科学教育の危機(2):「現場」の話

1.学生は異星人か。

 大学で数学を教えていると、妙な気持ちになることがある。面白いはずだ、と思うことを話しても、感じ取って貰えない。面白いと感じ取るためには具体的なイメージが大切である。だから演習問題を出す。すると自分で考えようとしないで、他の人が解くのをぼんやり待っている。誰かが黒板で解けば、唯写すだけである。そんなとき私は地球から遠く離れた星で、宇宙人を相手に授業しているような気持ちになる。

 具体的な自然数の話をしよう。 6より小さい6の約数は 1と2と3である。 この約数の和を作ると元の 6 になる。 28 の約数は 1 と 2 と 4 と 7 と 14 であり、加えるとやはり元の数 28 になる。このような数を「完全数」という。 完全数が面白いと感じるのは多くの計算をして、完全数は滅多にないことを知った後である。 ギリシャ人は四つしか完全数を知らなかった。現在では38個知られている。38番目に発見された数を書くと次のようになる。

 先ず p を素数6百97万2千5百93とする。2を p 回掛けた数から1を引いた数を q とする。 q は2百万桁以上あり、素数であることが、去年コンピューターを使って解った。 このq は現在人間が知っている最も大きい素数である。 この q に更に 2 をp マイナス 1 回掛けると 38 番目の完全数となる。 38個の完全数は全て偶数である。 奇数の完全数は一つも見つかっていない。300桁以下の奇数は完全数でないことは調べられている。

 正3角形や正5角形は定規とコンパスで作図できる。正17角形も作図できることをガウスは示した。このようなことを言っても学生は感動しない。作図で苦労したことがあまりないからである。 もしかしたら、作図という言葉すら知らないのかも知れない。

 2を何回か掛け、1を加えた数 n がもし素数ならば、正n角形を作図できることをガウスは示した。 このような素数は、 3. 5. 17以外に2つしか知られていない。

 2を24回掛けた数を m とする。 2 を m 回掛け、1 を加えた数[ F24] は合成数であることが去年解った。 [F24] は 5百万桁以上あり、真の約数が一つも見つかっていない。このような意味に於いて[F24]は現在人間が知っている最も大きい合成数である。

 円周率 π は3 であると教えている人もいる。これは、円に内接する正6角形の周の長さと円周が同じだと教えていることと等しい。これは直感に反し、非常にいけないことだと思う。少なくとも円周率π は 3.14 だと教えて欲しい。この値をアルキメデスがどんなに苦労して計算したかを学生は想像出来ない。 だから現在コンピューターを使い π は2千億桁以上計算された、と言っても学生は少しも感動しない。

2. フィリピンの大学院生

 去年の8月、3週間ほど日本学術振興会の援助でフィリピン大学へ行った。 大学院生に授業すると、非常に熱心に聞いてくれる。現在のフィリピンは、日本の明治維新の頃のように外国の科学を 必死に取り入れようとしている。 この情熱は何処から生まれてくるのだろう。 数学科の大学院生のうち1年に1人ぐらいは、日本の文部省の奨学金制度により、日本の大学院に留学してくる。そして 本国に戻ったとき、指導的な数学者になっていくようだ。 教育や研究を通じて大きな信頼関係が育つことを考えると、学術振興会や文部省のこれらの制度が中止にならないように切に希望する。

(続く)

「科学教育の危機」 上智大学 理博 和田秀男教授
          学士會会報 No.827 (2000-4) 130pp- 全文引用

戦中戦後こぼれ話:「若い力」をご存じですか ?

 東京オリンピック開会の日を記念した筈の体育の日が、どうでも良くなって、今年は記念日より3連休の方がいいとばかり動いてしまったので、東京オリンピックも遠くなりにケリ、になりました。 国民体育大会ももう50回を越えて持ち回り県も一巡し、2周り目に入ったようですね、戦前戦中は、持ち回らずに神宮大会でした。 其の神宮大会奉祝歌に「くろがねの力」と言う唄がありました。1番は思い出せません、2番は、

  • さ緑の土 櫻は映えて、  みよ備えある  神國日本、
      嗚呼 吾等 溢るる健康、 打ちて鍛えて  磨き競わん、
      チカラ ちから くろがねの ちから。
  • というものでした。 蜃気楼のように、忘れず、神國日本が、頑張っていました、何しろ松内則三「カラス2-3羽」で名高い神宮の森でしたから、森という人にとっては、どうしても連想は神國日本なのでしょうが、、、。戦前戦中は非国民以外は全員でした。

     戦後新制高校になった年でしたか、音楽の時間に先生が強制は出来ないが、「この唄を一応全員に知らせよ」と言うことだ、と黒板に楽譜と歌詞を書いて、一回しか弾かんぞ!と弾き唄いを聞かせてくれました。それが国民体育大会歌「若い力」でした。

  •    若い力と感激に  燃えよ若人  胸を張れ、
       歓喜溢れるユニフォーム  肩に一ひら花が散る、
       花も輝け希望に満ちて   競え青春強き者。
  •  若い頃は、この唄覚えてやろうかと思ってから3回聞けば覚えられましたからたった1時限の音楽の時間一度だけでしたけど、今も想い出して歌うことが出来ます。残念なことに多分カラオケ、ナンバーにはないでしょうが。

     実は、今朝のA新聞の、読者投稿の、ユーモラスな話の欄に、あったのでした。全文引用してみましょう。

    ー 「テーマソング」ー
    運動会のシーズン、うちの子の保育園、小学校、近所の学校の運動会もにぎやかに、アニメのテーマソングの編曲したのやら、普通の唄の行進曲風のモノが掛かっていました。 国民体育大会歌「若い力」が掛かっている運動会がありました。行ってみるとそこは老人養護施設の運動会でした。
                         (知ってますか「若い力」43歳)

