不妊外来へ一年間通院中の38歳女性。その間に人工授精を4回行いましたが全て失敗し、「あと1回人工授精を試みてうまくいかなかった場合は体外授精に切り替えた方が良いでしょう」と病院側から通告されたとのこと。
しかし、より負担のかかる体外授精には抵抗があり、また、検査上は生殖器、ホルモン共に異常があるわけではない為、鍼灸治療で体のバランスを整えながら人工授精を行うことで妊娠出来ないかと考え、当院に来院されました。
月経周期は30〜32日で、低温相(36.4〜36.5℃)20日前後、高温相(36.8〜36.9℃)10日前後。生理量は少なく、子宮内に1cmほどの筋腫あり。それ以外の愁訴は、小便がやや近く、大便は便秘をしたり下痢をしたり不正気味。血圧は正常で既往歴はありません。
脈状は足の太陰脾経の下焦が虚していることを示す代・虚。胃部には足の陽明胃経の中焦の虚を示す振水音が認められます。さらに腹診で各経脈の反射穴の抵抗の有無を確認し、望診・問診から得た情報を鑑みて経脈の虚実を見極め、以下の様に取穴しました。
左
側 |
補 |
三陰交、太白、足の三里、委陽、懸鍾、侠白、尺沢、合谷、臑会、大陵 |
| 瀉 |
箕門、下陰谷、曲泉、殷門、風市 |
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右
側 |
補 |
三陰交、太白、足の三里、委陽、懸鍾、侠白、尺沢、合谷、臑会、大陵 |
| 瀉 |
陰陵泉、下陰谷、行間、申脉、陽陵泉 |
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5日前に人工授精をしたとのこと。卵胞の大きさは19.6mm。現在、黄体ホルモンを服用中。 |
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生理になって10日目。生理の量が少し増えたとのこと。低温相と高温相が綺麗に二層になり、安定しています。 |
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4日前に人工授精。お腹が張り、下痢気味とのことでしたので右側・陰陵泉穴の瀉を箕門穴の瀉に変更。 |
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人工授精をして12日目。体温は36.7℃。脈状は左側が代脈、右側が浮・動脈。 |
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人工授精をして19日目。体温は36.7℃。やや下痢気味で少し胃がムカムカするとのこと。脈診をしてみると左右共に妊娠していることを示す浮・動脈を呈してたのでご本人にその旨をお伝えしました。 |
その後の検査で妊娠していることが確認され、今回をもって治療を終了しました。それから4ヶ月ほど経ちましたが順調に経過しているようです。
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