ラストチャンス・クリップル(Last Chance Cripple)

写真、ラストチャンス・クリップル

半分だけ脱皮した、上半分がダンで下半分がニンフという状態をイミテートしたボブ・クイグリーの名パターン、メイフライ・クリップル。それをベースにレネ・ハロップが考案したフライがラストチャンス・クリップルです。名前の「ラストチャンス」はヘンリーズ・フォークの有名ポイント、ラストチャンスから来ていると思いますが、同時に最後の最後、これでダメならと一縷の希望を託して投げるに相応しいフライ、という意もあるのかも知れません。

メイフライ・クリップル自体もすばらしいパターンですが、いい意味でも悪い意味でも印象派的な大雑把さのあるフライです。これに対しレネ・ハロップのものはテールをウッドタックのフェザーとアブドメンと同色のダビング材(カディス/イマージャー・ダビング*1)、アブドメンをハロップ十八番のグース・バイオット、ウィングをCDCに変えることで非常に繊細でリアルなイミテーションとなっています。

写真のフライは私が巻いたものですが、ウッドダックは高いのでマラード・フランク・フェザーで代用、ダビング材の代わりにジーロンのホワイト、ハックルをより薄く巻いてあります。

*1 カディス/イマージャー・ダビング
カディス/イマージャー・ダビングというのは商品名らしいですが(Hareline Caddis and Emerger Dubbingってやつかなぁ)、持っていないので質感の似ているジーロンで代用しました。が、写真を撮って見るとご覧の通りややアクが強いようです。アブドメンと同色の化繊のダビング材か、シールズ・ファーの方がいい感じかも。

写真、コカゲロウのフローティング・ニンフ 写真、#16ペールイエローのラストチャンス・クリップル

左はコカゲロウのフローティング・ニンフ、右は#16のペールイエローで巻いたラストチャンス・クリップルを水槽で撮影したものです。レネ・ハロップの素材の使い方の上手さは抜群で、実に良く似ています。

メイフライ・クリップルはハックルがパラシュート・パターンのように水面を捉え、直立に近い角度でぶら下がりますが、ラストチャンス・クリップルはCDCの切り残し部の浮力が強いため、最初は写真のように斜めにぶら下がります。この姿勢はフローティング・ニンフに近い姿勢であり、またシャックの表現が控えめであることも考えあわせると、メイフライ・クリップルよりもニンフに近い状態からイミテートすることも考慮されている、と思います。単にマテリアルを変更しただけではない、十分な観察と試行を経ているフライであることが見て取れます。

使用マテリアル
Hook TMC 100BL #14
Thread ユニスレッド6/0(ブラウン)
Abdomen グース・バイオット(ブラウン)
Thorax ラビット・ファー(チョコレート・ブラウン)
Tale マラード・ダック フランク(ダイド・イエロー)、ジーロン(ホワイト)
Hackle コックネック(ブラウン)
Wing CDC(ナチュラル)
渓流のドライ フライフィッシング - Dry Fly Manias Association  / Yanma