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刑法

最終更新日:2007年12月23日

刑法

第2章 刑

第7条(刑の種類)

死刑、懲役、禁錮、罰金、拘留及び科料を主刑とし、没収を付加刑とする。

【違憲の疑い】死刑は「残虐な刑罰」にあたるので違憲の可能性がある。  憲法第36条

第7章 犯罪の不成立及び刑の減免

第39条(心神喪失及び心神耗弱)

心神喪失者の行為は、罰しない。
2 心神耗弱者の行為は、その罪を軽減する。

心神喪失者は責任能力がないので、罪を犯しても罰しないという法律である。心神喪失者の定義、認定などさまざまな問題を抱えながら議論がタブー視されてきた感がある。

【定義】心神喪失者とは「精神の障害によって、識別力を欠いた者」、心神耗弱とは「心神喪失よりは軽いが、精神が衰弱して識別力の乏しい者」と広辞苑で説明されているが、刑法では定義がない。専門家の「鑑定」も推定にすぎず、再現性のある科学的なものではない。

【責任能力】 判例上責任能力とは、「精神が健全であった、是非善悪を弁別し、その弁別に従って行為する能力」であると解釈される。理性や自由意思をもたない犯罪者には、刑事責任をおわせないということらしい。
人を殺すときに、「人を殺すと刑事罰を受ける。殺さない選択もあるが、あえて殺す」と理性的に考える犯人のみを罰し、そうでないものは責任の能力がないとされるのである。

【正常な犯罪者】犯罪者に理性が求められているので、動機が理解しがたいような異常な行為は、不起訴になったり罪が軽減されたり無罪になったりすることがある。覚醒剤を打って人を殺したり、取り調べや裁判で意味不明のことを口走ったりすると、かえって罪が軽くなったり無罪になったりする可能性がある。 「了解不能」は心神喪失で無罪、「多少とも了解可能」は心神耗弱で刑を軽減、「了解可能」は正常な犯罪者で有罪ということらしい。

第12章 住居を侵す罪

第130条 (住居侵入等)

正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、3年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。

住居とは「人の起臥飲食に使用される場所」とされる。ホームレスの段ボールハウスも「住居」か、マンションの居室以外のスペースは「住居」か、などの問題が生じる。

集合住宅の新聞受けへのビラ配布(ポスティング)は日常的に行われているが、何とこの行為が「住居侵入」に問われ、逮捕から起訴に至ることもあるのは驚くべきことである。  立川反戦ビラ入れ事件、葛飾マンションビラ配布弾圧事件(2004年)

第22章 わいせつ、姦淫及び重婚の罪

この章の法律は、犯罪行為の定義があいまいだったり、何のためにどんな利益を保護するために存在しているのか不明確だったりする。暴力による強姦などを犯罪として処罰すべきなのは言うまでもないが、廃止した方がいいような条文もある。高度にプライベートな行為である恋愛や性行為を無理に法律で規制・抑制しようという立法意思が見えかくれし、不自然さが生じているようだ。

第174条 (公然わいせつ)

公然とわいせつな行為をした者は、6月以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。

【公然】「公然と」とは「不特定かつ多数」を対象にすることである(「不特定または多数」という説もあるようだ)。銀座でストリーキングをするのはこの罪に該当するが、めったに人の来ない山奥で裸で水浴びしていたとしても「不特定少数」が相手なのでこの罪に問われない。 また会員制のヌーディスト・クラブのようなものを作って「特定多数」を相手にした場合も罪に問わることはない。ただし、特に審査もなく事実上誰でも会員になれるような場合は「不特定」とみなされる。

【被害者なき犯罪】ストリップ・ショーの場合も、入場料を払えば誰でもはいれるので「公然と」に該当し、一条さゆりの例(1972年)など社会的に話題になる事例もある。しかし、このような場合には被害者が見当たらない。金を払ってまで見たい人が、「見せすぎで不愉快だ」と文句を言うはずはないだろう。