     私が小学校の頃に、運動会のレコードは?ーー「軍艦マーチ」と答えたらはずれで「違う、新記録。」ーー逆に「新記録!」と答えれば、「チャウ、一日ですり切れる」と言う謎かけ遊びがあり、運動会のレコードは、A面軍艦マーチ、B面日の丸行進曲、もっとも、昭和17年以降、敵性語禁止で俗名軍艦マーチは使えなくなり軍艦行進曲でしたが!後は題名忘れましたが、「見よ、東海の空明けて・・」位のモノを、トッカエスッカエすり切れるまで繰り返して掛け、街のラヂオ屋さんが仮設した、UY-50パラ、プッシュのB級増幅の拡声器で、トランペットスピーカーを腹一杯壊れた音で鳴らして賑やかすのが運動会で、一番最後の学年別組対抗徒競継走がハイライトでこの時ばかりは、軍艦マーチががんがんに鳴りっぱなしました。

     今でも、パチンコ屋で軍艦マーチが威勢良く鳴り出すと、運動会の終盤の、学年リレーのあの興奮を想い出します。 宇宙戦艦ヤマトを聞こうが、365歩のマ-チを聞こうが、「若い力」を聞こうが、あの興奮は甦っては来ません。 唯確かに興奮は甦りますが、パチンコ玉を無闇に打ち込む種類の興奮じゃないですね? 何かもっと爽やかな、もっと感動的な何かがそこにあるような・・!頑張れ「若い力」。

    13日の金曜日の話:危機感無し、、、日本職業野球

     先ずお悔やみ申し上げます「男はつらいよ寅次郎」確か第2作、山田洋次原作も特別の思い入れだったと思われる話、寅が生みの母を尋ね当てて京都のオカンと逢います。タトイ産みの子や言うたかてほんなもん甘い顔出来るかア。。。。言うてもの凄い剣幕でまくし立てるオカン。誰あろうミヤコ蝶々。ヨオ日本一 !

     最後のシーンが又二人の今度は肩を並べてのまくし立て、然し、蝶々さんの演技には、今度は母親としての慈愛こもる説教調がにじむ。。。。シリーズ全48作を通じても出色の佳篇。常にか弱きモノの味方。笑いのオカン、蝶々ハンご苦労はん、ゆっくり安らかにお眠り。

     とうとうイチローが大リーグに流出する。エエンカイナ、日本職業野球界。巨人が強すぎる、巨人選手を集めるから巨人だア ! でよいのかの危機感しかないが、これでいいのか?オリックス球団も、入札制度で、全入札額が、トレードマネーとして懐に入るぎりぎりで、放出決意、流石、関西球団。ゼニコにはさとい。職業野球だモンね!抜け目はないわな。

     烏鷺を戦わす、ワカルカナ?  オランダの第1戦から負け無しの依田挑戦者が、20世紀最後の名人趙治勲をストレートで破り、21世紀冒頭の名人位を獲得した、34歳。明るい。もしこの名人戦、趙名人がタイトルを守れば、前人未踏の「五期連続名人」x2回と言う快挙を成し遂げるところでした。この夢は露と消え趙治勲は無冠に戻りました。ご愁傷様。引き替え、依田新名人、これまでも何度もビッグタイトル挑戦はありましたが、オリンピック出場選手同様、肩に力が入りすぎたり、煎れ込み過ぎたりで出ると負け、一勝もしたこと無しだったのが、今度は眼光はいつものように鋭かったが、肩肘張ったところが無く、慎重な打ち廻しで、1戦1戦際どく勝ち取って結果4連勝してしまった。21世紀の活躍を期待したい。オリンピック出場選手もこういう風にやって貰いたかった。彼らは、自分の気負いに勝てなかったのでした。半目勝ちも十数目勝も勝ちは勝ち、半目負けも負けは負け、大勝ちしようと気負ったら惜しくも半目の負けってことが多い。勝負の世界は、心で決まる。多くのアスリート達は、体力自慢で自分の心に負ける。文字通り「気負い」。残念なことでした。

     オリンピック。不思議にもあの時ばかりは、日の丸と君が代が待ち遠しかったですね、あのときの君が代には、「相撲の唄」の歌詞がないのも影響してるのかな ?? でも表彰の後スグ表彰台踏み外し負傷して後のレースに予選落ちする選手、イケマセンねえ、、、銀メダル!クヤッシイッ!!なんて言うモンだから勝利の女神が罰当ててしまった。堂々の銀メダルじゃないですか、ゼーンゼン取れないただ涙ナミダの人も多いのに贅沢言っちゃ、罰当たるよ、ホント。でアタッチャッタンダカラア。反省すべし。

     女子マラソン、オバQのQチャン、いいねえ、何度見ても。35キロ、並んで走るシモン選手すれすれに、TVカメラ目がけてサングラスを手裏剣シュシュシュ、、みたいに投げた気合い、赤坂ミニ・マラソンにやってきたシモン選手も言っていた、「あっ、これはスパートするなと思ったが、彼女にはグッドタイミングだったが私にはバッドタイミングでついて出られなかった、あの呼吸には負けたわ!」と。絶妙の呼吸に脱帽、、、!ヤワラチャンの、内股に匹敵するワザあり以上のワザあり。金メダル当然でしょう。シモン選手、直ぐグランドで言ったそうだ、「もう一回何処かで走りましょう。必ず、、、」と。

     もう一回やっつければもう言うまい。さすが粘りのおばちゃんも。  あの粘りは然しタダモノでない。心せねば。高橋尚子選手も取り巻きも。浮かれて居ちゃならない相手。


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