<空撮についての補足説明>

 ここでは、飛行機からの撮影の際に必要な準備や実際の方法などについて説明します。ただし、ここに書いたものは私の経験だけによるものなので、不十分なところがあるかとは思いますが、そのへんはご容赦ください。


1.どのような飛行機を使うか

 飛行機から写真を撮ること(空撮)は、たいへんおもしろいのですが、なかなか自分の思い通りになってくれません。まず下調べをしていないとうまく撮れませんし、天候に大きく左右されるため、まともな写真が撮れる率は低く(筆者は3割程度)、お金もかかります。
 飛行機を使っての撮影としては、下のようなパターンが考えられます。

  (1)定期便に乗って撮る
  (2)遊覧飛行を使う
  (3)チャーター機を使う

 私は今のところ定期便しか使っていませんが、遊覧飛行を使う計画もしています。ここでは、主に国内の定期便を使っての撮影を前提に説明をしていきます。実際の定期便からどのような写真が撮れるかについては、次の本を見るとよくわかります。この本には、写真だけでなく、地形図のどの地点から撮った写真であるかも地図付きで載っているので、写真を見て撮影地を決めたり、自分の撮った写真と見比べて撮影場所を確かめたりと、いろいろ活用でき、地形の空撮には欠かせない本です。

 桑原啓三・上野将司・向山栄(2001):「空の旅の自然学 定期便から見た風景」 古今書院 2940円

 もう一冊、空撮の下調べになくてはならない本があります。

   「フライトナビ ビジュアル」イカロス出版 イカロスMOOK(2009年) 1800円

 この本は、主要な路線に関して、どの路線に乗るとどこが見えるか、席の取り方、実際の写真、空撮を行うときのこつ、飛行機の座席図などが盛りだくさんに書いてあります。2009年度版になって内容がかなり増え、大部分がカラー印刷になりました。

 国際線については、JALの機長さんが撮影した下記の写真集があります。さすがに日本とはスケールが違います。

  杉江 弘(2003):「高度一万メートルからの地球絶景」 講談社 1995円

 ほかにも、いろいろな写真集がありますが、次のものが代表的であると思われます。

  豊高隆三(2000):空撮 日本の自然 クレオ 2940円
  ベルンハルト エドマイヤー(2005):Earthsong 地球の歌 ファイドン 7329円
  ヤン・アルテュス=ベルトラン(2009):新365日空の旅 ピエ・ブックス 3990円
 

2.空撮に適した季節と時間帯

 空撮はもちろん天気がよくないとダメですので、晴れが多く、空気の澄んだ晩秋から冬にかけてがよいようです。また、この季節は高い山には雪がかかり、大変きれいな様子が見られます。春などは、晴れていても霞がかかっていることが多く、期待を裏切られることがよくあります。もちろん、どの季節でも雲がなければよいのですが、飛行機の予約を入れる時点で晴天が予想できることが重要です。天気予報で晴れ時々曇りぐらいであれば、雲はけっこう出ている可能性がありますので、さけたほうが無難です。
 時間帯としては、太陽光線があまり斜めでもまっすぐでもない午前10時頃が最もよいようです。でも、この時間帯に飛行機に乗るのは降りたあとの行動時間が少なくなるのでもったいないかもしれません。日の長い夏は朝早くや夕方でもけっこう撮れますが、冬は16時台でもかなり暗く、太陽光が斜めに入るので陰も多くなり、撮影が難しくなります。


