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富士登山の心得

登山用歩行法

 意識的にペースを落としてゆっくり歩きましょう。ちょっとでもペースが速くなると薄い酸素のせいで心臓が猛烈にドキドキし始めます。それで結局、苦しくなって頻繁に休みをとってしまい、かえって時間がかかります。歩幅を小さく、あまり足を持ち上げずに、だらだらとゆっくり登ります。

 また、1歩あたりに稼ぐ高度をできるだけ少なくするように登る工夫をすると疲れにくいです。例えば折り返し部分では、カーブの内側(最短距離)を登ろうとせずに、出来るだけ大回りするのです。すると確かに歩行数は増えますが、緩やかな坂を登ることになるので疲労が少なくて済みます。

 登山のペースについてですが、これはもちろん個人差が激しいです。高所まで登って苦しくなってきた時は、例えば「歩幅30センチ、毎秒1歩」で歩いてみます。これで大丈夫ならばもっと速く歩けばいいわけですが、逆にそれでも苦しいようであれば2秒に1歩、あるいは3秒に1歩にするとか、歩幅を小さくするなどして、数分間は継続して歩けるようなペースに調整すると良いと思います。もちろん富士登山ですからある程度は苦しいのですが、それでもオーバーペースで歩いてすぐに立ち止まってしまうよりは、ゆっくりでいいですから継続的なペースを維持するようにした方が良いと思います。

登山用呼吸法

湖池屋スコーン
 高所では呼吸は速く浅くなりがちです。意識的に深呼吸をしてください。ゆっくり息を吐き出します。自然に空気を吐ききった段階から、さらに口をとがらせて、おなかを凹ますようにして「ふ~、ふ~」と空気を吹き出します。すると、あ~ら不思議。吐き出した分、今度は大量の空気が入ってきます。

 他にも「風船をふくらませる」「ろうそくを消すように強く吹く」などいろいろなやり方がありますが、基本は「お腹に力を入れて加圧しながらの腹式呼吸」です。

 空気が薄くなると人間の身体も風船みたいに多少膨らみます。その分ベルトがきつくなって腹式呼吸を妨げますので、時々、ズボンやリュックのベルトを緩めましょう。(右の写真みたいに極端に膨らむわけではありませんが)

 酸素ボンベ(酸素缶)は、多少は気休めにはなると思います(よく効いたという人もいます)。なお、この酸素缶の吸入部分は鼻と口に密着させて急激に吸い込むと、外気が入ってこないので酸素不足になり、逆に気分が悪くなることがあります。

高山病対策

 3000mを越える高所のため、登山中に、頭痛、寒気がしたり、気持ちが悪くなってしまう場合があります。私の経験では、睡眠不足、体調不良、あるいは、オーバーペースで登った時にそういう不快感を感じやすいようです。対策としては、まず五合目でしばらく時間をかけて高所順応をして、ゆっくり登る。水分はこまめに摂る、積極的な酸素摂取を心がける、などがあげられます。それでも体調が悪くなったら、速やかに下山することが肝心です。どんなに注意しても体質的に高山病になりやすい人もいるようです。詳細は、高山病についてのページを参照してください。

注意点いろいろ

落石に注意を

 富士登山における危険のひとつとして落石事故があります。とにかく、自分が原因で落石事故を発生させることだけは避けたいものです。絶対に登山道以外に立ち入らないでください。ときどき、休憩をするために、登山道を外れている人がいますが、そういう行為は絶対に慎みましょう。また、上方にも注意して、休憩する場合にも落石の被害を受けにくそうな場所を選ぶようにしましょう。

 近年は特に登山道が混みます。健脚な人は渋滞で先へ進めないのに苛立ち、つい登山道を外れて登りたくなりますが絶対にダメです。近くに登山ガイドがいたら、それはもう、めちゃくちゃに怒鳴られます。気まずい思いをしないためにも、そしてなにより落石を誘発しないためにも、渋滞にも「忍」の一字で堪え忍んで下さい。それが嫌な人は渋滞する時間帯を避けることです。

暑さと日差しに細心の注意を

 富士山は標高が高いとはいえ、下山するにつれて晴天時にはかなり暑くなります。日陰が少ないので、日よけの帽子、水を必ず用意して日射病や脱水症状にならないように注意してください。日焼けしたくないからと、全身を衣服で被っていると体温が上がりすぎて熱中症にかかる危険があります。シャツのボタンを外すなどして空気の循環を促して熱がこもらないようにして下さい。

