かって、「芦屋エスペラント会」があった...


Kion mi skribis? (13)


La Revuo Orienta  (2016) 5月号 20-21頁
エスペラント・ランドの本屋さん


津田 昌夫


(本屋)「ちわー! ご隠居さんは?」

(ご隠居)「おや、本屋さん。今日は何かい。何かいいもの持ってきたのかい?」

「ひょっとすると、ご隠居の食指が動くかなと思いましてね。この2冊でして」

「おや、漫画に児童書じゃないか。わたしを馬鹿にしちゃいけないよ」

「何をおっしゃる、その反対ですよ。ご隠居なら分かってくださるだろうと。実は、このセケリさんの"Padma,la eta dancistino"(注1)が出たときは、わがエスペラント・ランドは子ども人口が少ないんだから、こんな本沢山は売れないだろうと、わたしゃ思ったんですがね。ところが、ちょっと前に、タンタン・シリーズの、"Latemplo de l'suno"(注2)が出たんで、<ちょっと待ってくれよ>と考えたんで。そもそも、デナスカ・エスペランティストなんて少ないに決まっている。だから、こんな本を広げて読む子供が大勢いるなんて、とてもじゃないが想像できない。おそらくこの”タンタン”は原本と同じスタイルで、ハード・カバーの大型本。アート紙に全頁カラー印刷。これは、いわゆる愛蔵版仕様。だから、これは大人向けで、例えば、シリーズの世界各国版を収集しているオタクを狙ってもいたり、とか」

「なるほど。もう一度よく見せておくれ」

"Padma"も、中綴じでペーパー・バックだった "Kumeuxaexa"(注3)とちがって、ハード・カバーで愛蔵版仕様でさあ」

「そういえば、RO誌に福永牧子さんが、福音館では『ジャングルの少年』に比べ、弱いと判断され出版できなかったと、書いていたなあ(注4)」

「そう、よかったねえ。わたしゃエスペラント読めない奴らめ、ざまあ見やがれって思いますよ。あっしら"Padma"を読む楽しみを独占できるんですからね」

「あんた、口が悪いよ。活字が大きめなのはわしら年寄りにはいいな。おまけにアート紙で印字がはっきりしているし」

「オタクの目で"タンタン"を見直してみると、とても面白いんですよ。タンタンとハドック船長が、もちろん愛犬ミルも一緒ですが、誘拐された友人のスンギルル氏を救い出そうと、ペルーの、古代インカ帝国の法を守って生活している人々が住む、大森林の奥地へと出かけるんですがね。大きな見開きの頁だと、読む前に絵を見ただけで話の展開が少し先まで分かってしまいまさあ。そこで考えたんでしょうね、山高帽とステッキの、二人のへまな刑事といった脇役を。二人は随所に出てきて、絵の駒数を増やし頁展開を調節する役。だからある時は、両頁ともが、雪山風景ばかりで白がいっぱい。ある時は緑がいっぱいで、ジャングルの中で悪戦苦闘、ある時は黒と灰色が中心の洞窟の中のシーンばかり。うまいねえ。おまけに、<あんた、エスペラント話せる?>なんて、タンタンが言ったり」

「分かった、分かった。タンタンはそれで良いとして、"Padma"はどうなのさ」

「こんな風にして民俗学の学者さんは地元に入り込むのかねえ。乗ってきたトラックをひょいと降りてね。そうやって訪れた、インドの地方の村が舞台でして。Padmaは滞在させてもらった家の賢い娘さ。遊んでいる時に飛び込んできた白い物体や、夜の墓地での奇妙な物音、蛇使いの操るコブラの恐怖、かくれんぼをしていて迷い込んだ洞窟で見つけた巨大な踊るシバ神像。テレビ・ゲームやスマホの時代でも子どもにゃまちがいなく面白い話だよ。福音館も判断をあやまったんじゃないかね」

「じゃあ、二冊とも置いてってもらおうか」

「まいどありー!」


1TiborSekelj著、2013年刊。

2Herge'著、2012年刊。

3TiborSekelj著、1979年刊。『ジャングルの少年』、福音館、1983年刊。

4RO誌、2015年、#111923頁。


(resumo)

Ne nur denaskaj esperanto-parolantaj infanoj, sed ankaŭ fantaziemaj

plenkreskuloj ege povasĝui kaj trezore havi du, laste aperintajn,

porinfanajn librojn,"Padma, la eta dancistino" kaj "La templo de l'suno".