FUKUSHI Plaza ザ・20世紀政治の100年

小泉内閣の失われた5年

最終更新日:2011年6月25日

経緯

政策

5年半にわたる小泉内閣の対米盲従政治で多くの国益が失われた。 なぜ国益に反する政策を推し進めたのかについては定説がなく謎である。

格差拡大、貧困社会

強者が自由に振る舞うことのできる社会経済システムの構築である「小泉構造改革」の結果、国民は「勝者・強者」と「敗者・弱者」に分裂し、総中流社会は崩壊して貧困層が拡大した。日本経済は縮小して税収は激減、財政赤字はさらに悪化して赤字国債は700兆円をも突破した。 多くの中小零細企業が倒産し、失業者、フリーター、ニートが増え、自殺者は年間3万人を突破した。犯罪も激増し、かつて最も安全な国だった日本は先進国最悪の犯罪社会となった。

「日本の一人当たりGDP」は毎年順位を下げ続けた。

国債と借入金は増え続けた。(財務省が発表、(政府保証債務は含まず)

対米盲従

歴代の内閣で最もアメリカに忠実で、「小泉構造改革」は「日本を米国政府好みの国に改造する」ための改悪で「日本から米国への富の移転」であった。政策は「丸なげ」と言われてたが、対米追従と軍国化への道は確実に進めた。諸政策は「要望書」のデッド・コピーとされる。裁判員制度「要望書」からスタートした。  米国に従属する時代

郵政民営化も米国の要請

日本国民の財産である350兆円の郵便貯金と簡保資金がアメリカのハゲタカファンドに狙われている。 米国政府は2003年と2004年の3回にわたり「要望書」で正式に日本に郵政民営化を求め、小泉内閣はこれを受け入れた。 郵政民営化法案の内容と2004年度の年次改革要望書の内容が酷似している。 ブッシュ大統領との密約もあったとされる。  郵政民営化を要望(2004年)  米主導の郵政民営化(2005年)

米国へ送金

ドルを買いで日本から米国に移転した日本の国富がブッシュ政権を支えている。  米国に20兆円送金(2003年)

外交の行き詰まり

小泉首相の「心の問題」で中国や韓国と対立しアジアで孤立して景気が低迷した。日本と中国が対立することは米国のアジア政策の推進にとって有利である。

地方切り捨て

中央と地方の調和によって一体性を保ってきた日本社会の安定が崩れた。中央と大都会は地方の犠牲の上で生きようとしている。

軍国化

戦前に戻ったような政策を進めた。
 自衛隊、戦時に海外で軍事支援(2001年)  自衛隊海外派兵(2002年)  自衛隊を戦地へ派兵(2004年)

違憲とされる靖国神社参拝を内外の反発にも耳をかさず頑なに続けたが、毎年時期を変える混迷ぶりであった。就任前に「8月15日に必ず靖国神社を参拝する」と「公約」したが、5年連続で果たさなかった。
 参拝(2001年)  参拝(2002年)  参拝(2003年)  参拝(2004年)  参拝(2005年)  参拝(2006年)
憲法20条  違憲判決(2004年)  違憲判決(2005年)

姿勢

最大の政治的情念は、田中政治(自民党旧体制)の徹底的破壊であった。

国のリーダーとしてふさわしい高い道義や見識やビジョンがなかった。 不真面目傲慢な姿勢。思いやりがなく弱者の切捨てなど冷酷な面が目立った。  被曝者より美術館(2005年)

独裁

国会を尊重せず議会制民主主義を否定するような強引さで、批判勢力の存在を許さず与党の意見ですら無視し自民党の有力者(青木ら)から「独裁者」とも呼ばれた。「コイズミは21世紀日本のヒトラー」との欧米の見方もある。

自分の考えに反対するものは恫喝や脅しで従わせるような強権的な手法を用い、それをいさめる人もいない。 自民党議員と公明党議員の多くはは、小泉首相がどんなことをしても黙ってついていく思考停止におちいった。

貧弱な言葉

小泉首相は議論をはぐらかし、「ワンフレーズ」ですませて逃げた。批判されると捨て台詞、嘘、悪い冗談を連発した。この結果、国会討論は堕落し、議会制民主主義は破綻した。

一国の総理大臣が堂々と口にする言葉かとあきれる発言も目立つ。閣僚も負けていない。  2001年  2002年  2003年  2004年  2005年  2006年

小泉応援団

米国公明党・創価学会と、一部の週刊誌や夕刊紙などを除いたマスコミに守られた。 マスコミは内閣発足当初から熱狂的に支持して「小泉ブーム」をあおり、史上最も人気の高い首相に押し上げた。 米国政府と米国巨大資本は5000億円の広告費を投じ日本のマスコミ界、特にテレビを支配した。

テレビ

民放テレビ(テレビ朝日・TBSなどの地上波の民放テレビ局)のニュースキャスターたちは権力者には言葉を選び、それ以外の人にはきわめて失礼なインタビューをするなど、小泉応援の姿勢を露骨に示し、小泉=善玉、批判者=抵抗勢力=悪玉のイメージをつくった。

新聞

大手新聞の政治部長クラスが談合の会合をしていることが明らかになった。 郵政民営化は優先度が低く説明が不十分としていたが、郵政政局になると一斉に民営化賛成の社説を掲載し、小泉首相の異常なやりかたに対してほとんど批判を加えることをしなかった。選挙戦にはいるとあからさまに小泉を支持した。特に朝日新聞の転向ぶりは著しかった。  投票日に首相を絶賛(2005年)

新聞社が行う世論調査の数字と国民の実感との差があるが、方法が無作為と言いつつ、真昼に個人宅の固定電話に出られる層に集中しているためのようだ。なぜか、世論調査の仕組みは厳重に隠されている。 小泉首相のためにねつ造しているのではないかとの疑惑も根強い。

発言集

参考文献

主権在米経済
郵政選挙で落選した著者が、郵政民営化法案成立の過程と対米貢献のからくりを解く。米大使館や新聞各社への質問状とその回答も興味深い。
【著者】小林興起、【発行】光文社、【発行年】2006年
偽りの民営化
元民営化委員会委員長代理の著者が「小泉総理は何も分かっていない」と道路公団改革の内幕を明かす。
【著者】田中一昭、【発行】ワック
国富消尽――対米隷従の果てに
吉川元忠・関岡英之の対談)
【発行】PHP
騙すアメリカ 騙される日本
【著者】原田武夫著、【発行】筑摩書房(ちくま新書)