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温泉とは

最終更新日:2010年4月5日

一般的な定義

「温泉」という言葉は一般には次の意味で使われる。

一般には、その国の年平均気温より高い温度で湧出される泉水をいう。 基準温度は、韓国・台湾・南アフリカなどは25℃、ドイツ・フランス・イタリア・イギリスは20℃、アメリカは21.1℃である。

温泉法と問題点

法律上の「温泉」の定義

温泉法(1948年制定) では次のように一般常識よりかなり広い意味に定義されている。他の法律と同様に、利用者の立場よりも業者の立場により配慮しているようだ。

第2条 この法律で「温泉」とは、地中から湧出する温水、鉱水及び水蒸気その他のガス(炭水化物を主成分とする天然ガスを除く)で、別表に掲げる温度又は物質を有するものをいう。
【別表】
一、温度(温泉源から採取されるときの温度とする) 摂氏25度以上
二、物質(左にかかげるもののうち、いずれか一つ)

温度が25℃以上であれば成分に関係なく「温泉」なのである。一方、表の成分さえ満たせば、気温以下の冷たい水でも「温泉」とされる。水蒸気も「温泉」と呼べるが、水蒸気に水道水をあててお湯にしたものはさすがにこの法律の「温泉」には該当しないであろう。ところがそのようにして作ったお湯を「温泉」と称しているところもあるようだ。これはほとんど詐欺行為であろう。

金で作る「温泉」

地球の内部は高温のマグマで、100m掘ると地温が2.3℃ずつ上昇する。仮に地表の温度が15℃の地点でボーリングをして地下500mのところに地下水脈があったとすると25℃以上である可能性がある。その地下水をポンプで汲み上げることにより温泉法の定義をクリアして「温泉」を誕生させることができるのである。湧出水の量も関係ないので、風呂のお湯として利用するときには大量の水道水で薄めて加熱すればよい。

100m掘るためには1000万円近いお金が必要であるが、宇宙探査技術などを駆使するとかなりの確率で成功する。「ふるさと創成」や温泉ブームを目当てにして、1990年台の10年で毎年50の温泉地と400個所の「源泉」が増えた。 最近の例では2002年5月に東京のお台場(江東区青海2丁目のテレコムセンターの西隣)で地下1500メートルの地点から40℃の湯が湧き出て、2003年3月に温泉テーマパーク「大江戸温泉物語」として開業した。 東京ではどこを掘ってもお湯が湧くという。

成分表

第13条 温泉を公共の浴用若しくは飲用に供する者は、施設内の見易い場所に、総理府の定めるところにより、温度の成分、禁忌症及び入浴または飲用上の注意を掲示しなければならない

温泉法でこのように規定されていて、第24条では罰金刑の罰則もある。情報公開の時代に逆行するように、法律改正によって湧出量や湧出状況などは掲げなくてもよくなった。残念ながら「温泉分析書」の公開は義務づけられていない。

脱衣場の壁などに「掲示証」が掲げてあるので、本物の温泉かどうかを知る手がかりになる。見当たらない場合は宿の人にきいてみよう。「掲示証」も掲げていないような法律違反の「温泉」は論外である。分析した日付けにも注意したい。あまり古いものは現状に即していない可能性がある。

温泉分析書のデータは信じられるか

さらに注意しなければいけないのは、「温泉分析書」に記載されていているのは湧出地の源泉の成分であって、浴槽のお湯のことではないということである。源泉をどれだけ遠くまで運ぼうが、大量の水道水で薄めようが、堂々と掲げられるのである。実際にお湯をタンクローリーで運んで「○○温泉」の湯と称して営業している例もある。

水割りウィスキー?

ウィスキーのラベルに「アルコール40%」と記載されていて、買ってみたら10倍に薄めたものだったら。あるいは天然果汁を使用しているものの製造工程で水で薄め添加物などを加えているのに「天然果汁100%」の表示がされているジュースが売られていたら。こんなことは、今の日本ではまずありえないことだし、あったとしたら不当表示で社会問題になるであろう。

ところが温泉ではまかり通っているのである。「温泉分析書」に、ある成分が1キログラム中Xmgと記載されていても、10倍に薄めればその10分の1になるわけだし、さらに加熱、殺菌処理、循環を繰返せば変わってしまう。このことを隠したまま掲示するのはほとんど詐欺行為に近い。公取委も問題にしている。もちろんそうでないところもあるのだが、表示が不十分でその区別がつきにくいのが最大の問題なのである。

「温泉」の表示

水道水などを沸かした湯に少しでも源泉を混ぜれば温泉法上は「温泉」と表示できるが、水増ししていることを隠して「温泉分析書」を掲げたりすることは、利用者に誤解を与える。源泉を何倍に薄めているかを表示すべきである。

源泉がまったく含まれていない場合、「温泉」と表示していなくても、「温泉協会加盟旅館」などの表示で誤解を与える行為は問題がある。 「温泉」と表示したり、入湯税を取ったりしている例もあったが、これらは法律違反である。

温泉法の別表

物質名含有量(1キログラム中)
溶存物質1,000mg以上
遊離炭酸250mg以上
リチウムイオン1mg以上
ストロンチウムイオン10mg以上
バリウムイオン5mg以上
フェロまたはフェリイオン10mg以上
第1マンガンイオン10mg以上
水素イオン1mg以上
臭素イオン5mg以上
ヨウ素イオン1mg以上
フッ素イオン2mg以上
ヒドロひ酸イオン1.3mg以上
メタ亜ひ酸1mg以上
総硫黄1mg以上
メタほう酸5mg以上
メタけい酸50mg以上
重炭酸ソーダ340mg以上
ラドン20(100億分の1キユリー単位)以上
ラジウム塩1億分の1mg以上