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別所〔べっしょ〕温泉

最終更新日:2010年11月27日

概要

特徴

信州で最も古い歴史をもつ温泉の一つ。湯治に訪れる別荘地があったことから別所の名がついたとされる。はいると肌が滑らかになることから「美人の湯」とも呼ばれる。

環境

千曲川に沿って広がる上田盆地の南西、夫神岳山麓の塩田平の奥に位置する標高650mの地。松茸と薬用人参の特産地としても知られる。塩田平は「信州の鎌倉」と言われ国宝・重文の多数の寺社仏閣がある。

由来・歴史

大和武尊〔やまとたけるのみこと〕が発見したともいわれ、古代からひろく知られていた。 清少納言の『枕の草紙』の一節「湯はななくりの湯、有馬の湯、玉造の湯」の「ななくり」が別所温泉に当たるとの説もある。 まず北向観音様がまつられ、長楽・安楽・常楽の三ヶ寺ができた。鎌倉時代には北条義政がこの地を治めたことから鎌倉の文化が広がり、仏教・学問の中心地ともなった。 中世には、木曾義仲・塩田北条氏・真田氏などの豪族たちが入浴し、東信濃一帯の庶民たちからも愛用された。 江戸時代に上田藩主が入湯したという「温泉屋敷」が現存していることが最近確認された。

温泉の所有権は国に移管され、村が借料を払い運営されていたが、1956年に塩田町となり財産区を設定し管理運営は財産区議会に移り、1970年に上田市に合併して別所温泉財産区となった。

温泉街

夫神岳から流れる愛染川とそのほとりの高台に立つ北向観音を囲むように温泉街が広がり、宿が建ち並び共同浴場が点在している。

外湯(共同浴場)

大湯(葵の湯)

大湯

木曽義仲が御湯屋を新築して愛妾「葵の前」と入浴し「葵の湯」と呼ばれていたと伝えられる。北条義政が信濃の守護職としてこの地に居を構え、「北条の湯」と呼ばれていたこともある。後に、大炊御門大納言が愛用し「大湯」と呼ばれるようになった。 吉川英治の『新平家物語』にも登場する。

唐破風の建物。入口手前には「葵の湯」と刻まれた石柱がたっている。
[写真](2010年11月撮影)

風呂

湯船はタイル張りで、4号源泉を使用している。カランが数ヶ所ある。 小さな露天風呂もある。

[2010年11月入浴]

大師湯

大師湯

825年、比叡山延暦寺の座主・円仁慈覚大師が北向観音建立のため訪れた際、好んで入浴したということで名付けられた。北向山に参詣した籠の者が利用したので「籠の湯」ともいわれた。昔、矢傷を負った堆子が湯あみして傷をいやしたので「雑子湯」と呼んだこともある。
[写真](2010年11月撮影)

風呂

こぢんまりとした浴室にはタイル貼りの半円形の湯船があり、5人ぐらいはいれる。 源泉かけ流しで、第3号源泉が使われているが、第4号源泉の湯を混ぜることもある。

[2010年11月入浴]

石湯

石湯

かつて、野飼いの牛が傷ついた脚をこの湯でいやしたので「牛湯」と呼ばれていた。戦国時代、真田一族が傷をいやしたことで知られ、「真田幸村の隠し湯」と伝わり、池波正太郎の『真田太平記』にも登場する。

共同浴場の中では建物が一番新しい。前にたつ「真田幸村公隠しの湯」の標石は、池波正太郎の筆による。
[写真](2010年11月撮影)

【所在地】温泉街の奥にある。

風呂

天然の岩の間から湧きだし岩間をそのまま浴槽にしている。

[2010年11月入浴]

立ち寄り湯

相染閣

上田市直営の社会福祉センターの温泉施設。閉館後に共同浴場として開放されている。

足湯

ななくり

岳の幟500周年記念イベントの一環として、2004年に作られた。 地名の七久里と今の苦しみが離れる意を兼ねて名付けられた。 安楽寺の八角三重塔をモチーフにした総ヒノキ造りで、8人が腰掛けられる。
【所在地】湯かけ地蔵ミニパーク内

飲泉所

石湯と大湯の前にもある。

慈覚大師之湯

慈覚大師之湯

北向観音の参道にある。
[写真](2010年11月撮影)

慈悲の湯

慈悲の湯

北向観音の手水が温泉になっている。
[写真](2010年11月撮影)

散策・観光

八角三重塔
北向観音
慈覚大師円仁が9世紀初頭に創建したと伝わる。 名の通り北向きで、南向きの長野・善光寺と相対する。厄除観音として有名である。 境内には「愛染桂」と呼ばれている桂の巨木があり、縁結びの霊木として知られている。川口松太郎の『愛染かつら』もこの木がヒントだという。
【所在地】上田市別所温泉
安楽寺
国宝の八角三重塔がある。  切手と美術「安楽寺」
[写真](2010年11月撮影)
【所在地】上田市別所温泉
常楽寺
慈覚大師が開いたと伝わり、北向観音の本坊がある。多宝塔は国指定重要文化財で石造多宝塔としては全国に二つしか指定されていない。美術館もある。
【所在地】上田市別所温泉

周辺地域

満願寺
本尊は薬師如来で、日光・月光菩薩、十二神将像、石の十王像などがある。
【所在地】上田市山田
前山寺
空海が開いたとされる古刹。黒門から続く参道には、ケヤキや松、桜の大木が並ぶ。 三重塔は「未完成の完成塔」として知られ、国指定重要文化財。
【所在地】上田市東前山
中禅寺
薬師堂は中部日本最古の建築で、安置されている薬師如来像や神将像とともに国の重要文化財に指定されている。
【所在地】上田市前山
龍光院
塩田北条氏菩提寺。
【所在地】上田市前山
西光寺
阿弥陀堂は室町建築の典型といわれる。金王五輪塔。
【所在地】上田市富士山
生島足島神社
「信玄武将の起請文」(国指定重要文化財)を所蔵し、日本最古の神社形式を保つといわれる。
【所在地】上田市下之郷中池西701
長福寺
夢殿観音は信州最古の仏像の一つで国指定重要文化財。
【所在地】上田市下之郷541(生島足島神社の北)

宿

旅館・ホテル19軒。

花屋

地元の有志が共同出資して1913〜15年の間に建築されたのがはじまり。1917年創業。 6500坪の敷地内に点在している建物43室を渡り廊下が結んでいる。 立原正秋の『舞の家』に登場する。

風呂

[2010年11月宿泊]

玉屋旅館

創業1869年の老舗。1991年に全館建て替えられた。

かしわや本店

北向観音堂の近くにあり、古くから「観音様隣の宿」と呼ばれ親しまれてきた老舗旅館。

柏屋別荘

江戸時代には代官出張で、1階にある代官屋敷が湯治の風情を伝えている。 有島武朗の『信濃日記』に紹介された茶屋風離れ「素檗庵」も現存している。

和泉屋

温泉データ

温泉地情報

自然湧出の泉温・湧出量の低下傾向が顕著となり、従来使用していた大湯旧源泉などに加え、新しい源泉を確保するために掘削がおこなわれた。第3号源泉と第4号源泉を共同浴場・旅館などに配分している。

温泉地情報