タイトル 著者 発行年月日 版社 形態 分類1 分類2
青春の蹉跌 石川達三 1971/05/25 新潮社 文庫本 小説

概要

生きることは闘いだ。他人はみな敵だ。平和なんてありはしない。人を押しのけ、奪い、人生の勝利者となるのだ−貧しさゆえに充たされぬ野望をもって社会に挑戦し、挫折した法律学生江藤賢一郎。成績抜群でありながら専攻以外は無知に等しく、人格的道徳的に未発達きわまるという、あまりにも現代的な頭脳を持った青年の悲劇を、鋭敏な時代感覚に捉え、新生面を開いた問題作。

感想

貧しさから努力で這い上がり、野望をもって犯罪に手を染める。

ふむ。こういうテレビドラマが好きな方にはもってこい(薦めやすい)本ですな。楽に感想が書けそうだ。(^o^)

    読み方としては、
  1. 秀才型の主人公に自分をダブらせる。で、犯罪者にならないように注意する。
  2. 自分の手の届かないエリート・コース型人間の破滅を嘲笑う。
  3. こんな男には注意しなきゃ。と読む(女性向け)
  4. 試験向けに偏重した勉強はいかんな。と教育論を見出す。
  5. ただ、単なるサスペンスとして楽しむ。
    と、僕には五つほど思い浮かぶのですが、皆さんは如何ですか?
これを読んだ当時の僕は、学校を卒業して一年が経ち、既に自分がエリートでは無く、かなり平凡であることを悟っていました。(中学生のころ「俺は天才かもしれない」なんて思ったこともありました。と、告白しておこう。)そして、社会生活を営む上で、学校の勉強が占める割合の低さに唖然としていた記憶があります。尤も、学校の勉強をちゃんとしていた事が、それはそれで役に立つことも実感として身に付きつつありました。つまり、IQ以外に、EQも向上させなきゃ。とのんびり思っていました。もちろん、当時はEQと言う言葉はありませんでしたが……。

身の回りに、この小説の主人公のような鋭さで、野心を持った人間は居なかったし、男を手玉にとって、他人の子を認知させようなんて女性もドラマの中だけの出来事に思えていました。僕は、上記選択肢の5.ただ単なるサスペンスとして楽しむことが出来ました。この小説を5.ただたんなるサスペンスとして楽しめた人の心は健康だ、と、自分の事ながら思います。

この本は、僕が生まれた年に執筆されています。このころの社会の雰囲気も感じられました。主人公が司法試験の中で死刑廃止論に答えているところなどは、興味深いです。また、当時の学生運動に熱中していた学生を覚めた目で描写しているのも興味深いです。

しかし、何時になっても生きていくことの困難は、学校や、試験だけじゃなくて、いろんな所にちりばめられているんですねぇ。ちょっとウンザリする一方、頑張らなきゃイケナイのかなぁ?と、正月早々重たくなってしまいました。

あ、これじゃ本のお勧めにならないか。

そうですねぇ。勉強&卒論なんかを頑張って学校を卒業した人って、就職してみると、自分の頑張って勉強したことが全然役に立たなくて、不満&挫折に思うことが多いと思うんです。「本当に自分の能力を生かせる職に就きたい」とか、ってね。そういう人に「自分に必要とされる能力は、自分の専門分野に加えて、他にも沢山必要なんだ。」と悟らせてくれて、不満を解消するのに役に立つかもしれません。ちなみに、今の僕は「自分の能力を生かすための能力」っていうのがあるのかなぁ。とぼんやり思っています。

これで、一応お勧めの文章になったかなぁ?

1998年1月1日


書庫の入り口へ戻る 前の本を見る 次の本を見る
新入庫の扉へ戻る 著者名順の扉へ戻る 書名順の扉へ戻る 分類別の扉へ戻る