かって、「芦屋エスペラント会」があった...


Kion mi skribis? (2)


La Movado (2015) 5月号 8頁

エスペラントの本の森に素敵なお話を求めて (一)

(先輩)「これで、'Launua kursolibro'はお終いです。たった一人の講習会参加者だったのに、よく、ここまでがんばりました。わたしは講師を何度か経験したけど、このテキストを最後までやったというのは二回目か三回目で、わたしもほんとにうれしいです」

(後輩)「このテキストの続きはないのですか?」

「テキストは一杯あるのだけど、この続きとして作られたものはありません。このテキストの前身の'Latekstounua'には、'Lateksto dua'がありますが、それは30頁ほどの小冊子で、小話や手紙、そして、ザメンホフ訳の「マッチ売りの少女」などが収めれれています。エスペラントの上級レベルをめざし、文法などを組織立てて学ぶというものではありません。だから、このさきは、しっかりした造本の、オールドさんの'Pashojalplena posedado'や、会話に強くなりたいと思うならグビンスさんの'Kunvojaghu'などを独習されることを、わたしはおすすめします。でも、そんな学習用の本で小話や断片的に名文家の作品を読むよりも、エスペラント国にはフィクションやノン・フィクションの、あるいは、翻訳ものからエスペラント・オリジナルのもの、絵本や漫画など、たくさんの良書が百年以上にわたって刊行され続けていますから、簡単な読みものから初めて、だんだんと自分の好みに合った作品や作家を見つけ、面白い本をたくさん読むことで、楽しみながらエスペラントの実力をつけられるのがベストです。むかし、受験生のころ、英語の実力をつけるには、原文で推理小説を読むのが良いと、わたしは予備校の講師に言われたことがあります。読者は犯人を当ててやろうと、辞書を引く間を惜しんでどんどん読み進めるからでしょうね。わたしたちのエスペラント国でも、エスペラント・オリジナルの推理小説はもちろん、メグレ警視やシャーロック・ホームズもエスペラントで読めます。わたしの好きなスウェーデンの刑事マルティン・ペックものも'Roseanna'が、エスペラントに訳されています」

「わたしは、語学に強くなりたければ、原語でポルノを読め、というのを聞いたことがありますよ」

「えっ、そんな不謹慎な。でも、上品な、ロマン・ポルノというようなものがエスペラント国にもありますね。オランダの作家、レオポルド・フェルメイレンさんの作品で、詩人マルコと恋人のシルヴィアがいつも登場するお話の数々で、わたしは大好きです。当地のエスペランティストたちがエスペラントに翻訳した 'Lanudafeino', 'La ludanta lumo', 'La bela petveturantino'そして'Laegiptadanncistino'の4冊です。会話がとても素敵です。エスペラントは美しい言葉だと実感できます。詩人のマルコのように、わたしもエスペラントで恋人と会話を楽しみたいものだと思いました。いつか、テレビで『ツイン・ピークス』を見ていたときに、デヴィッド・リンチ監督が扮する老捜査主任がレストランで美人のウェートレスを見かけて、「あんな美人とならエスペラントで話をしてみたい」と言ったのに、びっくりしたことがあります。エスペラントが、美しい響きを持った言葉だということを、リンチさんはご存じなのですね。フェルメイレンさんの本の裏表紙のキャッチ・コピーには 'erotikajnovelaroj'として、これらの作品のジャンルを紹介しています。日本では、林健さんの書かれた青焼きコピーの... いや、話がそれてしまった」

「例会で皆さんがなさっている輪読会に参加する、というのはどうでしょう」

「もちろん、読書と並行してそうされるのが良いでしょう。本来は、本など読まないでも、エスペラント・クラブの会員たちと会話を楽しんでいるうちにいつのまにかエスペラントの実力がついているというのが理想です。しかし、例会に出席される会員が少なくて、しかも会員のレベルがまちまちです。それに、会員のだれもが社交的で会話好きというわけでもありません。例会でエスペラントがいつも飛びかっているというところは、日本では少ないと思います。例会活動に参加するのは、エスペラントの実力を伸ばすというよりは、エスペラントの勉強を長く続ける、あるいは、たえずエスペラントに触れる機会を持つため、とわたしは思っています。確実に言えることは、週一回や二回、そして、二、三時間の勉強では現状維持がせいぜいだということです。実力をつけるには独習しかないとわたしは思います」

                                             (つづく)