Step.2 季節にあった戦略

季節の移り変わりは、気温・水温の変化だけでなく水生昆虫の羽化、時間経過によるプレッシャーの高まりと魚影の減少、など渓の状況を変化させていきます。それにあわせて、どのようなポイントを中心に狙っていくか、どのようなフライ・ローテーションを組み立てるか、そういう戦略をキチンと持って望めば、魚との出会いのチャンスは大きくなります。そうなりゃ、釣れる確率だって高くなるってもんです。

参考までに、私の基本的な季節別の戦略を紹介します。*1

*1 マッチング・ザ・ハッチの状況はあまり考慮しないで書いてありますが、下のフライだけでも使い方(浮かせ方、現地改造)次第でかなりの状況に対応できます。

Point.1 最早期(解禁〜3月前半)

魚の状態

気温、水温とも低く、動きが鈍い。そのため流速のないところに着く。

成魚放流の場合、群れを作るように固まることが多い。

解禁直後プレッシャーは低いが、ポイントが限られていることと、フラットな水面での釣りになるため急速にスレて釣りにくくなる。

主なポイント

水面がほとんど波立たないくらい遅い流速のところ(フラット&スロー)。

大き目のプールや、全体的にフラットな中流域など。

時間帯・天候

気温の上昇する10〜15時。

寒くない晴天の日。

期待できる羽化

◎ユスリカ ○オナシカワゲラ △コカゲロウ

フライ

ミッジ(ドライ、ピューパ・パターン)#20〜24

ソラックスダンCDCダン、コンパラダン)#16〜20
(色はカワゲラの代用としてこげ茶、コカゲロウは薄い茶〜タン)

釣り方

ドライではライズがないとまず釣れない。プールなどでライズを探す。

ライズがなければニンフで探る。*2

*2 以下ニンフについてはドライで釣れそうになければ当然ニンフで探る、となりますので書きません。

Point.2 早期(3月後半〜4月)

魚の状態

気温、水温の上昇とともに、徐々に流速のある瀬などに移っていく。が、盛期に比べるとまだ流速の遅いところを好む。

主なポイント

最早期と同じフラット&スローなプールなど。

瀬の中の流れのゆるやかな部分。

時間帯・天候

気温の上昇する10〜15時。4月後半なら8〜17時。

暖かい晴れやうす曇の日がよいが、雪代がでることもある。

期待できる羽化

◎コカゲロウ △中型のカゲロウ*3 △小型のトビケラ

フライ

ソラックスダンCDCダン、コンパラダン)#16〜18
(色はコカゲロウ色)

スタンダード(ライトケイヒルマーチブラウン)#14〜16

パラシュート(薄い黄色、こげ茶色)#14〜16

釣り方

前半はプールではライズ狙い。数は多くなく散発的だが瀬の中で中型のカゲロウが羽化することもあるので、瀬の中の緩い流れの部分にスタンダードなどを流してみることも必要。ライズを探しながらそういう釣りをするのもいい。

4月後半になるとかなり瀬に魚が入ってくるので、ライズがなくても釣りになる。盛期よりも流れが緩い部分を攻める。

*3 中型のカゲロウ
  • シロタニガワ、ナミヒラタカゲロウ(水中羽化)
  • マエグロヒメフタオ、ヒメフタオカゲロウ(離水羽化)
  • オオクママダラカゲロウ(水面羽化)

Point.3 盛期(5月〜6月)

魚の状態

十分体力を回復し、瀬の中に着くようになる。

プレッシャーは高くなっているが、水生昆虫の羽化が多く、積極的に捕食する時期なので最もドライで釣りやすい。

主なポイント

最早期と同じフラット&スローなプールなど。

瀬の中の流れのゆるやかな部分。

時間帯・天候

早朝からイブニングまで(正午付近やや悪し)。

快晴よりも曇りや小雨がよい。

期待できる羽化

◎マダラカゲロウ各種 ○トビケラ各種

フライ

ソラックスダンCDCダン、コンパラダン)#12〜16
(スローな流れ向き、色は薄い黄色、茶色、オリーブ)

スタンダード、パラシュート、エルクヘアカディス#12〜16
(速い流れ向き、色は薄い黄色、茶色、オリーブ)

以下もあるとライズ狙いなどに有効

スパークルダン#12〜#18
(シャックがついていれば他のパターンでもいい)

