画像工学の基礎知識
画像工学の基礎知識
前回では, Band Pass Filterに関して説明しました。今回は、High Pass Filterの設計について説明します。
ある周波数以上の信号を通過させるフィルタをHigh Pass Filter(以下HPFとします)と言います。前回と同様にHPFを実現するインパルス応答を考えてみましょう。
図44にHPFのインパルス応答の求め方を示します。 図の左下部に示す特性が目標とするはHPFの周波数特性です。インパルス応答は離散値であらわすので周波数領域ではサンプリング周波数ωsで繰り返す周期関数になります。これは上部に示す第12回で求めたLPF特性に-1を掛けた特性と全領域に渡って振幅1の特性の和と考えられます。ここで通過開始周波数をω0とします。時間領域での加算は周波数領域でも加算になります。また、全領域に渡って振幅1の特性は周波数領域ではδ関数になります。 従って、HPFのインパルス応答は右下部の様な関数になります。
図45にインパルス応答の各サンプリング点での係数値を示します。サンプリング周波数ωsはω0の4倍にしてあります。 つまり、信号の最高周波数はω0の2倍までとしました。また、タップ数は13(2x6+1)です。
ここで求めたインパルス応答の周波数特性つまりそのフーリエ変換を求めます。簡単にするため時間推移させる前のインパルス応答に対し考えます。 原点0を対象とするインパルス対のフーリエ変換はcos 関数になります。つまり、h1とh-1の対は周波数領域では-0.32x2cosωTsとなります。同様に他の対もコサイン関数になります。この周波数特性は図中下部にあるような周期関数になります。以前お話した様に離散値パルス列のフーリェ変換は周期関数になるからです。この関数はサンプリング周波数である4ω0の周期で繰り返します。信号の最高周波数を2ω0と考えていますからHPFと考えても問題ありません。
周波数特性を求める別法として伝達関数H(z)を求め、それにz=ejω Tsを代入する方法があります。同様に計算を簡単にするため時間推移させる前のインパルス応答に対し考えますと下式の様になり先ほどと同じ式が得られます。
次回は最終回となりますがディジタルフィルタ(その5), ノイズ除去フィルタについて説明します。