とうとうニコンもMFを見限ったのか」とのうわさがネットを駆け巡りましたが、同時に「ニコンは新しいマニュアル機を用意している。どうやら電子制御シャターとメカニカルシャッターのハイブリッド機になるようだ」という、多聞にマニアの期待がこめられたうわさも同時にながれており、2001年の春になって新たなハイブリッドシャッター搭載のマニュアルニコンの全貌が明らかになったのは上に書いたとおりです。

 「ニコンはマニュアルを見捨てなかった」あるいは、「切捨てられなかった」とホッと一安心したニコンファンも多く、特にFE2を愛用していた私にとってFE2に替わるモデルが現れたのはなんともうれしい話でした。同時に以前から復活して欲しいとの声が強かったパンケーキレンズ、GNニッコールとほぼ同様のスペックの45mm/f2.8Pの発売も発表され、久々の新設計Aiレンズの登場は話題をさらいました。

 さて、FM3Aはそのネーミングからも明らかなように、FM2の次に来るものとしてのFM3にA、つまりAEを搭載したカメラです。また「FM3」の文字の傍らに小さく「A」と入っているのはあくまでマニュアル中心のカメラだというニコンの主張の表れでしょう。

 スペック的にはFE2にFM2を足し合わせて2で割ったものと大きく変わるところはありません。1秒から1/4000までの縦走り金属羽根のメカニカルシャッター、シンクロ速度1/250、とここまではFM2の仕様と全く同じ。それにFE2からアナログ追針式のメーター、とAEを組み合わせました。従って、FM3Aの最大の特徴は、そのシャッター機構にあるのは異論の無いところだと思います。

 ニコンの言う「ハイブリッドシャッター」は、完全メカニカルシャッターにAEによる露出制御もくわえたものであり、Aポジションにすれば1秒から1/4000秒まで無段階にシャッター速度が制御される一方で、マニュアルでシャッター速度を選んだ場合には機械式ガバナーで制御される、というまことに凝ったメカニズムの結晶です。ニコンはこのハイブリッドシャッターの製作に相当苦労した様で、カメラ雑誌などに掲載されている開発者座談会などでも、メカニカル制御と電子制御をFM2と同じボディにどうやって組み込むかが開発の最大課題だったようです。
 無論、これまでもメカニカル制御と電子制御を取り入れたシャッターを搭載したカメラは数多く作られており、とくに機械式ガバナーで正確な制御が困難な低速シャッターを電子制御にしたシャッターや、逆に高速シャッター部分を電子式にしたカメラはすでに存在していました。しかしながら、全速にわたり機械式制御と電子制御を取り入れた完全ハイブリッドはおそらくFM3Aが最初だとおもわれます。ニコンによればシャッター速度ダイアルの下にある「官制部」とシャッターユニットの結合にいろいろ工夫を凝らした結果完成できた機構を、FM2などとほぼ同じ大きさのボディに組み込むのに大変な苦労があったのとのことです。実際にシャッターダイアルの感触はほぼ旧型のFM2やFE2と同じで、AEからマニュアルに切り替えるにはFE2同様ダイアル中心部のボタンを押しながらダイアルを回転させるわけですが、機械式ガバナーと電子制御ガバナーの切り替えも特に違和感なくスムーズです。ハイブリッドシャッター搭載機であるという意識がなければ全くFE2と同じ感覚といっても間違いではないと思います。

 ただ、AE制御で8秒までの長時間露出が可能だったFE2とくらべ、低速は機械式ガバナーの限界(?)である1秒までとなっています。「折角AE制御を取り入れたのだからスローシャッターをFE2並みの8秒までセットすべきだ」という声もあるにはありますが、逆にシャッター速度の範囲が狭まったため露出計の目盛りやシャッター速度ダイアルがFE2に比べ格段に見やすくなっており、私はかえってよかったのではないかと感じています。

 なおシャッターユニットはハイブリッド制御のための新設計のものですが、シャッター羽根自体はアルミで、後期型FE2、FM2などと同じものと思われます。残念ながら初期型FM2やFE2にみられる、チタン羽根エッチングのシャッターはやはり環境問題からか、復活しませんでしたが、これはこれまでの実績からみてアルミ羽根で十分な耐久性が確保されたことの現われでしょう。

 評判の悪かったAEロックはセルフタイマーからボディ背面の巻き上げレバー近くに別途ボタンが設けられました。この位置が使いやすいかどうかについては、個人の好き嫌いの問題に近いと思われますが、今のところ前の方がよかったのではないか、と感じています。まあ、単に慣れの問題ですが。ちなみに、マニュアルシャッターを使っているときはこのボタンはメーターの針を固定するだけで、何にも具体的な機能は持っていません。ちょっともったいない感じがしないでもないのですが・・・。

 FE2にあってFM3Aにない機能は見当たりません。逆にFM3Aで追加された機能のひとつにストロボのコントロールがあります。純正ストロボを使用している場合、レンズマウント左側にあるボタンを押しながら撮影すると、発光量を一段減光する仕掛けです。TTLで逆光時に発光量を制御することにより白とびを回避しようというシステムですが、実際に使う場面はそう多くないかもしれません。効果のほどは?です。

 そのほかの変更点としては、DXコード対応になり、フィルム感度設定ダイアルにカバーがつき、みやすくなったこと、フィルム確認窓が裏ふたに設けられ、メモポケットが省略されたこと、などがあげられます。外見上の際立った違いは、ロゴマークとペンタプリズムの形が上げられるかも知れません。ロゴマークは刻印ですが、最近の斜体のもので、FM2に比べてもよりシャープになったペンタプリズムにマッチしているといえばそうかもしれませんが、やはりFE2などと並べてみるとなんとなく昔のロゴのほうが「まじめなニコン」という印象からはよかったように思うのは私だけでしょうか?マウント部のカバーもひっそりプラスチックに変更されているようで、FE2発売からの時間の流れを感じさせられます。

 とはいえ、このボディサイズに新しいシャッターシステムを組み込み、MFカメラを継続して発売するニコンの姿勢は賞賛されるべきでしょう。上に書いたことは些細な違いに過ぎません。しかし、FE2とFM3Aをこのように並べてみるとき、そっくりな兄弟カメラの間には約20年という時間が流れていることを感じさせられずにはいられません。