3.下調べの第一は航空路線図を手に入れること

 定期便に乗っての空撮をするには、まず飛行機がどこを飛ぶかを知らなければなりません。そのための最も簡単な方法は、飛行機の席のポケットに入っている機内誌を見ることです。ただし、機内誌に載っている航空路線図は概略だけで、細かいところはわかりませんので、これだけでは不十分です。もう少し細かいところまで知るには、先ほどのフライトナビ本が便利です。
 さらにもっと詳しく航路を知るには、(社)日本航空機操縦士協会が出している航空路線図を手に入れるのが一番です。この航空路線図は、50万分の1の縮尺で、北海道、東北、関東・中部、近畿、中国・四国、九州、南西諸島に分かれていて、1部2600円です。しかし、これは普通の本屋さんでは売っていませんので、航空関係の本を扱っているお店に行くのが確実です。都内でしたら、次の2店がよいでしょう。この2店とも通信販売も行っています。

 「ブックス・フジ」・・・羽田空港ビルの中央インフォメーションから京浜急行の駅に向かう途中の
             左にあります
 「のりもの倶楽部」・・・総武線の市ヶ谷駅から歩いて5分くらいのところにあります

 ただし、実際の航空路はある程度の幅がありますし、当日の天候によって大きく変わることもありますので、路線図通りに飛ばないこともよくあります。特に台風がある場合は要注意です。また、最近は航空無線通信施設沿いに飛ばないRNAVというルートの取り方をすることも増えてきました。
 なお、離発着する空港周辺の航空路は複雑で、しかもその日に使う滑走路の場所や方向によって異なり、何通りかの可能性があります。そのため、航空路線図だけでは不十分で、「フライトナビ」の本にある各空港別の離発着ルートの図を見るか、下に挙げた本を見て予想をします。飛行機は風に向かって飛行しますので、夏と冬では逆向きになることがよくあります。

  「出発進入経路マップVer.6」 イカロス出版 2,800円(2009年)
  「空港着陸コースマップVer.4」イカロス出版 2,800円(2006年)


4.航空路線図を見るときの注意点

 詳しい航空路線図を手に入れても、残念ながら実際の飛行機がどの線の上の通るかははっきりしません。それは、飛行機は最短の経路を通るとは限らないからです。注意する路線としては、次のようなものがあります。

 羽田−伊丹線・・・羽田発は名古屋付近まで富士山の北側を通って飛ぶが、伊丹発は浜名湖から太平
             洋に出てしまい、伊豆半島を横断して伊豆大島上空を経て房総半島を回って木更
             津で東京湾をわたる。羽田に向かうときのこのような航路は羽田発の関西・中国・
             四国・九州方面の路線にすべて共通。
 羽田→関西空港線・・・知多半島から串本を経由して紀伊半島をぐるっと回っていくように「フライトナビ」
               の本には書いてあり、以前乗ったときはそのとおりであったが、2003年11月に
               乗ったときは、紀伊半島を横断するように飛んでいた。
 羽田−富山線・・・羽田発は北アルプス上空を通るが、富山発は日本海沿いに新潟へ行き、茨城県を
            通って羽田に行く。
 羽田−小松線・・・羽田発は北アルプス上空を通るが、小松発は福井・名古屋を経由して太平洋側を通る。
 羽田−千歳線・・・羽田発は山形・下北半島上空と内陸部を通るが、千歳発は宮古・仙台と太平洋側を
            通る。

このあたりの実際の経由地は上に挙げた「フライトナビ」の本をご覧ください。
 これらの本を見たとしても、天候などの関係で、路線図とは異なる経路を取ることもあるようです。そのため、飛行機に乗ったら、客室乗務員さんに今日の航路を聞いてしまうのが一番手っ取り早いかと思います。それではつまらないという人は、窓から見える景色と路線図・コンパスで判断してみましょう。おそらく、水平飛行に移ったあたりで機長さんから今日の航路や天候・到着予定時刻などについてのアナウンスが入るので、そこで自分の推理が正しかったかを確かめてみてください。雲が出ていて下が見えないとコンパスだけが頼りです。一番ありがたいのは、ボーイング777などのように、機内のディスプレイに離陸した空港から現在位置までの飛行ルートを地図で示してくれるサービスです。これが他の飛行機でもやってくれるとうれしいですね。


