ハカイダーは二人いた!
 

 キカイダー時代のハカイダーを愛する者にとって、ギルハカイダーの扱いは不満以外の何者でもない。ハカイダーの復権は悲願だ。そこで叫ばれるのが、「ハカイダーとギルハカイダーは別人である。」というだ。このことはかなり以前から語られている。放送当時の設定では、恐らく同じ個体ということであっただろう。しかし、ハカイダーの復権を望む人々によって別個体説が叫ばれるようになってきた。

 一般的にギルハカイダーは、白骨ムササビに倒されたハカイダーにギルの脳を組み込んで再生したと言われている。キカイダーをはじめ、劇中の人物たちもそのように思っているよう描かれている。何よりも本人が「俺はこの頭にプロフェッサー・ギルの脳を組み込んで生き返った。」と言っているのだから、疑う余地はないように思える。しかし、本当にそうなのか。何点かの疑問は残る(というより、そういう解釈をする余地がないかどうかを検討したい)。

 まず記憶である。ハカイダーと共通している記憶と思われるものは意外に少なく、確認できる範囲では次の3点である。
1.ゼロワンと初めて対峙した時の言葉。
 「俺はこの頭にプロフェッサー・ギルの脳を組み込んで生き返った。」と言っている。
2.キカイダーを知っていた。
 ギターの音を聞いてキカイダーだと判断し、登場したジローに対して「貴様キカイダー!」と言っている。
3.光明寺博士を知っていた。
 最終回で光明寺博士を誘拐する際、「俺をお忘れかな、光明寺博士。」と言っている

 実は、ハカイダーと共通すると思われる記憶は、以上の3点だけなのである
(7話でサブローの口笛を吹いているが、第37話で犬を呼ぼうと吹いた口笛がギルの笛のメロディだったというのもあるので、ここでは取り上げずにおく)。しかし、この3点だけではハカイダーの記憶を全て持っているという根拠にはならないのである。
 
まず2についてだが、ダーク破壊部隊のロボットは初対面であったもキカイダーを知っていた(ちなみにジローも大半のダーク破壊部隊を知っていた)。だから実はハカイダーとしての記憶という訳ではない。次に1と3についてであるが、3については、当然のことながらハカイダと光明寺博士が会話を交わしたことはない(お互いに意識のない状態の相手を見たことはある)。だがこれについては、光明寺博士を誘拐する際、シャドウ側で「光明寺はお前を知っているはずだ」とでも言えば済むのである。それにダークの知識の範囲内でも記憶に組み込むことは可能だ。したがって、ダーク側が知らず、ハカイダーだけが知っていることでなければ、同一人物である根拠にはなり得ないのである。1については、後述する内容と関係してくるので、後に回すことにしたいと思う。

 次の疑問は、一度もサブローになっていないということだ。ギルの脳になったとはいえ、少なくとも第20話でシャドウに復元されるまでは、光明寺博士が造った「ジローの弟」サブローのはずだ。しかし、ギルハカイダーになってからサブローの存在は消されているのだ。前述のように第7話ではサブローの口笛まで吹いているのに、サブローにはなっていない。この点についてはズバリ、光明寺製のボディではない、つまり、ハカイダーとギルハカイダーが別ボディであると考えれば容易に説明がつくのである。口笛については、
服部半平が何度もジローのギターを真似しているという事実もあるので、同一人物である根拠からは外しておく。
 ちなみに漫画版キカイダーでは、同一ボディであることがはっきりしているためか、一度だけサブローの姿になっている。しかし、ガッタイダーになって敗退後、無事なパーツを集めて
復活してからは、ゼロワンやキカイダーと行動を共にしている時でも、他のメンバーが人間態になっているのに、ギルハカイダーだけは人間態(サブロー)にはなっていない。これは光明寺製のボディでなくなったと考えれば辻褄が合う。ちなみにサブローが登場しないのは、演じた真山譲次氏のスケジュールの都合だそうだ。

 もう一つ、ボディ自体が粗悪になっている印象を受ける。ハカイダーはキカイダーの銀河ハリケーンを受けてもかすり傷一つ負わなかった。銀河ハリケーンはアンコウブラウンとキリギリスグレイを倒したキカイダーの必殺技だ。それに対してギルハカイダーはゼロワンカットでかなりのダメージを受け、シャドウナイトから「ゼロワンカットでそのザマで、ブラストエンドに耐えられるか」と突っ込まれている。ま、この時点で三度食らっているのだが…。ちなみにシャドウに復元されてからはさらに粗悪になり、ゼロワンカットで腕を落とされたりしている。

 以上、ハカイダーとギルハカイダーが同一ボディではないという可能性について述べてきた。ここで、ギルハカイダーはどこから来たのかという新たな疑問が発生する考えられる可能性は2つだ。1つ新たに造ったということ、もう1つはハカイダーを分割して四人衆を造ったということだ。後者については後にウデスパーの部品からαとβを造ったという例があるし、一応別個体ではあるので、復権にはなる。ギルハカイダーのボディが粗悪になっているもの頷ける。そうなるとハカイダー四人衆ならぬ「ハカイダー四分の一衆」ということになる。何か室町時代の山名氏みたいだ。また、新たに作ったという説だが、少し考え方を変えてみたい。ハカイダーにはプロトタイプ、言わば「ハカイダー0号」があったのではないかということだ。

 ダークは対キカイダー用戦士を制作し、その試作品を作った。便宜上これを「ハカイダー0号」と呼ぶことにする。そして最終的な、より高性能にするため改良を加えた。それが血液交換だ。そして光明寺博士の手でハカイダー完成させることで、0号はそのまま封印した。ギルの脳を組み込んだのはこの封印した0号ではないだろうか。0号は血液交換がない構造なのだから、そのまま組み込むことが可能だ。しかもダークが作ったものなのだから、後から作った三人衆とも本当に「兄弟」だ。ギルハカイダーは0号、三人衆はハカイダーを三分割という考え方もできるが、ここでは置いておく。

 ダーク科学陣はダーク再興を期して、保管しておいたハカイダー0号にギルの脳を組み込んだ。そして新たに製作した三体のハカイダーに自分たちの脳を組み込んだのだ。ギルハカイダーの「俺はこの頭にプロフェッサーギルの脳を組み込んで生き返った」というのは、封印されていた0号がギルの脳を組み込んで生き返ったという意味だったのだ。若しくは「ギルが生き返った。」という意味でダーク科学陣がそのように言ったのかもしれない。
 ゼロワンやキカイダーはハカイダーが生き返ったと思い、ギルハカイダーは0号が生き返ったと言う(ダーク科学陣はギルが生き返った。)。劇中での名前はすべて「ハカイダー」なので会話自体は成立している。しかも、これらの処置を行ったダーク科学陣の記憶は三人衆には受け継がれていないため、この事実を知るものはこの世に存在しない(亡霊ギルは知っている可能性がある)。そのために誤解が生じてしまったのだ。


 以上の事を前提として、廃墟と化したダーク基地からハカイダーが甦り、ギルハカイダーを倒し、ゼロワンやビジンダーとも勝負して勝つ(殺しはしないが)というストーリーを考えた。最後は一応、キカイダーとの決着はつけず、ザダムあたりと刺し違えるか、放浪の旅に出るかということで悩んでおり、まだ完全ではないが、とりあえず前半だけ。


オリジナル「ハカイダー復活物語」

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