今週のアルバム


これまでのアルバム
「モダン・ジャズの世界」 へ


第1003回 (2020. 2. 9. 〜

♪ Richard Whiteman “Old Prose” (Cornerstone, CRST CD 151)

Old Prose

Pat LaBarbera(ts), Harold Danko(p), Richard Whiteman(b), Terry Clarke(ds).
Rec. Feb. 16, 2019, live at The Jazz Room in the Huether Hotel, Waterloo, Ontario.

(1)Arula (2)McCoy's Passion (3)The Things We Did Last Summer (4)Blue Swedish Wildflower (5)When She Smiles (6)Chest Frenzy

 カナダのピアニストであり,ベーシストでもある Richard Whiteman が,Pat LaBarbera,Harold Danko,Terry Clarke とのカルテットで行ったライブで,Jule Styne の (3) 以外は,Harold Danko のオリジナル。Coltrane から出発した LaBarbera の時に燃えるようなテナーがいい。バラードでも,しっとりとしたあたりはさすがだ。しかし,何と言っても聴きものは (2) の 《McCoy's Passion》 だろう。メンバー全員の白熱したプレイは,こちらまでも熱くさせる。Harold Danko のこんな熱い,McCoy を思い出させるソロと LaBarbera のテナー,Clarke のドラミング・・・この 1 曲だけでも,今年 (2020) 最初の大きな収穫だ。


第1002回 (2020. 2. 2. 〜 2020. 2. 9.)

♪ Lafayette Harris Jr.  “You Can't Lose With The Blues” (Savant, SCD 2178)

You Can't Lose With The Blues

Lafayette Harris Jr.(p), Peter Washington(b), Lewis Nash(ds).
Rec. May 3, 2018.

(1)He's My Guy (2)I Love You, Yes I Do (3)Blues For Barry Harris (4)Don't Let The Sun Catch You Crying (5)Ev'ry Time We Say Goodbye (6)Things Ain't What They Used To Be (7)Love Me In A Special Way (8)Bloomdido (9)You Can't Lose With The Blues (10)Wonder Why (11)Please Send Me Someone To Love (12)The Juicy Blues

 このアルバムは,何も難しいことを考えず,ジャズの楽しさを味わうアルバムだ。ピアノ・トリオといえば,こういう演奏が昔からされてきていたんだ・・・と,それを本人もリラックスして楽しみながら実際に弾いているような,お手本のようなアルバムと言っていいかもしれない。いかにも黒人らしいブルース感とスウィング感は,(3) のタイトルに出てくる Barry Harris や Red Garland,Erroll Garner など多くの 1950 年代のピアニストを受け継ぐものだろう。Peter Washington,Lewis Nash のサポートもキラリと光る。
 それにしても,ピアノ・ソロで私の好きな 《Please Send Me Someone To Love》 を期待通りに聴かせてくれるのが嬉しい。
 もう一つつけ加えるならば,アルバムのプロデュースは Houston Person。これまた,なるほど,と頷ける。


第1001回 (2020. 1.19. 〜 2020. 2. 2.)

♪ Lolly Allen “Coming Home” (Cellar Music, CM 010519)

Coming Home

Lolly Allen(vib), Danny Janklow(as, ts), Josh Nelson(p: 1, 2, 5-8), Tom Owens(p: 3, 4, 9, 10), Jordan Richards(b), Paul Kreibich(ds: 2-4, 8-10), Kendall Kay(ds: 1, 5-7), Larry Koonse(g: 5, 6), Carl Saunders(tp: 5, 6), Scott Whitfield(tb: 5, 6), Adam Schroeder(bs: 5, 6).
Rec. Mar. 2 & May 11, 2016.

(1)The Hippest Cat In Hollywood (2)Coming Home (3)Little Hummingbird (4)Emily (5)Lolly's Folly (6)Gentle Rain (7)If You Could See Me Now (8)Mambo Inn (9)O Grande Amor (10)Bebop

 カラッと明るいジャズ。この明るさと暖かさ,湿度の低さは,まさにウェスト・コーストだ。Danny Janklow のサックスも気持ちよく歌っているし,西海岸の Milt Jackson といったような Lolly Allen のヴァイブともうまくとけあっている。曲は,Horace Silver から始まり,Lolly のオリジナル 2 曲に続いて,スタンダード,ボサ・ノヴァなどが並び,最後に,Dizzy Gillespie で締めくくる。


第1000回 (2020. 1.12. 〜 2020. 1.19.)

♪ Eliane Elias “Love Stories” (Concord Jazz, 0888072104594)

Love Stories

Eliane Elias(vo, p), Marc Johnson(b), Mark Kibble(background-vo: 2), Marcus Teixeira(g: 1, 2, 3, 6, 9), Daniel Santiago(g: 2), Roberto Menescal(g: 8), Edu Ribeiro(ds: 1, 2, 3, 9), Rafael Barata(ds: 5, 8), Paulo Braga(ds: 4), Celso de Almeida(ds: 6), Rob Mathes(orchestra arr, cond.), et al.
Rec.