5.撮影する場所を決める

 航空路線図を見て、実際にどの場所を撮るかを決めますが、そのときに大切なことが2つあります。ひとつめは、飛行機の真下・真ん前・真後ろは見えないということです。これは、窓が小さく、厚みがあるからですが、特に下側はかなりの広範囲で見えませんので、航空路線図の線上にあるときは、まず見えないと思ってよいでしょう。真ん前や真後ろは、空港近くでうまく旋回してくれれば見えてきますが、そうでなければまずむりです。もう一つは、路線図の右と左の両方に撮りたいものがあるとき、両方を撮ることは難しいということです。電車と違って飛行機では機内で席を離れて移動するのは急な揺れが起きたときに危険なので、なるべくさけたいものです。少なくとも離着陸時はぜったいにできません。ですから、左右両方を撮りたいときは、往復ともその路線に乗れるなら、太陽光線の射す方向を考え、逆光にならないように席を選んでください。片道だけなら、まず左右のどちらを優先するかで席を決め、逆側を撮りたければ非常口の小さな窓のところへそのときだけいくとよいでしょう。運良く席がすいていれば客室乗務員さんに断って途中で席をかわるのも可能なこともあります。

6.飛行機の座席を指定する

 空撮をするには、窓側の席を取らないとほとんど不可能になってしまいます。そのため、自分で座席を指定できない格安のパック旅行などは使えず、より値段の高い割引切符や正規運賃での購入になってしまいます。このとき、インターネットで各航空会社のサイトからの予約を使うと、座席の配置図を見て指定ができて確実です。また、「国内線.com」というサイトでは、JAL・ANAなどの予約がまとめてできますが、座席の指定は窓側か通路側かだけです。そのため、このサイトで予約するときは、予約結果で出てきた座席の番号を見てそこでよいかを判断します。座席の番号と座席の位置の関係は飛行機や航空会社によって違うので、シートマップという飛行機ごとの座席の配置図が必要になります。シートマップはさきほどの「フライトナビ」の本か、同じ出版社から出ている「航空旅行ハンドブック2009 Summer Schedule」(イカロス出版 1700円)を見てください。なお、小さい飛行機を使う路線では、事前の座席指定ができないところもあります。(前後左右の重量バランスを均等にしたいためのようです)
 座席の番号は4Aのように数字とアルファベットの組み合わせで示されており、一般的には数字が小さいほど前側になっています。ただし、ジャンボジェットはJALでは60番台〜70番台が、ANAでは70番台〜80番台が2階席になっています。JALの一部の機材はクラスJが80番台から90番台になっているものもあります。アルファベットは通常左側からA、B・・・となっていますが、一番右の窓側が何になるかは機種によって異なり、ジャンボジェットではKになっています。また、アルファベットが飛び飛びになっている機種もあります。
 席の番号で注意すべき点は、窓側であっても翼やエンジンで下があまり見えないところがあるのと、窓側でも非常口になっていて窓がないところがあることです。翼についてはシートマップに書いてあるのでわかりますが、エンジンはわかりにくいので、なるべく前側で座席の数字が一桁の場所を選択してください。前側が取れなければ、むしろ一番後ろに近い方が翼やエンジン・排気による空気の揺らぎにじゃまされず、いい写真が撮れます。「国内線.com」での予約の場合は、自分の希望でない席が出てきた場合、いったん予約を取り消し、何時間かあとにもう一度やり直すと違う席が出てくることがよくあります。
 どうしても自分の希望する席が取れなかったときは、ひとまずその席に着席し、飛行機のドアが閉められた時点でよい席が空いていたら、客室乗務員さんに理由を話して席を変えられるかどうかを相談してみてください。


