マラード・ダック解体新書

マラード・ダックのコンプリートを購入しました。滅多に売っていないモノなので解説と、コンプリートで購入する利点はあるかどうか、を検証してみました。

概要

マラード・ダックとはマガモのことで、マテリアルとしてはを用います(雌はまったく羽根の色が違います)。購入したのは丸々一羽分のコンプリートで、クチバシのついた頭部から翼、尾羽まで完全に揃っています。購入価格は8,100円(税別)でした。

全体写真は刺激的と感じられる方がいるかも知れないので、掲載を控えます。

採取できるマテリアル

ネック・フェザー

写真、ネック・フェザー、緑色の妖しい光沢を放つ

頭から首(neck)にかけて生える美しい緑色の光沢を放つフェザーです。構造としてはピーコック・ブルーネックに近いですが、大きさはもちろん小さく、ファイバーの本数も少ないです。用途としては小型ウェットのチークやアイが考えられますが、ミッジ・サイズのフライにおもしろい使い方を見出せるかも知れません。

ブレスト・フェザー

写真、ブレスト・フェザー、落ち着いた赤茶色

胸(breast)の部分からは、紫ががった茶色のフェザーが採れます。日本ではほとんど使われていないようですが、海外ではソフト・ハックルとして使われることが多いようです。その他、スロート、ウェットやニンフのテールなどに良さそうです。ドライだとフラット・ウィングやファン・ウィング、バンチ・ウィングに使えなくはない、という感じ。

バック・フェザー

写真、バック・フェザー、斑の入った茶がかったグレー

背中側の首の付け根から翼の間、つまり背中の部分にバック・フェザーが生えています。フランク・フェザーに比べると小さく、ファイバーも柔らかくやや結合力のある感じ。ウェット向きでしょうが大きくて高い結合力を持ったものはあまり採れません。また、ハリがありばらけやすいドライ向きのものもそれほど多くないようです。

しかしながら落ち着いた色調ですし、少々柔らかいですけどドライのテールにしてもいい程度ですから、用途はかなりあると思います。

マラード・ダック・クイル

写真、マラード・ダック・クイル、グレーの羽根

翼に生えている初列風切羽(プライマリ)がダック・クイルです。市販されているものそのままです。思ったよりも少なく10ペアくらいしかありません。価格を考えると、小分けして市販されているものから選別して良品を買った方が得です。

写真、ダック・クイルのアップ

とはいえ、近辺に大型ウェットでも巻けそうなクイル(フェザーに近づいておりかなり薄い)があったりしますので、ウィングのコンプリートを買うのもいい手かな、という気もします。

ホワイトティップ・ブルー・フェザー

写真、ホワイトティップ・ブルー・フェザー、光沢のある青で先端だけ白い

次列風切羽(セカンダリ)がホワイトティップ・ブルー・フェザーです。その名の通り光沢のある青い羽根で、先端が白くなっています。これも市販されているものそのままで、5ペアくらいしか採れません。

周辺におもしろいフェザーが見受けられます。マラードのウィング・コンプリートは安価ですから、多少品質が安定しなくてもかまわないのであれば、小分けされたものを買うよりおもしろいでしょう。

マラード・ショルダー・フェザー

写真、マラード・ショルダー・フェザー、数が少ないため値段も少々高い

ショルダーから翼に沿うようにマラード・ショルダー・フェザーが生えています。茶色のものはブラウン・マラード、赤銅色のものはブロンズ・マラードとも呼ばれます。サーモン・フライやウェット・フライのウィングなどに用いられる、伝統あるマテリアルですね。翼の付け根に近いほど小さく、翼の先端に近づくほど大きくなります。

写真、ショルダー・フェザーのアップ

全てあわせて10ペアちょっと採れるかどうか、というくらい少量です。こうしてみると3ペアで袋売りされているものなどは、あれで一羽分なんですね。そう考えると多少高くてもしょうがないのかな。全面グレーのものも少し採れるんですが、ひょっとするとマラード・フランク・エクストラとして売られているのはコレじゃないのか、という気がします。

マラード・フランク

写真、マラード・フランク、斑の入った白

翼の下側、脇(flank)の部分にグレーのマラード・フランクがごっそり生えています。が、思ったほど良質のものは多くありません。また全量も予想していたより少ないです(とはいえバルク数袋分はありそうですが)。

