かって、「芦屋エスペラント会」があった...

Iam estis Aŝija E-Societo...

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La tunelo  (261)


仮題 『トンネル』

Marco Picasso
著者 マルコ・ピカソ



(14.5 cm x 20.4 cm x 1.1 cm  171頁、 Kooperativo de Literatura Foiro, 1998年)
(1,500円)

Unu vorte: トンネル工事の危険度を判定するのが専門の地質学者と、出版社に勤める女性とのアルプス山系での出会いと、友情から愛情への二人の心の揺れ。そして、危険を無視してトンネルを掘りつづけようとする企業と、それを阻止しようとする地元の自然保護団体の人たち。大人の愛は成就するのか、工事の先行きは?

・全20章。各章にサブタイトルはない。
・Marco さんを読むのは、わたしは初めて。読みやすいエスペラント。文学的表現もたっぷり。本格派である。トルストイが疑った「真実の愛」はあるのか? 友情と愛情はどこがちがうのか? と思い悩む主人公の気持ちが、山岳地帯を歩き回る中年の感情の流れを追って、読み手の感情移入がしやすく描かれている。
・登場人物の名前からも、アルプスをはさむ北と南の国の人たちというだけで、作者が読者の先入観を避けるようにしていることがうかがえる。
・一方で、 Petro や Bruno の奥さまは、パートナーの勝手な行動に腹を立てるだけで、何もせず見守っているという感じで、読み手としては気になる。
・激しく燃え上がった主人公たちのアヴァンチュールも、 Magda の過去の行状を知り、将来へと続く愛情を信じない Magda に気づいた Bruno は再び沈み込んでしまい、自分の世界に引きこもってしまう。この二人はどうなるのか、じっと待つのか、と読み手が思いを巡らせているうちに、突然、トンネルの工事現場が崩壊してカタストロフィーで話を締めくくってしまう。あとは読み手が考えろ、ということか?


 
場所:
トンネル工事が始まっているイタリアの山岳地帯 Bornel が主要な舞台。 架空の地名か?Bornel をはさんでイタリアと、その北側の国(どこの国か明らかでない)の人たち、そして地元の人たちが主として登場。
・山で知りあった女性 Magda のリュックに緑の星が張り付けてあって、そこに Esperanto
parolata とあるのを主人公 Bruno が気づく、という我々エスペランティストにはうれしい記述がある!

時:
1980年前後か? 自然保護運動が過激化しテロと絡んだ頃。

登場人物:
Bruno  ― 主人公。男性の地質学者。既婚。南の国の住人。
Magda ― 出版会社に働く女性記者。既婚。北の国の住人。
Petro ― Magda の夫。自然保護主義団体の会員。
Jozefo … 地元の飲み屋の主人。
Karlo … 北の国の、自然保護団体の一員。 Petro や Magda の仲間。
Sonja … Karlo の妻。
Serĝo … Karlo たちの仲間。
Robĉjo  … Karlo たちの仲間で、過激に走りやすい若者。
Lino … Karlo たちの仲間で、Robĉjo の友人。
Luiza … Magda の娘。
Vanĉjo  … Karlo の仲間で、信頼できる男。
Antono … Lino の同僚。
Danielo  … Vanĉjo の友人で画家。いかがわしい盛り場で、 Bruno と一緒に Rob&#265jo を探してくれる。
Toni と Jakĉjo … 作業員。ともに、トンネル工事での突然の出水で犠牲になる。
 その他に、名前は出さずに Bruno の会社の役員、マネージャー、技術顧問、地質学の教授で会社の顧問、工事現場の監督、そして、Bruno が、一年間飛ばされていた時に知りあった、南アフリカのアンデスに住むインカの末裔たちが登場。



面白い表現、単語、いいまわし:
・ - Ha,  s'luton! - li rapide respondis kaj, konsciante sian eble malĝentilan
reagon, li tuj aldonis. - Pardonu, ĉar mi enpensiĝis kaj eĉ ne rimarikis
vin, Ĉu..., ĉu vi estas ĉi tie jam de longe? ―― とっさの、あわてて発する挨拶。うまい!
・ Kaj kun tiuj pensoj li ekpromenis, rigardante la ĉielon, kie la 'somera
triangulo' donis al li iun firman certecon. Io senmova, neŝanĝiĝebla,
malgraŭ la homaro, malgraŭ la historio mem. ― 「夏の大三角形」
*

(2017. 9. 17. 読了)
 
Krokodilon oni povus paroli ne nur pri enigmo, sed eĉ pri nesolvebla o