|
昨年の6ヶ月間に4回体外授精をしましたが着床することがなかった37歳女性。ある雑誌の不妊特集号で、体外授精の成功率は通常妊娠(自然妊娠)の約30%に対して15%ほどと低いこと、ホルモン補充を行う今の治療には限界があること、卵子学において解明されていないことが山積していること、さらに、その不明な部分を代替する意味でアメリカやヨーロッパ諸国では不妊治療に鍼灸治療を併用して効果が上がっていることを知ったとのこと。そこでインターネットで不妊治療を行っている鍼灸院を検索し、当ハリニックにご来院されました。
不妊検査の結果は異常はなく、ご主人も精子に問題になるような所見は無し。月経周期は30日前後で生理痛は無く、大小便は正常。今までに手術の経験や大病を患ったことも特にありません。強いて挙げるなら、30歳を過ぎた頃から偏頭痛があるということでした。
脈診(五臓脈診)をしますと、左側が石脈、右側が代脈。ホルモン値は正常範囲とのことなので石脈は脳下垂体と卵巣との間のシステムに支障があることを示唆しています。また、代脈は月経周期に関係する場合と子宮の機能が低下している場合に現れる脈です。
腹診をしますと、臍の左側の卵巣反応点(塚原私穴)が虚しており、さらに、鼠径部の子宮反応点(塚原私穴)も虚しています。
脈診に於ける石脈、代脈、そして腹診に於ける卵巣・子宮の反応点の状態を鑑み、不妊に対して以下の様に取穴しました。
左
側 |
補 |
足の太陰脾経・太白穴、
足の少陰腎経・照海穴、上陰谷穴(塚原私穴)、
手の太陰肺経・太淵穴、侠白穴、
足の陽明胃経・足の三里穴、伏兔穴 |
| 瀉 |
足の少陰腎経・下陰谷穴(塚原私穴) |
|
右
側 |
補 |
足の太陰脾経・太白穴、
足の少陰腎経・照海穴、上陰谷穴、
手の太陰肺経・太淵穴、侠白穴、
足の陽明胃経・足の三里穴、伏兔穴 |
| 瀉 |
足の太陰脾経・陰陵泉穴 |
また、頭痛に対して、足の少陽胆経・風市穴、手の少陽三焦経・臑会穴を補いました。
| |
生理日から3日目。治療開始前と比べ、経血量が増えたとのこと。脈状は初診時と同じ。 |
| |
本日から生理開始。31日周期。経血量が多くなり、頭痛が起きなくなったとのこと。脈状は変化なし。 |
| |
生理日から22日目。6日前(生理日から16日目)に排卵した様子。「タイミングはバッチリ」とのこと。
脈診をしますと、左右ともに毛脈。石脈、代脈が毛脈に変わったことは良いことです。脳下垂体と卵巣のシステムが順調に機能し始めた証ですし、子宮の機能も正常といえそうです。
腹診をしますと、卵巣反応点の虚が消え、実になっています。ただ、左側の子宮反応点は未だ虚のままです。
そこで今までの治療加えて足の太陰脾経・三陰交穴を補いました。 |
| |
生理日から36日目。脈状は毛脈で腹部の子宮反応点の虚も消えています。そこで「7〜8割方妊娠していると思いますよ。一週間ほど様子を見て生理が来ないようでしたら病院で診てもらってください」とお伝えしました。 |
9日後、「今日、病院で診てもらいましたら妊娠6週目だそうです」と、とても嬉しい報告がありました。 |