Step.5 魚はどこに定位している?(Part 2)

こんどは「外敵から身を守る」ことを考えて見ましょう。

Point.4 外敵から身を守るには

もっとも簡単にして効果的なのは、「沈む」ことでしょう。深ければ深いほど安全ですし、それほど深くなくても底石や倒木などの下に潜り込めばかなりの安全が確保できます。また、流速の速い流れも外敵の侵入を防いでくれます。

ここでまたドライにこだわりますと、水深が深い場所、というのはあまりうれしくありません。私の経験では1m以上深いところに定位している魚が水面のフライに反応することは稀です(捕食していても水中のものに限られる)。こういうポイントでは魚が確認できるくらい浮いていないとドライでは簡単に釣れない、と考えておいてもいいでしょう。

といって、浅すぎるとこれまた魚には居心地が悪いわけです。10cm〜1mくらいの水深ならばドライで釣る範囲ですが、30cm〜70cmくらいの水深が釣りやすい、という感じでしょうか。このくらいの水深ならば流速もちょうどよく、底石なども十分な大きさのものが沈んでいますし、深すぎないので底に張り付いている魚でもドライに反応してきます。

流速が速いのも困りますが、そういう場所に潜みつつ、その近くで餌を食べようとすることはよくあります。ストラクチャーは、食事に都合のよい流れにちょうど存在していたり、近くにあったらこれは幸運です。高確率で魚が着いているベスト・オブ・ベストというべきポイントでしょう。

Point.5 食欲と安全のはざま

現実には、食欲を中心にプレッシャーが高いほど身の安全を求めていく、と考えていいと思います。

まずはPoint 3で述べたような、餌の集まりやすい流れを探します。とくに十分な大きさ(直径30cm以上)の底石や、大きな浮石、倒木、岸際の葦などのストラクチャーに注目してください。餌が集まり、食べやすい流れで、すぐ近くに身を隠せるストラクチャーがあれば、そこを本命ポイントとしてマークします。

次に、本命の近くで身を隠すにはこっちの方が有利、というポイントを探します。それを対抗ポイントとしてマークします。例えば、落ち込みからの筋の延長線上の1m横に大きな底石があったとします。延長線上が本命、底石付近が対抗になります。

また、食事には向いていないんだけど身を隠すことはできる、というポイントも探しましょう。ついでにフライを流しにくいな、というところで、食事ができるか身を隠せるかどちらかはできる、というポイントも探します。これらは穴ポイント、竿抜けしやすいポイント、といえます。

さて、あとは本命、対抗、竿抜けのどこに魚が着いているかを見極めるだけです。プレッシャーが低ければ、迷わず本命を攻め、それで反応がなければ対抗を念のため流す程度で十分なはずです。魚は食事をすることに夢中になっているはずですから。

先行者が釣りあがったばかりだ、とか、常に釣師が多い川などは、本命ポイントでのん気に餌を食べていると危ない、と魚も思うのでしょう。対抗ポイントや竿抜けから反応することが多くなります。仮に先行者が確認できなくても、反応の仕方からその存在を知ることができるくらいです。プレッシャーの強さ、また常態的にプレッシャーを受けるかどうかも関係しますが、本命中心ではなく本命対抗半々とか、時には本命は捨てて対抗と竿抜けだけ攻める、というくらいまで優先順位を変えていく必要があります。

え?本命、対抗、竿抜け、全部にフライを流していけばいいじゃないか、ですって?

なるほど、それならいつでも同じ考えで釣りができますね・・・というわけには、残念ながらいきません。私たちがフライを1回流す度に、いえ、時にはフォルスキャスト1回しただけで魚にプレッシャーをかける、ということを忘れてはいけません。

本命、対抗、竿抜けなどにランク付けして流すべきだ、とは述べましたが、流す順番はまた別の問題です。基本としては、近くのポイントにプレッシャーをかけないように流す必要があります。全てのポイントにフライを入れていては、どうしてもプレッシャーを自らかけることになります。その日、その時に魚が着いている可能性を考え、可能性の高いところに不要なプレッシャーをかけないように「捨てるべきポイントは捨てる」べきなのです。

Point.6 季節による違い

流す順番はどう決めるんだ?どうポイントを捨てればいいんだ?という疑問が当然出てくるかと思います。が、それは立ち位置やそこに至る移動方法、いわゆるアプローチと、フライを(正確にはフライとティペットとリーダーとラインを)どう流すか、つまりドリフトとも強く関係してきます。よって細かい話は次章に譲ります。

ここまでおもに流速、水深、ストラクチャー、プレッシャーによってポイントの優劣(魚が着いている可能性の大小)を考えてきました。実は、さらに考え合わせていくべき要因がいくつかあります。水温、気温、日照、昆虫類の羽化・流下などですが、まとめて季節と考えてもいいでしょう。

早春を考えてみましょう。まだ水温、気温が低く、魚も動物ですから運動するためには通常よりもカロリーも多く必要とします。しかしながら、水生昆虫の羽化は小型、超小型のものがほとんどで、効率の悪い食生活を強いられます。当然のことながら、わずかでも水温が上昇しやすい流れの緩いところ、陽あたりのいいところを好みます。体力を使わずに捕食できるということからも、盛期以降にくらべれば流れの緩いところに定位します。

盛期以降になると、このような傾向は見られなくなります。水温が変動しない日陰を好むようになってきますし、そういう場所は陸生昆虫(テレストリアル)の流下も期待できます。プレッシャーも上がってきますので、早春よりも流速の速いところで定位します。

目立った羽化(ハッチ)や流下があれば、当然それも考慮に入れる必要がありますが、だいたいそういう場合はライズが起って魚の方から居場所を教えてくれます。あまり気にしなくてもいいですが、水生昆虫の生態なども勉強し、それをポイントの絞り込みに応用していくのもおもしろいですよ。

こういったことも考え合わせて、また実際にライズした場所、魚が釣れたり反応した場所もフィードバックしながら、常にどこに魚が着いているか、その可能性を考えていくことが非常に大事ですし、ロッドを振り上げる前に終わらせておくべきです。

時には幅数cmもない細い細いレーンが狙い目になりますが、そこを外してしまうと流速が速すぎたり、魚に対して横過ぎたりで魚がフライを追いきれずにUターンしてしまう(これをフライが見切られた、とカン違いする人が多いように思います)とか、出たけど咥えきれずにすっぽ抜けたとか、悔しい思いを何度したことかわかりません。私の拙いキャストではこれからも悔しい思いをすること間違いなし、ですが・・・

渓流のドライ フライフィッシング - Dry Fly Manias Association  / Yanma