家族やごく親しい友人に限定した「特定少数」の場合はもちろん該当しないし、そうでないと大多数の国民が犯罪者になってしまう。「多数」とは何人以上なのか分からないが、3人相手のストリップは良いけど、50人集めるとどうもだめなようだ。

第175条 (わいせつ物領付等)

わいせつな文書、図画その他の物を頒布し、販売し、又は公然と陳列した者は、2年以下の懲役又は250万円以下の罰金若しくは科料に処する。販売の目的でこれらの物を所持した者も、同様とする。

【違憲の疑い】 この条文は憲法21条(表現の自由)に違反していると考えられる。「犯罪の被害者」も見当たらない。この条文を廃止すると何か不都合があるのだろうか。

【意味不明】「わいせつ」とは「徒に性欲を興奮又は刺激せしめ、かつ、普通人の正常な性的羞恥心を害し、善良な性的道義観念に反するの」とされているようだが、何回読んでも何をいっているのかよくわからない。状況によっては、男性にとっては女性が、女性にとっては男性が「性欲を興奮又は刺激せしめ」る存在であるわけなのだが、ごく普通の人間の存在またはその行動がわいせつということになる。「普通人の正常な性的羞恥心」「善良な性的道義観念」というのも理解しがたい。普通と異常の違いを具体例をあげて説明して欲しいものだ。

【本物より表現物の方が問題】 身体の一部や行為を見たくもない人に見せるのは第174条違反となる。こちらはそれらの表現物に関する罪なのだが、はるかに量刑が重くなっているのである。ずばり本物を見せるより、写真や本にして見せる方が罰が重いということなのだ。

【計画すると】 わいせつ画を自分で楽しむために所有するのは一向に構わないしそのような人は無数にいる。しかし「ネットで販売しよう」などと考えた瞬間に犯罪になる。もっとも、起訴して有罪にするためにはその意思を証拠で示すことが必要であるが。

第176条(強制わいせつ)

13歳以上の男女に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、6月以上7年以下の懲役に処する。13歳未満の男女に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。

「暴行又は脅迫を用い」た場合に犯罪になるのは当然であるが、13歳未満の場合は本人の自由意思による性行為でも犯罪になるのである。13歳から18歳までに関しては刑法の規定はないが、各都道府県のいわゆる「淫行条例」で処罰される。16歳になると女性は結婚できるのに、自由意思での性行為が禁止されているのである。条例によっては「結婚の意思」があれば適用されないものもある。そもそも個人の生活に法律がはいりこむことに無理があるのではないか。

第177条(強姦)

暴行又は脅迫を用いて13歳以上の女子を姦淫した者は、強姦の罪とし、2年以上の有期懲役に処する。13歳未満の女子を姦淫した者も、同様とする。

姦淫が暴行または脅迫という手段を用いてなされたときに成立するとされる。姦淫とは性交のことで、「女性性器へ男性性器を挿入すること」と解釈され、その直前でやめると強姦は未遂で強制わいせつになり大幅に刑が軽減される、という馬鹿げた判決がまかり通っている。

行為者は男性に限られるが、女性の共同正犯はありえる。被害者は女子に限られるが少年を凌辱した時などへの適用も考えるべきだろう。

最高裁は、暴行・脅迫を「相手方の抵抗を著しく困難にする程度」と解していて、必死に抵抗しない場合には犯罪でないと判断しているが、これは被害者に対する配慮を欠いたもので改めるべきであろう。

なお、13歳未満の女子の場合はたとえ本人の合意があっても強姦罪になる。

第182条(淫行勧誘)

営利の目的で、淫行の常習のない女子を勧誘して姦淫させた者は、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する。

「淫行の常習のある女子」には適用されないのだが、どういう人のことをいうのだろうか? 「淫行」とは広辞苑では「みだらなおこない」とあるが、通常の性行為と解釈されているようなので多くの人が該当しそうである。「淫行の常習のない女子を勧誘して姦淫させ」るとは具体的にどういう行為なのか、考えれば考えるほどわからなくなる。売春が合法的だった時代の名残といえよう。

