あわせの失敗を防ぐ

せっかくフライに魚が出てくれたのに、針ががりしなかった、あわせ切れした、やり取りしている間にバレた、などでランディングできなかった。こういうことってよくありますよね。

このような失敗の原因はあわせにあることが多いようです。あわせのタイミングや動作、ラインシステムなどのタックルを見直すことで、かなり防げます。

あわせの失敗を防ぐ5つの秘訣

あわせの失敗を防ぐために留意すべきことは色々ありますが、特に重要なものと、簡単に実行できるものを5つ、選んでみました。

あわせの失敗の原因

あわせの失敗の原因は、4種類に分けることができます。

あわせが早すぎる(影響大)

魚が十分沈んでからあわせないと魚の自重(重力)がティペットに強く働き、あわせ切れの原因となります。あわせの瞬間には 遊泳力(魚)+自重(魚)+ラインを引っ張る力(人) がティペットに働きます。これらが瞬時にかかると十分な強度を持つティペットでも結節部などで簡単に切れてしまいます。特に魚の自重は作用する時間が短いので、あわせの動作と同時に作用することを回避しなくてはなりません。

大きな魚ほどゆっくりとした捕食をし、かつ自重も大きいので、早あわせは致命的な失敗になりやすいものです。良型を確実に手にするためにも、最悪のタイミングであわせることは避けましょう。

対策:魚が十分沈んでからあわせる(遅あわせ)

タイミングとして望ましいのは、魚が十分沈んでからあわせる(遅あわせ)ことです。浮力が作用して自重による影響がほとんどなくなり、同時に遊泳力も弱まることが多いので、魚側から働く力はほぼ最小になっています。つまり、人間の力加減だけコントロールすればよいタイミングといえます。

タイミングの取り方としては、フライに出てから一拍は待ってからあわせるといいでしょう。アタックが早いときは イチ(出る)、ニ(沈む)、サン(あわせる) でもいいですが、ゆっくり出るときは イーチ(顔を出す)、ニィー(吸い込む)、サーン(沈む)、シィー(あわせる) くらいのリズムが必要となります。はやる気持ちと右手を抑えて、ぐっと我慢してからあわせましょう。

早あわせは、あわせ損ないの原因にもなりやすいものです。まだフライを吸い込みきっていない状態、またはまだ口が開いている状態であわせてしまうと、フッキングせずにフライが抜け出てしまいます(すっぽ抜け)。仮にフッキングしても口先の外れやすい部分にかかることが多く、これはばらしの原因となります。

突然フライに出られると、つい反射的にあわせてしまいがちです。えてしてこのようなあわせはタイミングが早すぎて、すっぽ抜けやバラシが起きやすくなります。これを防ぐには流す前にどのあたりで出るか予測し、心の準備をしておくとよいでしょう。

魚の出る位置を予測するには、ドリフトする前にどの辺りで出るのかイメージすること、そしてそのイメージに近い出方をするようなプレゼンテーションとドリフトをおこなうことです。そうすることで心の準備も、余分なラインの回収などの物理的な準備もできた状態であわせることが可能になります。

あわせが強すぎる(影響大)

ティペット(や結節部)の強度以上に力が作用するような強いあわせはあわせ切れの原因になります。特に急激に力をかけると簡単に切れてしまいます。

対策:ティペットを太くする

単純ですが、ティペットを太くすると強度があがるので切れにくくなります。

細いティペットじゃないと魚がフライに出ない、という意見があるかも知れません。確かに細いティペットの方がドリフトの回避には有利です。が、例えば7Xを足すのではなく、単に6Xを長くするだけでもドラッグはかかりにくくなります。流れを読んでドラッグがかかりにくいようにライン、リーダーを落とす、という方法もあります。

ティペットの存在そのものが嫌われる原因になることはありますが、それは細くしても改善されにくいものです。ティペットが水面と干渉して作るライト・パターンが逆トリガーになっているので、ティペットを水面につけないか、逆に水中に沈めることで回避しましょう。そうすると案外太いティペットでも通用しちゃいます。

海外では魚のサイズが大きいこともあってミッジでも6Xより細いサイズは使わない、というのがローカル・ルール化しているところもあるそうです。細い糸を使うとファイトに時間がかかるのでリリース後の生存率が下がる(魚は疲労に弱いので、リリース時には回復したように見えても数時間後に死亡することがある)ということも、そのようなルールが生まれる理由になっています。

あわせの動作に起因する失敗には、ロッドのアクションも関係してきます。硬いロッドはロッド自体が曲がらないため力がラインに伝わりやすく、柔らかいロッドに比べるとロッドが吸収してくれない分だけ力加減が難しくなります。特にロッド・ティップの硬さは大きくフッキング性能に影響します。

対策:最低限、ティップに柔軟性のあるロッドを使用する

ティップの硬いロッドで上手にあわせるためには、かなり慣れを必要とします。力加減の調節がかなり難しく、特にカーボンのように反発が速い素材はこの傾向が強くなります。

遠投の必要性があまりない渓流では、柔らかいロッド、最低限ティップには十分な柔らかさのあるロッドを使いましょう。

対策:速い動作でのあわせ、大きすぎる動作でのあわせを避ける

魚の出が速いからといって、あわせの動作まで速くならないようにしましょう。どんなに柔らかいロッドでも、過度に大きな動作であわせるとロッドの曲がりに使われていた力がラインに遅れて伝わり出し、切れることがあります。

あわせが完了した瞬間にロッドの描く弧が静止し、その状態から直ちにファイトに入れるくらいの角度で止まっているのが理想的だと思います。

あわせが弱すぎる(影響中)

あわせが弱すぎるとフックが十分に刺さらず、ファイト中に外れやすくなります。あわせ切れを防ごうと力加減を調整すると起きやすい現象です。

対策:バーブレス・フックにする

バーブレス・フックの方が刺さる時の抵抗が少ないので、より少ない力で貫通させることができます。貫通したフックはバーブ(返し)がなくてもそう簡単には外れません。

また、フックの先端(ポイント)を研ぐのもよい対策になります。何度か使用したフックはポイントが甘くなり刺さりにくくなっているので研いで鋭くしておきましょう。

あわせが遅すぎる(影響小)

あまりにもあわせが遅すぎると、フライを吐き出してしまうのでフッキングしません。フライを見失っている間にすごく小さなモーション(ライズと気がつかない程度)で出られてしまい、まったく気がつかなかった、なんてことがあります。

対策:フライを見失ったら、概ねその辺りで何か変化があったらあわせてみる

フライが急に消えた、フライがあるであろう辺りでライズした、水面が一瞬乱れた、変な水音がした、水面直下に魚影が一瞬見えた、ティペットやラインが妙な動きをした、なんて時はとりあえずあわせてみましょう。結構、これで釣れちゃいます。

渓流のドライ フライフィッシング - Dry Fly Manias Association  / Yanma ,2003.1.31