Step.4 魚はどこに定位している?

さて、それではいったい、魚はどこで餌を待ち受けているんでしょうか?それさえわかれば食い筋も見えてきますし、釣れる確率はグンとアップします。

Point.1 魚の行動心理学

魚の気持ちは、本当のところは人間にわかるはずがありません。が、傾向としてなら、ごく単純な原理のもとで行動している、と考えてよいと思います。その原理とは生存第一主義とでもいいましょうか、生き延びることを他の何よりも優先する、というものです。

生きるためには食べなくてはなりません。そして、食べるためには多かれ少なかれ体力を使うので、さらに食べなくてはなりません。他の固体よりも大きく、強く成長し、繁殖期に優位を得るためにはもっともっと食べなくてはなりません。「生存第一主義」のなかでももっとも重要であり、かなりの部分を占める、つまり魚の行動を決定づけるのは「いかに効率よく餌を摂るか」ということだ、と私は考えています。

一方、外敵から身を守ることも生き延びるためには必須です。そして、昨今では外敵というのは鳥や獣よりも人間、釣師が最強最悪でしょう。当然、彼ら(私たち)から身を守る術を学習していかなければ生き延びられない、ということになります。

しかし、これは釣師の与えるプレッシャーの高低に左右されるものです。魚の行動原理に占める割合も、プレッシャーの高低に影響されます。シーズンを通しての、またその日その日のプレッシャーの高さに応じて、行動原理において優先度があがっていきます。当然、魚の行動にも変化が生じます。

Point.2 食事に向いた場所とは

とりあえず、「いかに効率よく餌を摂るか」ということだけ追いかけて見ましょう。魚は当然「効率よく餌を取れる場所」に居るはずですし、「効率よく餌が取れる筋(流れ)」が食い筋になるはずです。

恐らく全ての入門書が魚の付き場として「餌が集まる=流れが集まる場所」と紹介しています。餌の方から集まってくれるわけですから、もちろんいい場所であることに間違いはありません。しかし、それだけでは「効率よく」の一部分しか満足していない、と私は思います。

「食べるためには多かれ少なかれ体力を使う」と少し前に書きましたが、魚はできるだけ体力を消耗させずに餌を摂ろうとします。例え餌が多く流れる筋であっても、食べる度に激しい運動を余儀なくされるようでは収支があいません。当然、そこに魚が居る確率は低くなります。

体力を消耗せずに捕食できる筋(流れ)は、以下のような特徴があります。

上下動の激しい流れは当然として、速すぎる流れも捕食に失敗しやすいことや、そもそも速い流れの中に自分を定位させることにも体力を使いますから、あまり良くありません。また、曲がったり不規則に左右にぶれる流れでは餌の流れ方も不安定になり、魚にとっても神経と体力の両方を消耗することになります。まっすぐな流れの方に好んで着くのは自然なことと思えます。

Point.3 餌が集まる流れ

周囲から餌が集まる流れ、とはどういうものでしょう?ここはドライフライ・マニアのサイトですから、水面に限定させてもらいます。食べやすい餌とは、動き回らずに、流れのままに流されてくる水生昆虫などです。つまり、水の集まる流れ=餌の集まる流れ、と考えることができます。

水が集まる、とはいったいどういうことでしょうか?

流れの速い部分は単位時間あたりに流下する水分子が多い、ということですから、どこからか供給される分子も多いことになります。つまり、水が集まっているわけです。逆に、落ち込みの肩のように物理的に水が集まる構造の部分では、集まった水を速く下に流さなければいけないため、その上のヒラキに比べると流速が上がっています。

どちらにしろ、周囲よりも流速の速いところは水の集まるところであり、餌の集まるところになります。が、ここでひとつ問題が起きます。流速が上がると水底などの影響を受けやすくなり、水面が乱れて上下動を起こしてしまいます。これは魚からみると「餌が食べにくい」状態で嫌われる、とすでに書きました。また、水面の上下動はそれほど大きくなくても、速すぎては魚も食べるのが大変、とも書きました。「矛盾してるじゃないか!」というお叱りが聴こえてきそうです・・・

が、周囲より流速の速いところそのもの、ではなくて、その直下や左右をよく観察してみましょう。きっと「水面が上下動していない、ほどほどの流速のところ」が見つかるはずです。そこはつまり餌が勝手に集まり、しかも食べやすい、ベスト・ポイントなのです。

例えば、落ち込みから流れ出る筋、ではなくて、その下のヒラキの筋の延長線上に当たる部分であるとか、落ち込み近くであれば筋とそうでない部分の境目付近、あるいは筋から別れ出る反転流などの方が本命ポイントといえるでしょう。

間単にまとめるなら、まずは流速の速い部分を見つけ出し、その前後左右で上下動がなく、適度な流速で流れている、比較的まっすぐに近い流れを探しましょう。そこが食い筋である可能性は高いです。が、さらに食欲以外の心理的要因を加えてよりタイトに読むことが実釣では重要になります(Part2につづく)。

渓流のドライ フライフィッシング - Dry Fly Manias Association  / Yanma