ボディ・フェザー

写真、ボディ・フェザー、薄く斑の入った白

お腹の部分の羽根(とりあえずボディ・フェザーと呼んでおきます)は、ほとんど使われていないようです。短くて結合力がやや強いファイバーなので、用途がかなり限られます。それなのに一生かかっても使い切れないこと間違いなし、ってくらい大量に採れます。ソフトハックルや、ドライのファン・ウィングには十分使えますけどね。

ランプ・フェザー

写真、ランプ・フェザー、光沢のある黒

背中からテールに向けて、光沢のある黒に近い濃い緑(光の反射具合では藍色)のランプ・フェザーが生えています。柔らかいですが、ドライのテールに使えなくもない程度。ソフト・ハックルにするのが良さそうですが、他にも色々使えそうです。

このフェザーの脇に、フランク・フェザーに似ていますが模様の違うフェザーが生えています。ファイバーがかなり細く、柔らかい割によくバラけるようなので、小型のフライなどに適用できそうです。

CDC

写真、CDCが生えている場所、尾羽の少し前

ランプの後半、背中側でテールの少し前に、ランプのフェザーに隠れるようにCDCフェザーが生えています。今までCul De Canard、"カモのお尻(の毛)"ということでテールの下側にあるんだろう、と思っていたのですが・・・。

水鳥が毛づくろいするときに、尾羽の少し前方を盛んにクチバシでこするようにしてますが、あそこに尾脂腺uropygial glandまたはpreen gland)というのがあり、脂が出るようになっています。その周囲にだけCDCが生えているんですね。

写真、CDC、薄いグレーでフワフワ

数量的には数十本くらいと少ないです。パフ状のものも少量しか採れません。セレクトとして売っているクラスのものは数枚あるかどうか。ということは、一袋で2、3羽分でしょうか。バルクだと数羽〜十羽分くらい入ってると思います。どうりで高いわけだ。

テール・フェザー

写真、テール・フェザー、クイルに似た小さい羽根

クイルに近いフェザーが生えています。量も少ないし大きさも小さいのであまり有効な用途はないような気がします。

コスト・パフォーマンス

マラード・ダック・クイル、ホワイトティップ・ブルーフェザー、マラード・ショルダー・フェザー、ブロンズ・マラード、マラード・フランク、CDCの小分けで市販されているものの価格と、コンプリートから採れる量から概算すると、コンプリートで購入してもお得というほど安くはありません。。

小分けされているものは選別して良品だけを買うことができますから、高品質のものを必要とする方は小分けされているものを購入した方がパフォーマンスがいいでしょう。

また、用途を考えるとおもしろそうなのはウィング・コンプリートを買えば手に入るクイル/フェザーくらいですから(ランプ・フェザーは捨てがたい味がありますが)、丸々のコンプリートを買うメリットはあまりないと思います(だから流通していないんでしょうけど)。

レモン・ウッドダック捏造計画

写真、マラード・フランク染色前後、左が染色前の白、右が染色後で黄色くなっている

レモン色に染色したマラード・フランクは、比較的高価なレモン・ウッドダック・フェザーの代用品として重宝します。今回、多量にマラード・フランクが手に入ったのですから、自分で染色してみることにしました。

染料は手芸用のダクロンEX(ゴールド)を用いました。この染料は毛糸などを染めるためのもので、ぬるま湯で処理できるため繊維の痛みが少ないとのこと。もうちょっと暗い色にする必要がありそうですが、染色自体は以下の手順でうまくいきました。

  1. 耐熱性容器に適量の水を入れ、染めたい色より少し濃いくらいの色になるまでダクロンEXを溶かします。
  2. 少量の食塩も加え、よく混ぜて溶かします。これが染色液になります。
  3. あらかじめ水に漬けておいたフランク・フェザーを染色液に浸します。完全に水中に浸るようにしましょう。
  4. 容器にラップでフタをし、電子レンジで弱で3分間加熱します。このとき水面に出ている部分は焦げてしまいますので注意が必要です。
  5. 電子レンジから取り出し、一時間ほど放置します。
  6. 容器からフェザーを取り出し、水洗いします。
  7. 乾燥させれば出来上がりです。
渓流のドライ フライフィッシング - Dry Fly Manias Association  / Yanma ,2002.8.4