と み 廣 (渋谷、小料理屋)

    渋谷で、落ち着いて飲める店

    
訪れたときの様子
ビルの地下に降りると狭い廊下に暖簾が。こぎれいな店内は木のカウンターに小上がりの座敷、大将が割烹着、女将が和服、ともに年配と、居酒屋というよりは小料理屋だ。以前失敗した松山の記憶に一瞬不安がよぎり、カウンターの端に座る。

「お飲み物は何にしますか?」との女将の声に、酒の品書きを見て少しほっとする。値段明記で「田酒」「〆張鶴」「黒龍」「酔鯨」(純米2・純米吟醸2、700円か750円)といった品揃え、後からテプラでつけ足したらしい「東北泉」(特別純米)や「初亀」(吟醸)も好みだ。うまみがのっているはず、旬の「開運 ひやおろし」(純米、700円)を頼み、目の前に並ぶ大皿料理をながめる。

一匹まるごと横たわるイカ(煮、700円〜)が旨そうなのですぐ頼むと、丁寧に包丁を入れて出された。身が実にやわらかく、胴のあたりでは白っぽい腸がとろけ出る。ごくあっさりした味付けだ。一緒に頼んだ厚揚げ(500円)にはねぎをはさんで貝割れを散らし、盛りもうつくしい。

「今の時期は白イカです」 包丁の合間に大将が話し掛けてきた。「もう少ししたらヤリイカで、年末くらいには子持ちになりまして」 うまそうですねと言うと「それはもう・・」と言葉を飲み込み思わせぶりに笑う。このやり取りを聞いてか、カウンターの奥に座っていた二人連れがあわててイカを追加。 勝った・・(何が?)

さきほどから座敷で盛り上がるのはいいが、周期的に金切り声をあげるのだけは勘弁の酔っ払い女(20代後半か)に大将がそれとなく声をかける。ついには女がグラスを倒す(末期症状)と、食べ終えたかわはぎ(刺身、時価)を「味噌汁にしますからね」(それ、いいなあ)と下げて飲み過ぎを告げていった。
「もう、食べてきちゃったんだよ」なんて4人連れ(お金持ち風スーツ、50代)には煮物などを2人前づつくらいで盛り合わせ、へえっとながめている私に「何人かで来たらやるから言ってね」と声をかけておく。盛りあわせは見事に空になり、燗酒と焼き魚が追加となった。

白子に未練を残しつつも、満足してお勘定を頼む。「今度来たら焼きおにぎり(700円)食べていってね。うちのは日本一だから。」と言っておいて、「いや、渋谷一かな」と自ら落とす大将。ガス代もケチらずに40分ほどかけて全面を焼いていくそうだ。ヤリイカが子持ちになるという年末頃にまた来たい。
この日注文したもの
お通し
切干大根などの煮物
料理
イカの煮たの(白イカ?、700円以上)、厚揚げ煮(500円)、さんま焼き(900円)、各1、

「開運」(純米、1合弱のグラス、700円?)、「浦霞」(本醸造、燗、1合徳利・550円?)、各1
1人で4500円(1時間ほど滞在)
勝手なコメント
渋谷で、落ち着いておいしく飲み食いできる。
★★★★(5つ星が最高)
詳しい紹介

「とみ廣」
渋谷区桜丘町16 ビルの地下2階
17時から24時の営業
日曜定休の模様

JR山手線 渋谷駅 南口から徒歩3分くらい
駅南口に出る。公衆便所脇の陸橋に上がり、JTBの右側に降りる。そのまま筋を入った右手が店。

カウンター10席ほどと、座敷に2人がけの卓が3×2列+1ヶ。
唐様の焼き皿に惣菜が盛られてカウンターに並ぶ。たらこ煮、野菜煮、つぶ貝?煮も実にうまそうだった。「こんにゃく」が糸こんにゃくなのがびっくり。つまみも値段明記。

日本酒は純米・純米吟醸、700円前後が中心。本醸造が550円くらい、大吟醸クラスは2つほど。
燗酒は「菊水」「賀茂鶴」(ともに本醸造、500円)を勧めているようで、「浦霞」(本醸造)を頼んだら「もったいない」なんて言っていた。それでも純米クラスなら燗にしてくれるようだ。

⇒「新精選 東京の居酒屋」 太田和彦  草思社


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