4-16.大地の割れ目.(アイスランドのシンクヴェトリル国立公園)

  
 
 <解説> 

 プレートテクトニクスの理論によると、地球の表面は十数枚のプレートと呼ばれる岩盤から成っており、これらのプレートの動きが地震や大陸移動などの地殻変動の原因であるとされています。プレートはマグマからできるのですが、そのプレートの湧き出し口と沈み込みの部分があり、湧き出し口ではマグマが冷えてできた新しい岩石がプレートを押していくように移動していきます。プレートの湧き出し口は通常は海底にあり、直接見ることができないことが多いのですが、アイスランドは、大西洋中央海嶺というプレートの湧き出し口にできた火山島であるため、プレートの湧き出し口を直接見ることができます。
 大西洋中央海嶺はアイスランドの北北東から南西を通っているため、アイスランドの東側は東に移動しており、西側は西に移動しています。移動速度は年に2cm程度とされています。年に2cmというのは大したことなさそうですが、100年たてば2mも離れてしまいます。こういった活動のため、アイスランドでは大地が左右に引っ張られて正断層を作り、大地の割れめができることになります。アイスランドではこの割れ目をギャオと呼んでおり、数多くのギャオが見られます。写真のギャオはもっとも有名なシンクヴェトリル国立公園にあるアルマンナンギャオというところで、多くの人が訪れる観光地になっています。写真の左側が北米プレートで左(西)に移動しており、川を渡った右側がユーラシアプレートで右(東)に移動しています。この場所には何本ものギャオが通っており、これによって低くなった地溝帯の幅は約1kmあり、写真の中央に見える高さ数十m、幅約10mの断崖からなるギャオの中にある遊歩道を歩いて川を渡り右のプレートの上に行くことができます。
 上の写真はアルマンナンギャオの北側で、多くの文献に載っているところですが、南側のほうが人の手があまり入っておらず、パホイホイ溶岩の縄状構造やと割れ目のようすが間近に見ることができます。南側の写真はここをクリックすると出てきます。
 アイスランドの大西洋中央海嶺はアイスランドの中央部で二股に分かれており、構造的にはけっこう複雑なようですが、これのおかげでいろいろな場所でギャオが見られます。上のシンクヴェトリル国立公園以外では、アイスランド南西部にあるレイキャーネス半島でよく見られ、ブルーラグーンという有名な観光温泉地の近くにもギャオに橋を渡して2つのプレートを渡ることができる場所があります。

<地図>ここをクリックしてください。(航空写真になっています)

<交通>

  日本からのアイスランド観光ツアーにはこの場所が入っていることがほとんどで、入っていなければ、
  首都のレイキャヴィークからの1日バスツアーを利用するのがよさそうです。

<駐車スペース> 大きな駐車場あり

<参考文献> 

 (1)古儀君男(2013):地球ウォッチング 地球の成り立ち 見て歩き 新日本出版社 p.12-19
 (2)赤松陽(2010):アイスランドの自然と地質 地学教育と科学運動 64号 p.61-70
    (インターネットで入手可能)
 (3)大山正雄(2011):東京地学協会第14回海外巡検報告「アイスランド地理巡検」 地学雑誌
    120巻6号 p.1013-1025(インターネットで入手可能)
 (4)Ari Trausti Guðmundsson(2007):"Living Earth Outline of the geology of Iceland" Mál og menning
   p.79-141
    この本はアイスランドの地質全般を扱った本で、408ページから成り、カラーの写真や図も豊富です。
    購入は空港の書店や国立公園のネイチャーセンターなどでできます。価格は5200円程度です。
 (5)坂田文保(2009):北大西洋諸国ガイドブック アイスランド/グリーンランド/フェロー諸島
   (株)ヴァイキング p.70-79
    この本は日本語で書かれた数少ないアイスランド観光のガイドブックですが、書店では購入でず、
    ウェブページを通しての購入となります。
 (6)アイスランド観光文化研究所(2014):トラベル・ガイドブック アイスランド 
    フィンコーポレーション p.14-17、22-23
    この本も日本語で読める数少ないアイスランド旅行のガイドブックで、購入はウェブサイトから
    のみとなります。

<撮影日> 2014年10月24日

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