(1)A Man And A Woman (2)Baby Come To Me (3)Bonita (4)Angel Eyes (5)Come Fly With Me (6)The Simplest Things (7)Silence (8)Little Boat (9)The View

 久しぶりに Eliane。アルバム自体は,去年 (2019) 秋に見つけていたんだが,手に入れたのは 12 月になってから。
 なんといっても,「いい女」 を感じさせるヴォーカルに,ボサ・ノヴァとジャズに根ざした洗練されたピアノは,いつも通りに,まさに 「素敵」 だ。冒頭の懐かしさもある 《A Man And A Woman 男と女》 からグイとつかまれる。
 それにしても,彼女,今年,日本風に言えば 「還暦」 だ。まったくそんなことは感じさせない。ますます,「いい女」 になっていくようだ。


第999回 (2020. 1. 5. 〜 2020. 1.12.)

♪ Vincent Herring, Bobby Watson, Gary Bartz “Bird at 100” (Smoke Sessions, SSR-1908)

Bird at 100

Vincent Herring(as), Bobby Watson(as), Gary Bartz(as), David Kikoski(p), Yasushi Nakamura(b), Carl Allen(ds).
Rec. Aug. 30, 31 & Sep. 1, 2019, live at Smoke Jazz Club, NYC.

(1)Klactoveedsedstene (2)bird-ish (3)Lover Man (4)The Hymn (5)These Foolish Things (6)Folklore (7)Bird Lives (8)April In Paris (9)Yardbird Suite

 昨年末 (2019) に手に入れ,あっという間に,昨年の 「ベスト3」 に選んだアルバムだ。Vincent Herring, Bobby Watson, Gary Bartz という当代きってのアルト・サックスの巨匠たちが,David Kikoski らのリズムを従えて,敬愛する Charlie Parker にトリビュートするライブ。
 Vincent Herring といえば,Cedar Walton とのアルバムや Mike LeDonne とのアルバムは紹介しているが,“Hard Time” (Smoke Sessions) といったリーダー作を紹介していなかった。どれも素晴らしい出来だった。
 Bobby Watson は,Jazz Messengers 時代からお気に入りのアルト奏者で,数枚紹介しているが,ここ数年のアルバムは,聴いてはいるものの私の好みとは少し外れた感じで,残念に思っていた。が,今作で,やはり彼の根っこにある Charlie Parker が現れてきて,久々に見直したところだ。
 Gary Bartz については,Eddie Henderson のアルバムやこれは紹介し忘れだが,Larry Willis らとのワン・ホーン・アルバム “Four In One” (Smoke Sessions) などこれまたいいアルバムがあって実力を示している。
 それにつけても,今年 (2020) に生誕 100 年を迎える Charlie Parker の偉大さを改めて感じさせる本作は,ぜひ聴いて欲しいアルバムだ。


第998回 (2019.12.29. 〜 2020. 1. 5.)

♪ Vinnie Sperrazza, Jacob Sacks, Masa Kamaguchi “Play Sonny Rollins” (Flesh Sound New Talent,FSNT 579)

Play Sonny Rollins

Jacob Sacks(p), Masa Kamaguchi(b), Vinnie Sperrazza(ds).
Rec. Jan. 28, 2018.

(1)Decision (2)Pent-Up House (3)Freedom Suite PT.3 (4)Freedom Suite PT.4 (5)Strode Rode (6)St.Thomas (7)Doxy (8)Oleo (9)Airegin (10)Wat Out West

 このトリオの “Play 〜” のシリーズの 6 作目は,Sonny Rollins だ。いつもながら,独自の解釈で,過去のミュージシャンの音楽を我が物にしてピアノ・トリオで聴かせる。演奏された曲目を見れば Sonny Rollins の あの曲 だとわかる。しかし,聴いてみると,まったく一味違ったアプローチで,Sonny Rollins らしいというより,まさに彼らトリオの音楽になっている。複雑さを感じさせつつも,自然に,素直に楽しめるから,彼らのこのシリーズ,棄てておけないのだ。


第997回 (2019.12.22. 〜 2019.12.29.)

♪ Ignasi Terraza Trio & Pureum Jin “The Real Blue Live In Barcelona” (Swit Records, Swit 29)

The Real Blue Live In Barcelona

Ignasi Terraza(p), Pureum Jin(as), Horacio Fumero(b), Esteve Pi(ds).
Rec. Jul. 29, 2018, live at Jamboree, Barcelona.