第184条(重婚)

配偶者のある者が重ねて婚姻をしたときは、2年以下の懲役に処する。 その相手方となって婚姻をした者も、同様とする。

婚姻とは内縁関係や愛人関係ではなく法律上の結婚を意味している。離婚していないのに役所が重ねて婚姻届を受理することはないので、この犯罪が成立することはまず考えられない。必要のない条文である。

第23章 賭博及び富くじに関する罪

第185条(賭博)

賭博をした者は、50万円以下の罰金又は科料に処する。ただし、一時の娯楽に供する物を賭けたにとどまるときは、この限りでない。

賭博(ギャンブル)は犯罪なのであるが、国が法律に基づいて行うのは許されるというのは変な話しである。暴力団の資金源にはさせないが、国や自治体が独占的に稼ぐのはかまわないというのだ。ギャンブルを社会悪とみなすのであれば国も手をそめるベきではない。

【パチンコ】パチンコをこの法律によって取り締らないで、逆に警察が一定の保護を与えているようにみえるのはいかがなものか。1960年代ごろは玉を1個ずつ手ではじいて景品もチョコレートなどささやかなものだったので許容範囲だったかも知れない。しかし今は電動式で「フィーバー」など偶然による大当たりがあり、なかば公然と換金できるし、一度に10万円も負けることもあって、依存症が社会的な問題になっている。賭博に該当しないというのは理解できない。

第187条(富くじ発売等)

 富くじを発売した者は、2年以下の懲役又は150万円以下の罰金に処する。
2 富くじ発売の取次ぎをした者は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。
3 前2項に規定するもののほか、富くじを授受した者は、20万円以下の罰金又は科料に処する。

これも国や自治体が法律によって「宝くじ」の発売に関わっている。

第24章 礼拝所及び墳墓に関する罪

第188条(礼拝所不敬及び説教等妨害)

神祠、仏堂、墓所その他の礼拝所に対し、公然と不敬な行為をした者は、6月以下の懲役若しくは禁錮又は10万円以下の罰金に処する。
2 説教、礼拝又は葬式を妨害した者は、1年以下の懲役若しくは禁錮又は10万円以下の罰金に処する。

仏教やキリスト教に限らずすべての宗教を対象にしているので、A真理教の修行道場に敬意を表さない行為をすると第1項に違反となるし、信者が駅前で教祖の教えを説いているのをじゃますると第2項に違反する。懲役刑になるかも知れない。

第26章 殺人の罪

第199条(殺人)

人を殺した者は、死刑又は無期若しくは3年以上の懲役に処する。

素人にはちょっとわかりにく文章であるが、「又は」と「若しくは」をきちんと使い分けていて、「死刑」又は「無期若しくは3年以上の懲役」ということである。 売春防止法では「売春をしてはならない」と規定しているのに、刑法では「人を殺してはならない」とは述べておらず単に罰を定めているだけなのである。法律とはそういうものなのか。

「人」の定義に関しては、誕生のどの瞬間から「人」とみなすか、何をもって死とみなすか(脳死など)という法律上の議論もある。

死刑執行は殺人ではあるが、法律によって行う行為なので罪にならない。もっとも死刑そのものが憲法違反ではないかという議論はある。

軽犯罪法

第1条

左の各号の一に該当する者は、これを拘留又は科料に処する。(以下一部を抜粋)
4.生計の途がないのに、働く能力がありながら職業に就く意思を有せず、且つ、一定の住居を持たない者で諸方をうろついたもの

ホームレスでも、公園の段ボールハウスに住んでいれば「一定の住居」を持つことになるので、この罪には該当しない。家出してぶらぶらしているとこの罪に問われるかもしれない。

