フォルテピアノ修復 J.F.Marty

ここでは、修復の中でも特に大がかりになる、響板の張り替えをご紹介いたします。対象とするのは19世紀初頭のごく平均的ウィーン式6オクターブフォルテピアノ(武蔵野音楽大学楽器博物館所有J.F.Marty[fl.c.1800-1820])です。中低音部の響板の損傷がひどく、そのままでは通常の演奏は不可能なため、高音側の響板はもとの通りに使用し、それ以外は新しくする、という作業です。全編29葉の写真と説明からなります。なお、アクション、ペダル、ケースなどの修復過程はここでは取り上げませんでした。ご了承ください。


まずは何はなくとも弦をはずします。
チューニングピン、弦などはすべて元通りに戻せるよう、分別して保管しておきます。
ベニアリングをはがします。膠はアルコールでゆるむので、わずかに隙間を作ったら。そこから注射器でアルコールを染み込ませます。
ハープシコードや、5オクターブのフォルテピアノと異なり、響板周りはかなりちゃちなモールしかありません。ヒッチピンレールは響板とは別になっています。
響板とライナーの隙間にアルコールを染み込ませながら、極薄のへらでじわじわと隙間を拡げていきます。ある程度剥がれてきたらジャッキアップしながら進めます。気が遠くなるほど時間が掛かります。まったく。
これが低音部の豪快な割れです。ほとんどの6オクターブの楽器は低音が割れていますが、それはおそらくそのあまりにも薄くしすぎた厚みのためだと思われます。18世紀のハープシコードよりも薄いのです。
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