(1)Remembering Mr.Woods (2)You're My Everything (3)Grooving For Jaume (4)When Blue Gets Blue (5)Give Me Another (6)Into The Cloud (7)These Foolish Things (8)Soul Eyes (9)Joc de Mans

 このところお気に入りになっている Igansi Terraza の彼が生まれた Barcelona でのライブ盤。共演しているのは,ニュー・ヨークで活動しているという韓国生まれの女性アルト・サックス奏者 Pureum Jin。Terraza のピアノ・トリオは,もう理屈抜きに素晴らしいが,Pureum Jin のアルトも伸び伸びとしてなかなかいい。(1),(4),(6) が彼女のオリジナルで,(1) のタイトルのあるように,50 年代の Phil Woods あたりがルーツなんだろう。(3), (5), (9) は Ignasi Terraza のオリジナルで,(3) は “High Up On The Terraza” でも演奏されていた。
 寒い師走の夜には,こういうメイン・ストリームいく歌心あふれるアルバムで,お酒でも飲むのがいいのでは。


第996回 (2019.12.15. 〜 2019.12.22.)

♪ Pat LaBarbera / Kirk MacDonald Quintet “Trane Of Thought, Live at The Rex” (Cellar Live, CL 071819)

Trane Of Thought, Live at The Rex

Kirk MacDonald(ts), Pat LaBarbera(ts), Brian Dickson(p), Neil Swanson(b), Joe LaBarbera(ds).
Rec. Sep. 20 and 21, 2018, live at The Rex Jazz & Blues Bar, Toronto, Canada.

(1)On A Misty Night (2)Village Blues (3)26-2 (4)Naima (5)Impressions (6)Acknowledgement / Resolution (Movements 1& 2 from A Love Supreme)

 先月 (2019 年 11 月) 買ったアルバムの中でのイチオシがこれ。すぐに紹介しなかったのは,このジャケット,このタイトル,このメンバー,この曲目・・・もし,それを見つけたら,私などが紹介するまでもなく手に入れたくなってしまうだろうから。そして聴いてみれば,間違いないとわかるはずだ。
 アメリカとカナダのベテラン・テナー奏者が John Coltrane への敬愛を示したアルバムで,だからといって,Coltrane っぽいだけの演奏ではない。Coltrane から現代に続くジャズ・テナーの流れを踏まえつつ,Coltrane のシリアスな面に入り込み過ぎないように,尊敬しつつも楽しさもこめて演奏する。曲は,Tadd Dameron の (1) を除いて,Coltrane の曲で,よく知られた (4), (5) や組曲である “A Love Supreme” からの 2 曲。どれも,今現在のジャズとして輝いているいえるだろう。


第995回 (2019.12. 8. 〜 2019.12.15.)

♪ Claudio Fasoli 5et  “The Brooklyn Option” (Abeat, ABJZ 206)

The Brooklyn Option

Ralph Alessi(tp), Claudio Fasoli(ts, ss), Matt Mitchell(p), Drew Gress(b), Nasheet Waits(ds).
Rec. Nov. 16 & 17, 2014.

(1)Brooklyn Bridge Part 1 (2)Brooklyn Bridge Part 2 (3)Brooklyn Bridge Part 3 (4)Carroll Gardens (5)Bay Parkway (6)Bam (7)Mapletone (8)Boerum Hill (9)Neptune Hill (10)7005 Shore Road (11)Avenue M (12)Dumbo (13)Gowanus

 イタリアのベテラン・サックス奏者の Claudio Fasoli がアメリカのミュージシャンと作ったアルバム。全曲,Fasoli のオリジナルを,1960 年代以降のシリアスなジャズの緊張感あふれる表現で演奏しきっている。こういう一分の隙もない妥協を許さない姿勢での演奏に,最近,ともすればリラックスした演奏を聴くことの多かった我が身が引き締まる。


第994回 (2019.12. 1. 〜 2019.12. 8.)

♪ Frerick den Haan  “Red” (Hen House Music, HH-02)

Red

Frerick den Haan(p), Jurriaan de Kok(b), Nitin Parrée(ds).
Rec. 2019.

(1)Traneing In  (2)Exactly Like You (3)My Romance (4)A Foggy Day (5)Autumn Leaves (6)Theme From M-Squad

 タイトルを見,そして,聴いてみれば,まさしく Red Garland じゃないか。1990 年のオランダ,ハーグ生まれというから,まだ,28 歳 (2019 年現在)。そんな若い人が,ここまで Red Garland を演奏するとは,驚きではある。もちろん,昔の Red Garland を真似ただけではない。シンプルにスウィングするための味付けに Red Garland を利用する。もし,若い頃の Red Garland が現在いたら,こういう感じになるのかもしれない・・・
 演奏曲は,Red Garland が録音したもので,テーマ部分などでは,強く Red Garland を意識しているし,ソロ・パートでも,あの軽いフット・ワークのスウィング感をうまく再現しているといえる。その上で,今・現在をも表現しているあたり,かなりの腕前のピアニストだろう。


「モダン・ジャズの世界」 へ
TOP ページへ