エアベール・ウェブで巻く

エアベール・ウェブってなんですか

写真、エアベール・ウェブ

エアベール・ウェブ(Air Veil Web)とは、3F'S PRODUCTSで開発・販売しているシンセティック素材です。特徴としては以下の2点があります。

  1. 極細の繊維が絡み合ってる構造のため、多大な抱気性を有する
  2. シート状に成形されているため、加工の工夫がしやすい

写真、エアベール・ウェブの拡大写真

第一の特徴である、繊維の絡まり具合を拡大写真で見てみましょう。非常に細い繊維が絡み合っているのがわかると思います。水面に接する、あるいは水中に没すると繊維間に水面膜が生じますが、繊維間の距離が短いために気泡は水面膜の表面張力を破ることができません。そのため、繊維間に気泡が保たれたままになります。

写真、エアベール・ウェブを水中に没した状態

水面と接している場合は、この現象は浮力として作用します。つまり、沈みにくいということです。

一方、水中に没した場合は繊維間に蓄えられた気泡が強烈なきらめきを発します。これは水生昆虫が羽化するときに発生するイマージング・ガス*1のきらめきを見事に表現します。

*1 イマージング・ガス
島崎憲司郎氏の造語で、その著書によれば「羽化直前のニンフやピューパまたは浮上中のイマージャーの体表や皮下(殻の下)や体内に生じている気体を指す」(島崎憲司郎,1997,「水生昆虫アルバム」,フライの雑誌社)とあります。
気体と水の境で反射が生じる場合その反射率は100%と極めて高く、体表で多少緩和されるにしてもかなり強いきらめきが生じることが水中観察によって知られています(イマージャーの種類によって差がありますし、それほど強いきらめきが生じないケースもあります)。このきらめきが重要な捕食トリガーになっているのではいないか、という説は島崎氏以外にも洋の東西のエキスパート諸氏が指摘するところです。

エアベール・ウェブを使ったタイイング

エアベール・ウェブを使ったタイイングでは、第一の特徴である抱気性をうまく利用することが重要なポイントになると思います。要するに絡み合った繊維をなるべくほぐさないで使うことでより高い効果が得られる、ということです。

また、第二の特徴であるシート状という点に着目し、シート状ならではの加工方法を考えることで、他の素材(例えば第一の特徴が似ているCDCなど)では成形不可能なパーツを作ることが可能となります。これによりフライとして新たな発見、発展が生まれるかも知れません。

そこで、いくつかエアベール・ウェブの特徴を生かした(生きてないかも知れませんが)作例を紹介します。アイデアとしては大したことはありませんが、エアベール・ウェブで色々な工夫を楽しむ一助にでもしていただければ、と思います。

エアベール・ウェブの作例

このページの写真、一枚目と三枚目は3F'S PRODUCTSより提供していただきました。

渓流のドライ フライフィッシング - Dry Fly Manias Association  / Yanma