  • オオマダラ#12〜14薄茶
  • クロマダラ#14〜16こげ茶
  • アカマダラ#16〜18赤茶

カディス・パターン(ピューパ、アダルト)#8〜18
(大きいのはヒゲナガカワトビケラ用、あとは各種トビケラ用)

他にモンカゲロウ・パターンもあるといい。

釣り方

#14前後で瀬を釣りあがっていく。色は実際羽化している虫に大体合わせればいい。マダラの羽化があるときは、スパークルダンなども試してみるとよい。

先行者がいなければ、プールなどでライズを見つけることもできる。が、プレッシャーが高くなっているし羽化が複雑化していて難しい。簡単に取れなければあきらめてその先へ進む方が釣果は伸びる。

朝夕はカゲロウの羽化が多く、夕方以降はトビケラの羽化が多い。ヒゲナガが羽化するようなら、大型のフライで誘う釣りもよし。

Point.4 盛夏(7〜8月)

魚の状態

水温の上昇を避け、流速のあるところを好む。日中はあまり捕食せず、朝夕の涼しいときに餌の食べやすい流速のところに出てくることが多い。

高度のある方が気温・水温とも低いので釣りやすい。源流などもよい。

主なポイント

盛期と変わらないが、より流速のあるところにも着いているので、そういうポイントも狙ってみる。

また水生昆虫の羽化が少ないため、陸生昆虫の供給が見込めるような上に樹木の張り出した岸よりで、直接日光があたっていない日陰側などは絶好のポイントになる。

時間帯・天候

朝夕のみと考えていい。

快晴よりも曇りや小雨がよい。

期待できる羽化

◎蟻 ○その他陸生昆虫

フライ

スタンダード、パラシュート、エルクヘアカディス#12〜16
(速い流れ向き、色は茶色、オリーブ)

ムネアカオオアリ#12〜14、アント#16〜20

他にビートルなどテレストリアル・パターン

釣り方

基本的に餌に飢えているのに流下が少ないため陸生昆虫に手を(いや、口か)出すのであり、あまりパターンを気にする必要はない。#14前後で瀬を釣りあがればいい。

ただし、陸生昆虫は水面下を流れることが多いため、フライを沈め気味にしたり、時には完全に沈ませてウェット的に使うなどの小技も効果的。

例外的にアントに対しては水生昆虫に対するかのような反応(固執)を示すことがある。羽蟻などは集中的な流下が見られるし、ムネアカオオアリは好んで捕食する傾向があるようだ。

Point.5 秋(9月)

魚の状態

再び水温が低下して安定し、また産卵を控えた荒食いや遡上の季節。

プレッシャーは最高、魚影は(通常)最低で、非常に魚は神経質。慎重なアプローチが要求される。一方で細流や堰堤下などに大物が遡上してきており、食い気は十分あるので大物狙いのチャンスでもある。

主なポイント

盛期と変わらないが、神経質になっている分、身を隠しやすいところを好む。

時間帯・天候

早朝からイブニングまで(正午付近やや悪し)。

快晴よりも曇りや小雨がよいが、台風には注意。

期待できる羽化

◎コカゲロウ ○エルモンヒラタカゲロウ ○小型のトビケラ

フライ

ソラックスダンCDCダン、コンパラダン)#14〜18
(スローな流れ向き、色は薄い黄色、茶色、オリーブ)

スタンダード、パラシュート、エルクヘアカディス#12〜16
(速い流れ向き、色は薄い黄色、茶色、オリーブ)

釣り方

秋世代の水生昆虫の羽化が見られるが、盛期に比べると数、種類ともに寂しい。サイズもやや小振りなので、盛期よりも1サイズ小さいローテーションを組むといい。

相当に神経質な魚を相手にする必要があり、アプローチとドリフトには細心の注意を。また、どちらかというと浮いているフライよりも水面直下を流れるフライの方がヒットしやすい。*4

ドライにこだわらなければ、ウェット(ソフトハックル、大物狙いならクイルウィング、例えばシルバーマーチブラウンなど)が賢い選択かも。

*4 ハイ・プレッシャー下ではよくこう いうことが起きる。たぶん、ティペットの存在やわずかなドラッグで見破っており、水面直下にティペットも沈むと その「違和感」が緩和されるからでは ないか、と思うのだが・・・

渓流のドライ フライフィッシング - Dry Fly Manias Association  / Yanma