7.使うカメラとフィルム

 最初に注意すべきことは、デジタルカメラだけではだめだということです。このごろはデジタルカメラが多く使われていますが、飛行機の離着陸時は計器に支障を与えるため、デジタルカメラは水平飛行のときにしか使えませんので、デジタルカメラを使うときもフィルムを使うカメラ(銀塩カメラ)も持っていかないといけません。
 空撮に使うカメラは、ズームレンズをつけた一眼レフが最も便利です。被写体がどの程度の大きさなのかを予想するのは難しく、しかも動きながらの撮影なので、レンズを交換している時間はあまりないので、24mmや28mmからの高倍率ズームレンズがよいと思います。あるいは、カメラを2台用意し、広角レンズと望遠レンズなど異なるレンズをつけておく方法もあります。広角側は山の近くを飛ぶときは35mmでは足りず、28mmでぎりぎりなので、山をねらう人には24mmをおすすめします。一番使うのは、35mmあたりと70mmあたりです。
 一眼レフのカメラではシャッター音が大きいのが欠点で、1枚や2枚ぐらいならいいのでしょうが、何十枚もバシャバシャやられると、周りの人に迷惑になります。シャッター音の小さい一眼レフもありますが、それでも気になるならコンパクトカメラなどのレンズシャッターのカメラを使うとよいでしょう。ちょっと大きくなりますが、6×4.5cmや6×7cmのフィルムを使うレンジファインダーのカメラも選択肢の一つとなります。ただ、レンジファインダーなどのカメラでは、ファインダーと撮影レンズの位置がずれているので、視差が生まれ窓枠が写ることがよくあります。
 なお、ピント合わせはオートフォーカスでないほうがよいでしょう。オートフォーカスでは窓にピントを合わせようとしてしまうことが多いので、マニュアルにします。
 レンズには太陽からのよけいな光をカットするレンズフードをつけておいた方がよいでしょう。特に朝や夕方は強烈に光が入ってきます。ただし、レンズフードが窓に当たってじゃまになることもしばしばです。
 参考までに、私が使っているカメラとレンズを挙げておきます。もちろん、実際にはこれらを全部持っていくわけではなく、被写体に応じて選びます。

  デジタルカメラ

   メイン:ボディ ニコンD300(シャッター音が大きいため、あまりバシャバシャ撮れない)
            レンズ AF−S NIKKOR 16−85mm F3.5−5.6G ED
                 (35mm換算で広角側が24mmになるので、大変便利だが、望遠側は足りない)
                 AF−S NIKKOR 70−300mm F4.5ー5.6G
                 (焦点距離の割には小さいが、暗い)
                 AF Nikkor 35mmF2D(主に夕方用)
   サブ:パナソニック Lumix DMC-TZ7 (35mm換算で25mmからの12 倍ズームで、シーンモードに
               空撮がある。
  フィルムカメラ

   メイン:ボディ  ニコンF80(一眼レフとしてはシャッター音がかなり小さく、ファインダーに格子の線を
             表示できるので便利)
        レンズ  AF NIKKOR 24〜85mmF2.8〜4D、
              AF−S NIKKOR 70−300mm F4.5ー5.6G(焦点距離の割には小さいが、
              暗い)
             
   サブ :ボディ  コニカヘキサーRF(レンジファインダーでフォーカルプレーシャッターだがシャッター
              音は小さい)
       レンズ  21/35mmF3.5〜4(二焦点レンズで、ズームの代わりになる)、
             50mmF2、90mmF2.8 (レンズはいずれもコニカ製だが、このカメラはライカの
             Mマウントレンズをつけることも可能。ライカのレンズにトリエルマー28/35/50
             mmという三焦点レンズがあり、これが買えるとよいが、30万円以上する)
 
 フィルムにはネガ用とポジ(スライド)用があります。ネガ用は印画紙に印刷するためのもので、ポジ用よりも露出のずれに対して寛容ですが、画像のきれいさではポジ用のほうが上です。フィルムの感度は昼間であればISO100の普通のフィルムで大丈夫ですが、朝早くや夕方の場合はISO400のフィルムのほうがよいでしょう。シャッタースピードが遅くなると、ブレの可能性が高くなります。


