Step.3 鱒が虫を食べるということ

鱒が虫を食べるから、虫に似せた毛鉤で釣れるわけですから、あったりまえのこと、フライ・フィッシングの根本ですよね。その割にはあまり語られてないような気がします。

鱒が虫を食べるという行動、よく考えてみるとそんなに単純でもありません。

という順番で進んでいきます。それぞれにフライで釣るためのヒント(あるいは、釣れない理由)が隠されています。

 

Point.1 流下物を発見する

あたり前ですが、まずは流れてくる虫、いや、この段階では虫かどうか判断していないので流れてくる物を見つけることから、その後の行動が生まれてきます。つまり、魚にフライを見つけてもらうことが最初に必要ということです。

魚の視界だって限られているわけですから、まずはそこにフライを流さなくてはなりません。

また、視界の中であっても左右に大きく外れると追いきれないため捕食できないか、最初からフライを追うことすらしません(この傾向は流速が速いほど顕著になる)。

ここを流れると食べるという筋、それを「食い筋(フィーディング・レーン)」といいます。食い筋が予測できなければ無駄にフライを流すことが多くなり、結果として「釣れるチャンス」は小さくなります。

ライズがあれば割と簡単に食い筋がわかりますが、ライズだって食い筋上で起こるわけですから、食い筋を予測してそこを重点的に見て探すのと視界全体を隈なく見て探すのでは発見する確率に相当の差がでます。

Point.2 虫と認知する

さて、流れてくる物体を見つけた魚は、それが虫(食べ物)であるかどうかを判断しなくてはなりません。毛鉤で釣れる、という事実からすると主に視覚に頼って判断している、と考えてよさそうです。

それでは、見た目がそっくりなフライなら、魚は虫と判断して食べるでしょうか?そうはならないのがフライの面白いところです。魚は図鑑と見比べて虫かどうかを判断するわけじゃありませんものね。

まして、流れの速いところでは発見してから食べるかどうかを決断するまでに時間をかけることができませんから、比較的簡単な基準で餌かどうかを判断しちゃう。つまり、セレクティブではないわけです。

逆に、流れが遅い場合は時間をかけて判断することができ、水面が平らに近いために魚は細部もよく見えてしまいます。こうなると色々な条件にあてはまる物だけを選んで食べたり(セレクティブ)、ティペットの存在も見つけやすくなるため違和感を感じて食べるのをやめてしまったりします。

Point.1とあわせると、下のようなことがいえると思います。

Point.3 食べる

魚が虫を食べる場合、よく「くわえる」と表現しますが実際には「吸い込む」ように食べています。虫の場合は何の抵抗もなく吸い込まれていきますが、フライにはティペットがついているため、これが抵抗となってうまく吸い込めないことがあります。

ですからフライ近辺のティペットには若干の動く余裕が必要なのですが、通常はフライを流しているうちにティペット、リーダーのスラックがほどけていき、余裕がなくなってしまいます。こうなるとフライには出るんだけどフックにかからない、ということが起きやすくなります。

また、ティペットに余裕がなくなればドラッグが発生し、魚に違和感を与えるだけでなく、「食べようとした所にフライがない」という状態も生み出し、これがまたすっぽ抜けを起こす原因にもなります。

これは、魚が虫(やフライ)を実際に捕食する場所よりも上の方にフライを落しすぎるとよく起きます。なるべく正確に魚が定位している位置を読み、食い筋だけでなくフライに出る地点も予測して、そこをティペットに余裕を持ったまま通過するようなドリフトをさせることが必要です。

ドリフトが上手く行ってるのに、やっぱりすっぽ抜けが多い、ということも起きますが、多くは魚がフライを上手く吸い込めないことが原因のようです。

なかでも、フライが実際に魚が(その時よく)食べている虫よりも大きい(サイズだけでなく、ハックル等の巻き数などの「ボリューム」も含めて)場合によく起きます。

こういう時はフライのサイズを下げる、またハックルの巻き数が少ないなどボリュームのないフライ(ソラックスダンCDCダン、パラダン・・・など)に変えるなどして、吸い込みやすくしてあげると効果があります。

フライを変えなくても、ボディが水面下に入るような半沈みの浮き方にするだけでも十分対応できることもありますし、スタンダードならハックルの下側をカットする、エルクヘアカディスならヘアを少し毟って少なくするなど、その場でのちょっとしたフライの改造でも対応できます。

渓流のドライ フライフィッシング - Dry Fly Manias Association  / Yanma