20.公衆の目に触れるような場所で公衆にけん悪の情を催させるような仕方でしり、ももその他身体の一部をみだりに露出した者

「しり」を出した某野球選手を映したテレビ番組や、「もも」を出すミニスカートは軽犯罪法違反か? 公衆が「けん悪の情を催さ」なければ問題ないのであるが、どうやって判断するのであろうか。
また「その他」とは具体的にどこを指すのかも気にかかる。性器を露出した場合はこの法律ではなく刑法の公然わいせつ罪を適用される。

22.こじきをし、又はこじきをさせた者

「こじきは三日やるとやめられない」と言われるが、この法律は抑止効果があるのか? 「軽犯罪法に違反するからこじきをやめよう」と思う人はまずいないだろう。 取り締りのための法律なのだろうが、「こじき一斉摘発」という話しもあまりきかない。

「こじきをさせた者」とはどういう人なのかもちょっと想像できない。

売春防止法

第2条(定義)

この法律で「売春」とは、対償を受け、又は受ける約束で、不特定の相手方と性交することをいう。

ごもっともではあるが、法律でここまであからさまに規定しなければいけないものなのだろうか。なお強姦罪(刑法177条)では性交のことを「姦淫」と表現している。 この条文そのものがわいせつな表現だと感じる人がいたとしても、法律自身が「わいせつ文書」とみなされることはない。そうでないと「官報」や「六法全書」が「わいせつ文書」となってしまう。

愛人の場合のように、たとえ対償を受けたとしても「特定の相手」と性交するのは「売春」にはならない。「一目惚れですぐに婚約・婚前交渉」ということもありうるので特定か不特定かの区別が難しい場合も想定される。売春の疑いをかけられても双方が「結婚するつもりだ」と言えば一応「特定の相手(婚約者)」だということが推定されるので、起訴する側がそうでないという証拠を示さなければならない。

第3条(売春の禁止)

何人も、売春をし、又はその相手方となつてはならない。

勧誘、周旋、場所の提供などは罰せられるが、かんじんの「本人」と「相手方」には罰則がなく単なる道徳規範になっている。両者合意の上であれば「被害者」がみあたらない犯罪でもある。反社会的行為ということなのであろう。売春「禁止」法ではない売春「防止」法の中途半端なところであり、これを補う形で「買春」を取り締まる条例が各地で作られており、特に未成年が相手の場合は厳しい傾向にある。

児童福祉法

第34条

何人も、次に掲げる行為をしてはならない。(略)
6.児童に淫行をさせる行為

「児童」といえば小学生を連想するが、この法律では第4条で「満18歳に満たない者」と定義されている。暴力を伴わない自由意思による「淫行」も対象となるので、そのまま解釈すると「18歳未満の者は恋愛行為をするな」ということになってしまう。

全国のほとんどの都道府県で制定されている「青少年保護育成条例」(他の名称もある)中における 通称「淫行条例」も同様の問題がある。  最高裁判決  刑法182条(淫行勧誘)

決闘罪ニ関スル件

第1条

決闘ヲ挑ミタル者又ハ其挑ニ応ジタル者ハ6月以上2年以下ノ重禁錮ニ処シ10円以上100円以下ノ罰金ヲ附加ス

何と1889年の法律が今でも生きているのである。江戸時代の名残りの「敵討ち」などを想定したのであろう。立ち会ったりする行為も禁じている。

今どき決闘などあるのかと思うが、暴走族の取り締まりなどに活用されているのである。  決闘容疑で中学生ら逮捕(2005年)

酒に酔って公衆に迷惑をかける行為の防止等に関する法律

第2条(節度ある飲酒)

すべて国民は、飲酒を強要する等の悪習を排除し、飲酒について節度を保つように努めなければならない。

「俺の酒が飲めないのか」とすごむのは法律に違反しているのである。 飲み過ぎて二日酔いになるのは自業自得だし、身内で多少はめをはずしても近隣に迷惑をかけなければいいと思うのだが、国はそういう習慣を改めなさいと言っているのである。