8.撮影時のポイント

 (1)準備
 空撮では、時間的余裕があまりありません。そのため、まず大切なことは機材の準備を出発前にしっかりやっておくことです。カメラやレンズのほか、交換用のフィルムもすぐに出せるようにしておくべきです。そのほか、航空路線図とコンパス、できれば20万分の1の地図があると航空路線図ではわからないような地形も読みとれて便利です。

 (2)予想
 次に、航空路線図を見て、どの場所がどのような順で見えてきそうかをあらかじめ予想しておきます。これをしておかないと、意外に早く目的の場所が見えてきてあわててしまいます。あわてて撮った写真には、どこかしらにあわてた感じが出てしまいます。もちろん、当日の航空路が予想と違った場合や、予想外にいい被写体が見えてきたりするとあわてることがありますが、そういったときは枚数をたくさん撮ろうとしないようにするとうまくいきます。

 (3)シャッターチャンス
 空撮で最も重要で難しいのが、どのタイミングでシャッターを押すかです。飛行機は動いていますのでどんどん景色は変わっていきます。特に初めて乗る路線では景色の変わり方が予想しにくいので、数多く撮っておく必要があるかもしれません。でも、ベストショットになるのはほんの数秒間だけですので、目的の景色が近づいてきたら、むしろじっくりと景色を観察して頭の中にベストショットの映像を思い浮かべて、それが実際に見えたらシャッターを切るとよいと思います。
 景色の写真は、アップばかりだと全体の様子がわからず、あとでできあがりの写真を見たときにそれらしく見えないものです。したがって、まずは広角レンズで全体を撮っておき、それから段階的にアップしたものを撮るとよいでしょう。特にどこの場所かわからないときは、周りの地形が入っていないと場所の特定が大変難しくなります。

 (4)プレを防ぐ
 飛行機では、どうしても揺れがあります。ちょうど撮りたいところで揺れが始まるときがありますが、そのようなときは、座席から腰を浮かし、膝をバネのようにして揺れを防ぐようにすると効果的です。もちろんシャッタースピードはできるだけ速くしますが、それでもだめならアップをあきらめて広角側で撮影をします。ブレがあるアップの写真よりもブレのないロングショットの写真のほうが価値は高いのです。また、揺れがなくても飛行機の機体が斜めになっているときが結構あるので、その際にはカメラを水平線にあわせて画像が斜めにならないように注意してください。
 なお、写真を撮りおわったら、できるだけ早く地図にその位置を鉛筆などで書き込んでおきましょう。


9.画像補正について

 空撮の写真は、たいてい空気中の微粒子による散乱のために、青っぽくなってしまいます。特にカメラを水平に近い状態に向けたときにこの傾向が大きくなり、真下に近い状態では少なくなります。この現象はある程度はしかたがありませんが、引き延ばしの際やフィルムスキャナーでのデジタル化をしたとき、デジタルカメラで撮影したときにはある程度補正が可能です。ただし、あまり補正をしすぎるとほかの色がおかしくなるので、やりすぎないようにしたいものです。
 また、望遠レンズを使っての撮影では、どうしても霞がかかったような写真になりがちで、シャープさに欠けます。これも補正が可能ですが、こちらの補正はかなり人工的な写真になりやすいので、あきらめた方がよいでしょう。
 もし、写した写真が水平線に対して斜めになっていたら、水平になるように補正しておくとよいでしょう。デジタルカメラ用の現像ソフトには傾きを簡単になおしてくれる機能を持っていますが、この機能を使うと、画面の上下左右の一部が欠けてしまうことがあります。