雷と強風に注意を

 8月になると富士山では雷が発生しやすくなります。特に午後から夕方にかけて多く発生します。雷鳴が聞こえ出したら、早めに山小屋へ避難してください。山頂がもう少しでも引き返す勇気が必要です。また、強風の場合も危険です。特にお鉢巡りは風に吹き飛ばされて崖から転落する危険性があるので止めるべきです。
 悪天候時に必ず山小屋が避難のために室内へ入れてくれる、とは言い切れません。混雑時、宿泊者だけで満杯の場合などは入れてくれないことがあります。

ゴミは持ち帰りましょう

 富士山のゴミ問題は世界的に有名なほどひどいです。自分が持ち込んだゴミは必ず持ち帰るようにしましょう。持参したゴミは山小屋ではひきとってくれません(下ろすのに多額の人件費とブルドーザー代がかかるから。うかつに持参したゴミを山小屋のゴミ箱に捨てようとすると怒られることがあります)。善意でゴミ集めをした場合も、山小屋に託さずに下界まで自分で持ち帰って下さい。喫煙者の方は携帯灰皿をぜひ持参してください。

下山がつらい

 登りよりも下山の方が足に負担がかかるため、気をつけないと関節やつま先が痛くなって、とてもつらいことになります。ステッキなどを使って、膝に衝撃がかからないようにして下りるのが良いです。この下山のつらさに驚く方が多いです。中には登山より下山の方がつらかったという方もいます。


 マイカーで富士山に来て夜間登山をすると、疲労と睡眠不足で、帰宅時に居眠り運転をしてしまう危険性が大です。運転手さんは車中で仮眠するなどして、十分に体力を回復してから運転するようにしてください。

登山中の事故

 残念ながら、全く危険がないわけではありません。落石事故、転落事故、心不全、日射病などでおなくなりになる方がいます。警察のHPなどにそういった情報が掲載されていますので、ご紹介しておきます。

 静岡県警察登山情報 富士登山情報が多いので必読です。

 山梨県警察山岳情報 吉田ルートの管轄は山梨県富士吉田警察署

自分のペースで登りましょう

 心不全、脳卒中などで倒れる方が増えています。

 富士登山はゆっくり自分のペースで登るのが大切です。しかし、初心者ばかりのグループで登ると、元気な人がついつい速く歩いてしまい、他の人もそれにつられてしまいます。特に吉田ルート(河口湖口)から登ると最初に平坦な道や緩い下り坂が続くので、初めての富士登山ということで気持ちが浮かれているせいもあって、多くの人がオーバーペースになっています。しかしいくら下りでもそこは標高2300mの世界。慎重に歩くべきなのです。プロの富士登山ガイドはその部分をかなりゆっくり歩きます。

吉田ルート五合目から泉が滝へ至る下り部分。意識的にゆっくり歩くのが大切。

 速く歩いた結果、仲間が高山病などで倒れることになる可能性があります。グループ登山のリーダー格の人は、この点に十分注意して下さい。登山能力の個人差はものすごくあります。けっして「がんばれ」と急かしてはいけません。富士山では空気の薄さのせいで、がんばれないのです。また、仲間がどんどん先に歩いていっても、絶対に無理して追いつこうとしないで下さい。自分のペースは守って下さい。自分の生命を守るためです。そんな時に「早く来い、がんばれ」と言うような「非常識な」仲間は無視して下さい。

(夏期の富士登山での致命的な遭難事例)
2008年:体調不良3名(40才代~50才代)、落雷1名
2009年:落石1名、凍死2名、体調不良2名(40才代、60才代)
2010年:3名(40才代2名、70才代)
2011年:2名(40才代、70才代)
2012年:1名
★2007年まではしばらく夏山での致命的な事故は少なかったのですが、近年は急に増えました。


■4コママンガ
ショーちゃんの富士登山
親子登山の様子を描いた4コママンガです。富士登山の雰囲気が分かります。ぜひ、ご覧になって下さい。

■ルート別解説
富士宮ルート
須走ルート
御殿場ルート
吉田ルート

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