10.撮った場所を探すには

 空撮でときどき困るのが、たまたまいい写真が撮れたのだが、場所がどこかわからないということです。この場合、まず飛行ルートを思い出し、どこに近いかを探します。あとは、できた写真(できるだけ周辺部の地形が写っているものがよい)と地図を見比べて、特徴ある山・川・湖・海岸線・高圧線などをたよりに探していきます。このとき、山の形はどの方向から見るかによってだいぶ形の印象が違いますし、斜めから撮った写真と真上から見ている地図ではかなり見え方が違います。そこで、もし地図だけでうまく見つからない場合は、コンピュータの助けを借ります。コンピュータのソフトに「カシミール」というものがあり、これは地図のデータを読み込んで、立体的に地形を表示してくれるものです。見る場所の位置と方角、高度、角度等を自由に変えて、あたかも空撮をやったように映像を作り、代表的な山には名前も表示してくれます。最初はなかなかうまくいきませんが、位置を少しずつ変えながらやっていくと、見事に一致する場所が出てきますので、感動的です。このソフトは、インターネットからダウンロードもできますが、書籍の形でも販売されており、そのCD-ROMには全国の二十万分の一の地図と一部地域の五万分の一の地図データが入っているので、これだけでも十分買う価値があります。2004年に出た実例集や2007年の「GPSから山登り」はDVDが付属しており、これには一部地域の二万五千分の一の地形図が入っています。

    杉本智彦(2002):カシミール3D 入門           実業之日本社 1995円
    杉本智彦(2002):カシミール3D GPS応用編       実業之日本社 2415円
    杉本智彦(2003):カシミール3D パーフェクトマスター  実業之日本社 2730円
    杉本智彦(2004):すぐできるカシミール3D図解実例集1 初級編 実業之日本社 2520円
    杉本智彦(2005):山あるきを楽しむカシミール3D活用術 実業之日本社 1575円
    松本典久、杉本智彦他(2006):カシミール3Dで見る・自分で描く・空から眺める鉄道ルート
     実業之日本社 1890円
    杉本智彦他(2007):カシミール3D GPSで山登り 実業之日本社 2100円

 一番探しにくいパターンは、飛行途中ずっと雲が出ていて、ある場所だけ雲が切れていてその場所で写真を撮ったときです。飛行ルートも路線図通りにきているかわからないと、大変苦労します。そういうときは、出発からの時間がわかると大きなヒントになります。ジェット機ですと、水平飛行時は時速800〜900km程度のスピードですので、その値にその地点までにかかった時間をかけてやれば、出発点からのだいたいの距離がわかり、場所が絞られてきます。


11.今まで乗った中でのお勧めコース

 ・羽田→新千歳(席は左側がよい)
 ・羽田→富山(席はどちら側も見所いっぱい)
 ・羽田→奄美大島(席は右側がよい)
 ・信州まつもと→新千歳(席はどちら側も見所いっぱい)
 ・伊丹→仙台(席は左側がよい)
 ・那覇→福岡(席は右側がよい)
 

 参考までに、羽田−沖縄(那覇)便は、伊豆大島から沖永良部島までずっと海しか見えません。


12.遊覧飛行を利用する

 遊覧飛行はヘリコプターを使用するところを含めると、結構たくさんの会社でやっており、いろいろなコースが設定されています。インターネットなどで調べた限りでは、次の飛行場でやっています。
  北海道・・・丘珠空港、女満別空港、弟子屈飛行場
  東北・・・・・仙台空港
  関東・・・・・東京へリポート、筑波ヘリポート、ホンダエアポート(埼玉)、阿見飛行場(茨城)
  中部・・・・・名古屋空港
  北陸・・・・・新潟空港、福井空港
  近畿・・・・・八尾空港(大阪府)、南紀白浜空港
  中国・・・・・笠岡農道空港(岡山県)、広島西飛行場、山口宇部空港
  四国・・・・・高松空港
  九州・・・・・福岡空港、北九州空港、阿蘇山、熊本空港、佐賀空港、長崎空港、枕崎空港
  沖縄・・・・・那覇空港

 このほか、季節限定でいろいろな観光地でのヘリコプターによる遊覧飛行がだいぶ増えてきました。遊覧飛行は、定期便が通らないところを通ってくれたり、自分の希望するコースにいってもらったりでき、飛行高度も低いので鮮明な画像が得やすいなどの長所がありますが、値段は高く、2人以上でないとだめだったりするところもあるので、条件をよく見て検討するとよいでしょう。例として、女満別空港から美幌峠・摩周湖・屈斜路湖を巡るコースで35分16,000円です。
 なお、遊覧飛行はあまり宣伝をしていないので、それぞれの空港に行ったとき、案内所でそういったものがあるかを聞いてみるとよいでしょう。新潟空港と那覇空港ではパンフレットが置いてありました。


12. 空撮の市販DVD

 空撮の写真集やビデオ・DVDがいろいろ出ています。ここでは代表的なDVDを挙げておきます。

(1)日本 空からの縦断(ポニーキャニオンより発売)
    Part.1〜主に太平洋岸飛行ルート                   PCBE-50260 2000年
    Part.2〜日本海岸及び太平洋日本海横断ルート          PCBP-50298 2000年
    Part.3(1)〜雲と潮の道(南西諸島)                   PCBP-50319 2000年
     〃 (2)〜火の道(九州)                         PCBP-50320 2000年
     〃 (3)〜古代史の道 九州北部・中国・近畿            PCBP-50342 2000年
     〃 (4)〜風の道 中部地方西部                   PCBP-50343 2001年
     〃 (5)〜地の道 I 中央構造線 九州・四国・近畿・中部     PCBP-50369 2001年
     〃 (6)〜地の道 II 中央構造線 中部地方中部          PCBP-50370 2001年
     〃 (7)〜雪と樹林の東北地方                     PCBP-50386 2001年
     〃 (8)〜火山と湖の北海道                      PCBP-50387 2001年
      (Part3の(1)〜(8)の表示は本当は丸数字です)
       価格はPart1と2が各5,800円、Part3は各4,800円

  このシリーズはPart1,2と3の(1),(2),(5),(6),(8)を持っていますが、全体的にあまりできが良くありません。 特にPart1と2は地学的な知識があまりない人が撮影しているようで、撮ってほしいところがうまく入ってないため、見ているといらいらしてきまし、解説も的確ではありません。しかし、これを見て撮影場所を決めたり、場所がわからなかった写真の場所 を特定できたりして便利ではあります。 

A空から見た日本アルプス(山と渓谷社より発売)
    第1巻 〜北アルプス(1)剱岳・立山・白馬岳             YD1-8  2001年
    第2巻 〜北アルプス(2)上高地・槍ヶ岳・穂高岳           YD1-9  2001年
    第3巻 〜中央アルプス・八ヶ岳・木曽駒ヶ岳・赤岳          YD1-10 2001年
    第4巻 〜南アルプス 北岳・赤石岳・甲斐駒ヶ岳           YD1-11 2001年
      (第1巻と2巻の(1)(2)の表示は本当は丸数字です)
       価格は各3,800円です。

    このシリーズは残念ながら中を見たことがありませんので、いいかどうかわかりません。

B3Dスカイトレック(山と渓谷社より発売)
    槍・穂高・上高地を飛ぶ                           2003年
    剱・立山・鹿島槍を飛ぶ                           2004年
    白馬・黒部を飛ぶ                               2004年

  このシリーズは、DVDではなく、書籍扱いのCD−ROMですが、いっしょに載せておきます。これは空撮映像をデジタル化し、それをコンピュータで操作してあたかもヘリコプターを操縦しているような感じで3次元画像を自由に楽しむことができるCD−ROMで、山の名前や地名、登山ルートなども出てきます。ただし、画像は多少デジタル臭さが残っています。価格は3360円です。

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